『呪詛抜きダイエット』(大和書房)

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 連日のように猛暑がつづく日本列島。薄着の季節になり、思ったよりダイエットの成果が出なかったと落ち込んでいる人もいるのでは? ダイエット商材のCMや情報番組を見るたびに「これが欲しい!」「楽して痩せたい!」という思う一方で、心のどこかで「でもどうせ痩せないんだよな」「ムダになるから最初からやらないほうがいい」とブレーキをかけていないだろうか? そういった呪いを跳ね飛ばし、自分らしい体型を手に入れた一部始終を描いたのがマンガ家・田房永子氏の『呪詛抜きダイエット』(大和書房)だ。

 田房氏は、実母の過干渉や心ない一言で長年にわたって傷つけられた過去から母との絶縁までをつづった著書『母がしんどい』(新人物往来社)で、多くの人の共感を得た。幼いころから自己肯定感が低く、鏡を見ることが苦手で、ファンデーションが一部にしか塗れていなかったり眉毛がなかったりということもざら。鏡が全面にあるヨガ教室でも苦痛を感じていたという。食事制限をすればダイエットに成功していたものの、根本的な食欲は治まらずにリバウンド。チョコレート付きのビスケットや鳥のからあげなど「太りやすい食べ物」を買ってきては、「何かがとりついているかのよう」に食べてきたのだ。

 精神科クリニックや催眠セラピーを通し、母との確執を含めた過去と向き合うことに慣れてきた田房氏は、「太る食べ物を大量に食べなければいけない『理由』がある それが知りたい」と自分自身でセラピーを施していく。

 そんな田房氏の心の奥底にいたのは、小学5年生の"私"。母親がパジャマを普段着として着るようにと買ってきて、反抗もむなしくパジャマで修学旅行に参加することに。田房氏は、そういった母の行動は「いじめ」だったと初めて認識する。そして、母親にいじめられているという事実を認められなかったからこそ、母にされたことではなく"私がもともとみじめだからイヤな思いをするんだ"と防御壁を作り、「みじめでいなきゃいけない」と長年自分に呪いをかけてきたことにも気付く。つまり、自分自身を守るために、自分を太らせてきたのだ。

 過去に向き合えた翌日には、「体がポンプみたいになってすごい勢いで排出を始めた」というように、吐き気に襲われ、トイレに駆け込む。そして、次の日からは高カロリーのものに全く食指が動かなくなったという。自分への呪いが解けたことで、自ずと健康な体を取り戻したのだ。

 とはいえ、「私はみにくい」「キレイになるためにお金を使ったりプロに頼んだりしちゃいけない」と思う自分を解放したりと、田房氏のダイエットは前途多難。しかし呪いをひとつひとつ解いていくことで、散歩やヨガ、食事制限などに前向きに取り組めるようになるのだ。

 田房氏がダイエットの結果を数字として求めなかったことも、ダイエット成功の理由だろう。「-○kg」ではなく、「私は私が気に入る容姿になればいい」ということに重点を置くことで、過激なダイエットや過剰なプレッシャーを防いだのだ。

 いつもダイエットが続かない人は、「どうせ自分は長く続けられない」「1kg、2kg減ったところで意味がない」などと、知らず知らずに自分に呪いをかけていないだろうか? 自分自身のトラウマやコンプレックス、過去と向き合い、「どんな自分になりたいか」を見つけることからダイエットを始めてみてはいかがだろうか。
(江崎理生)