S5S

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hybrid6強い!

いやー、イイ。全日本女子の新戦術、hybrid6。21日に行なわれたトルコ戦ではまったく危なげない展開で3-0のストレート勝利。ロシアに勝った日本と、ブラジルに勝ったトルコという事実上の決勝戦で、これだけの圧倒的な勝利を見せるようであれば、全日本が優勝したも同然。お試し強化試合とは言え、このような大勝利を挙げられるというのは、世界選手権に向けて大いに期待が高まります。

この新戦術の何がいいというと、ストレスが少ないこと。攻撃面で言えば、ハイブリッドのコンセプト通り、常に2枚から3枚、多いときには4枚の選択肢があり、木村!木村!木村!木村!と同じ選手に上げつづけるしかないような単調な攻撃がありません。めまぐるしく選手が動いて、後ろから飛び出してくる。バチーンと止められるあのストレスを感じる機会がグッと減りました。

逆に日本側もミドルブロッカーがいないことでバチーンと止めるケースも少ないのですが、妙な期待をかけないぶん気楽で結構。中途半端にブロッカーがいると「ココでブロック欲しいですね」的なブロックからの逆襲論が脳裏にずっと残ってしまうのですが、その考えを捨てることができました。

とにかくブロックは引っ掛けて威力を弱める。そして、後衛は守備力高めのメンバーが揃い、こぼれを拾う。そう割り切って臨めば、ズドンと決められても「今のは引っ掛けられなかったし、仕方ない」と切り替えられます。うっかりブロックでもしようものなら「得した感」が出てくるほど。計算に入れてないボーナスみたいなものですからね。

そういう意味では守備を減らして攻撃に注力した、というイメージとはちょっと違うのかもしれません。攻撃には注力しているのですが、日本が得意な守備(=ディグ)を最大限活かしているという意味では、守備から入ってしっかり攻撃するという意識が高まり、守備にもいい効果が出ているのかもしれません。この調子で連戦連勝、期待したいものです。

ということで、今後の試合観戦用のメモとして、21日の「ワールドグランプリ日本VSトルコ戦」よりハイブリッドなローテーションをチェックしていきましょう。

◆どこかで1回整理しないとわからなくなるので、整理することにしました!

バレーボールはサーブ権を獲るごとに6人の並びが時計回りに動いていくスポーツ。その意味では、サッカーのシステム以上に流動的でないといけません。流動する前提で、どう流動しても対応できるように個々人が動かないといけない競技なのです。

ブロックができるかどうか。レシーブが得意かどうか。右利きか左利きか。そういうことを考えながら、本来の位置と試合の中での位置取りを考えていく。ときには左サイドから右サイドへ大きく移動したりして。そのあたりを見ていくと、「ここは攻撃の枚数多くてチャンスだな」とか「ここは組み立てが難しいピンチだな」という差が見えてきます。

全日本女子が目指すhybrid6は最終的には、どんな布陣からでも安定した守備と多彩な攻撃が繰り出せる「全員攻撃、全員守備」を意図したものなのでしょう。サーブが得意で、レセプションができて、左右どちらからも打てて、ブロックに足る上背があって、バックアタックが打てる。夢物語であった「木村沙織が6人いれば」を真剣に目指す…そんな戦術なのかもしれませんね。

以下、トルコ戦での全日本女子のローテーションと大まかな動き、役割分担についてまとめていきます。「新鍋にバックアタックがあればもっと組み立てやすいな」とか「いっそ新鍋をリベロにしたら佐野よりも二段トスが安定しそうだぞ」とか「ミドルブロッカー役で守備力ある選手がほしい」とか、個別に見て行くといろいろと課題が見えてくるかもしれませんしね。

<S5:セッターが後衛レフト側>

 木村 大野 石井

 宮下 長岡 新鍋
     (佐野)

※日本はサーブ権のない第1セットと第3セット、このローテーションでスタート

【味方サーブ時】
・長岡にリベロを入れる
・新鍋はサーブ後、バックセンターに入る
・新鍋に替えてバックアタックがある石田などを入れる手もある
・大野がブロック中央に入る
・ライト攻撃も得意な木村がレフト側からライト側に移動
・石井はレフト側に移動

【反撃時(トランジション)】
・木村はライト側に移動して攻撃準備
・石井はレフト側に移動して攻撃準備
・大野はセンターから攻撃準備

【相手サーブ時】
・長岡にリベロを入れる
・センターにリベロ、左に前衛から降りてきた木村、右に新鍋という3人でレセプション
・リベロ>>新鍋>>>木村の順でレセプション優先
・木村が拾った場合は、木村がすぐ起き上がってレフトから攻撃準備
・新鍋が拾った場合は、木村がレフトから攻撃準備
・大野はセンターから攻撃準備
・石井はライトから攻撃準備

