「紅白のPerfume」でも使われている、今、巷でよく目にする「プロジェクションマッピング」って何?

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プロジェクションマッピングといえば「紅白のPerfume」を連想する人も多く、すでに結構な人に刷り込まれてきている感のある昨今。気が付けば、いまや自治体の街おこし的なイベントやショッピングセンターのアトラクションなどでも、よく見かける。テレビなどの映像や、あるいは直接イベントで気が付かずに目にしたことがある人も多いのでは? ここでは、いまさら聞けない(聞けるかもしれないが)プロジェクションマッピングを取り上げよう。

◎プロジェクションマッピングって何がすごいの?
そもそもプロジェクションマッピングとは何か?言ってしまえば、映像を投影しているだけではあるのだが、その対象が「単純な平面」ではないところが人気の秘密なのだ。凹凸がある対象物や動いている対象物に映像を投影し、映像として、あるいは対象物と組み合わせる・融合させることで、見る人に驚きと感動を与えるパフォーマンスを成立させている。

一般に、投影する対象に映像を投影する、張り合わせる(マッピングする)技術を総称してプロジェクションマッピングと呼ぶ。では、映画などと同じかというと、ちょっと違う。

どういうことかというと、映画館のスクリーンは平面でそこに映写する。これはプロジェクタで、壁の平面やスクリーンを対象に映像を表示する場合も同じ。

しかし、これが平面ではないものだったらどうだろう。たとえば、カーテンのようなひだがあるものに映像を写すと、ひだの曲面に映る映像は部分的に損なわれる。プロジェクターは、対象物が平面だろうと凹凸があろうと、ただ映像を投影するためのものだから、当然そうなる。
プロジェクションマッピングの場合は、対象とする物体を物理的に解釈して、その形状に合わせて、まるで平面に映しているかのように映像を生成(出力)し、投影するのだ。
◎動画編集技術、3Dモデリング技術など複数技術の融合のなせるワザ
プロジェクションマッピングでは、対象物の形をとらえてパースを計算し、それに合わせて映像を加工し、対象物の面に沿って、あたかも張り付いているように見せている。この離れ業を実現するには、縦・横・奥行といった対象物の立体としての形状を計算するための仕組みと技術が必要だ。そして、映像に対して、対象に張り合わせたような効果をつけるという技術までも要る。

実際に使われる仕組みもいろいろで、あらかじめ対象物の形状を計算し映像を作っておく場合もあるし、その場で赤外線など使って投影先を計測・計算して行う場合もある。
さらには、投影対象が動くものであれば、その動きにあわせでリアルタイムの計算と処理が必要になる。昔ならスーパーコンピューターで行うレベルで、計算量だけでも想像以上になる。

紅白のPerfumeのステージでは、動いている彼女たちの衣装に映像がマッピングされていた。テレビで見てしまうと、なんとなく「へえ」な感じかもしれないが、単そうにみえるものほど、実は本当はすごいのだ。

◎ついに対象が人間の顔!?
プロジェクションマッピングは、登場してまだ数年だが、各方面で驚くほど広く展開・利用されている技術の1つといえる。投影対象もちょっとした凹凸のある壁や立方体などから東京駅、姫路城など、壮大なスケールのものまでに及んでいる。またリアルタイム性を取り入れたり、あるいは3Dのガンダム像であったり、より複雑な形状にも対応するなど、進化も急速だ。最近では、人間の顔面にプロジェクションマッピングを施すという動画まで公開されている。

現状、使える技術として認知されたことで、これからがいよいよプロジェクションマッピングの本領発揮されそうだ。プロジェクションマッピングでできること、できる表現の可能性が本格的に拡大・展開されていくのはこれからなのかもしれない。

単に、映像を映すだけではない、凹凸がある対象物に映像を投影できるというだけではない。対象物と融合することで、今までになかった、それ以上のものを私たちに見せてくれる、そういったものが増えてくるのではないだろうか。


大内孝子