S5D

スタートメンバーのままだとバックアタックがないローテーション。しかし、木村がレセプションをしないわけにもいかず、そこで体勢崩されると石井のライト攻撃、大野のセンターからの攻撃と、あまり推せない形の攻撃となる「苦しいローテ」。サーブレシーブでリベロが1本キレイに上げてレフトから木村でスコンと切りたい。

<S4:セッターが前衛レフト側>

 宮下 木村 大野

 長岡 新鍋 石井
(佐野)

※日本はサーブ権のある第2セット、このローテーションでスタート

【味方サーブ時】
・長岡にリベロを入れる
・サーブ後、石井はバックセンターに入る
・宮下がブロック中央に入る
・木村がレフト側に移動

S4S

【反撃時(トランジション)】
・木村はレフトから攻撃準備
・大野はライトから攻撃準備
・石井はバックセンターから攻撃準備

【相手サーブ時】
・長岡にリベロを入れる
・センターにリベロ、左に前衛から降りてきた木村、右に新鍋という3人でレセプション
・リベロ>>新鍋>>>木村の順でレセプション優先
・木村が拾った場合は、木村がすぐ起き上がってレフトから攻撃準備
・新鍋が拾った場合は、木村がレフトから攻撃準備
・大野はライトから攻撃準備
・石井はバックセンターから攻撃を準備

S4D

このローテーション、新鍋がバックアタックを打たないのでシンクロしても攻撃は3枚まで。前衛からレシーブに参加する木村が崩されると、レフトからの攻撃がなくなり、バックアタックかライトかという苦しい攻撃を強いられることに。それでもこの形から入るのは、石井のサーブが相手を相当に崩すと期待してのもの。Vプレミアリーグサーブ賞の本領を見せるか。本領を見せない場合は、非常に困ることに。

<S3:セッターが前衛中央>

 長岡 宮下 木村

 新鍋 石井 大野
           (佐野)

【味方サーブ時】
・新鍋、石井はレシーブがいいのでリベロは入れない
・大野はサーブ後、バックレフトに急いで入る
・新鍋はサーブと同時にライト側に移動
・木村はサーブと同時にレフト側に移動
・長岡はサーブと同時にライト側に移動
・宮下がブロック中央に入る

S3S

【反撃時(トランジション)】
・木村はレフト側から攻撃準備
・長岡はライト側から攻撃準備
・石井はバックセンターから攻撃準備

【相手サーブ時】
・大野にリベロを入れる
・センターにリベロ、左に新鍋、右に前衛から降りてきた木村という3人でレセプション
・リベロ>>新鍋>>>木村の順でレセプション優先
・木村が拾った場合は、木村がすぐ起き上がってライトから攻撃準備
・新鍋が拾った場合は、木村がライトから攻撃準備
・長岡はレフトから攻撃準備
・石井はバックセンターから攻撃準備

S3D

味方サーブ時にリベロが入らないローテーション。しかもサーブを打つ大野にバックアタックがなく、ディグもさほど期待できないので、サーブを打ったあとは「邪魔にならない」ようにしていることになる。石井が相手の攻撃をレシーブした場合は、レフト木村・ライト長岡の二択になる、左右のエースの踏ん張りどころ。相手サーブを受けるときには木村が狙われて、木村が拾って木村がライトから打つというケースも多くなりそう。新鍋・石井のディグ、長岡のレフト・ライト、石井のバックアタックと、個人の踏ん張りに期待がかかるローテ。

↓全体的に苦しいラリーになるも、一番穴っぽい大野がレシーブで1本いいディグをしたので奪えたポイント(3分10秒頃から)!



構造上のピンチを上手く切り抜けた!

ただの1点より大きな1点です!

トルコ撃破、待ったなし!

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<S2:セッターが前衛ライト側>

 新鍋 長岡 宮下

 石井 大野 木村
     (佐野)

【味方サーブ時】
・大野にリベロを入れる
・木村はサーブ後、バックセンターに入る
・石井はサーブと同時にライト側に移動
・長岡はサーブと同時にライト側に移動
・宮下がブロック中央に入る

S2S

【反撃時(トランジション)】
・新鍋はレフトから攻撃準備
・長岡はライトから攻撃準備
・石井はバックライトから攻撃準備
・木村はバックレフトから攻撃準備

【相手サーブ時】
・大野にリベロを入れる
・センターにリベロ、左に前衛から降りてきた新鍋、右に木村という3人でレセプション
・リベロ>>木村>>>新鍋の順でレセプション優先
・木村が拾った場合は、新鍋がレフトから攻撃準備
・新鍋が拾った場合は、新鍋がすぐ起き上がってレフトから攻撃準備
・長岡はライトから攻撃準備
・石井はバックセンターから攻撃準備

S2D

石井・木村2枚のバックアタックがあり、左利きの長岡がロスなくライトに入れるローテーション。攻撃時には4枚同時にシンクロすることが可能で、木村のサーブがよいことを考えると、ここは連続得点を稼ぎたいローテ。しかし、今のところ木村のバックアタックは上手く合わず。トルコ戦第3セット17点目のような形が理想的。

↓4人が一斉に攻撃態勢に入る!これなら必ずフリーの選手が生まれるという寸法(5分30秒頃から)!


キレイに決まった!

いいシンクロ具合です!

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<S1:セッターが後衛ライト側>

 石井 新鍋 長岡

 大野 木村 宮下
(佐野)

【味方サーブ時】
・大野にリベロを入れる
・宮下はサーブ後、バックライトに入る
・新鍋はサーブと同時にライト側に移動
・長岡がブロック中央に入る

S1S

【反撃時(トランジション)】
・石井はレフトから攻撃準備
・長岡はセンターから攻撃準備
・新鍋はライトから攻撃準備
・木村はバックセンターから攻撃準備

【相手サーブ時】
・大野にリベロを入れる
・レフトにリベロ、センターに木村、右に前衛から降りてきた新鍋という3人でレセプション
・リベロ>>木村>>>新鍋の順でレセプション優先
・木村が拾った場合は、新鍋がライトから攻撃準備
・新鍋が拾った場合は、新鍋はすぐ起き上がってライトから攻撃準備(木村はバックセンターから攻撃準備)
・石井はレフトから攻撃準備
・長岡は中央に入り込んで攻撃準備(体勢によってライトにも入る)

S1D

ブロックの都合で長岡がライトからではなくセンターから攻撃をすることが多くなるローテ。hybrid6らしいセンター攻撃が見られるとしたらここ。長岡がセンターに入り込む動きをおとりに、後衛から木村のバックアタックが…という形にまでなれば相手のミドルブロッカーはスコーンと抜かれてイイ顔するはず。ただし、石井と新鍋が共に前衛でかつレフト側に寄るので、レセプションは若干やりづらそう。レフトで攻撃に集中できる石井がズドンと一発で決められるかどうかで、試合の流れが変わりそう。

<S6:セッターが後衛中央>

 大野 石井 新鍋

 木村 宮下 長岡
          (佐野)

【味方サーブ時】
・木村はレシーブがよく、宮下はセッターなのでリベロは入れない
・長岡がセンターから打って、仕方なくそのままバックセンターに入る
・長岡に代えてピンチサーバーを入れるケースも(石田瑞穂、高田ありさのアピールチャンス)
・大野がブロック中央に入る
・石井はレフト側に移動

S6S

【反撃時(トランジション)】
・新鍋はライトから攻撃準備
・大野はセンターから攻撃準備
・石井はレフトから攻撃準備
・長岡はバックライトから攻撃準備
・木村はバックレフトから攻撃準備

【相手サーブ時】
・長岡にリベロを入れる
・センターにリベロ、左に木村、右に前衛から降りてきた新鍋という3人でレセプション
・リベロ>>木村>>>新鍋の順でレセプション優先
・木村が拾った場合は、新鍋はライトの攻撃準備
・新鍋が拾った場合は、新鍋がすぐ起き上がってライトから攻撃準備(木村はバックセンターから攻撃準備)
・大野はセンターから攻撃準備(新鍋が崩れた場合はライトに)
・石井はレフトから攻撃準備

S6D

サーブで新鍋を狙われて体勢崩れた場合、攻撃がレフト側に偏ってしまいやすいローテーション。大野がモトコスペシャルばりにライトまで移動していくわけにもいかず、ちょっと苦しい攻撃になりそう。しっかりレセプションして、大野のセンターからの速攻でスムーズに切りたいローテ。守れるピンチサーバーを入れて、相手からの攻撃に備えるのも手。

とまぁこんな感じで戦った全日本。通常なら身長が低めでアタックに参加しないセッターは、なるべく前衛に来ないようにまわしたいところのはず。ところがこの試合では宮下がバックライトから始まるなど、そこまでセッターの位置にはこだわっていない模様。「身長が低い竹下をなるべく前衛に行かせない」ために、いつも竹下のサーブから始まっていた時代に比べると、布陣まで自由度が高まっているんですね。なるほどhybridですね。まだまだ引き出しがありそうで、これは見る甲斐がある感じですね。


慣れないことをしているので、ヘンなところがあれば随時ご指摘ください!