スマホはiPhoneやGALAXYだけじゃない!世界のスマホ勢力図を変えそうな2つのメーカー

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スマホの世界の勢力図が変わりつつある。スマホの世界シェアは、このところ常に首位を争っているサムスン電子とアップルともに新製品の発売後をのぞけば以前の勢いは見られない状態が続いている。この2強とよばれている大手2社がシェアを微減させている一方で、3位以下のメーカーは勢いを増している。

●新しいアジアを中心とした格安スマホメーカーの台頭と現状
最近、もっとも勢いのあるのが、アジアの格安スマホメーカーだ。中国市場の拡大にあわせてシェアを大きくのばし、周辺のアジア地域でもシェアを拡大しており、欧米市場を視野にいれられるほどの成長をみせている。
とはいえ最近話題のシャオミ社でも、まだまだ売り上げの大半が中国や新興国というメーカーも多く、こうしたアジアのメーカーが欧米などの先進国で頭角を現すのはまだ当分先になるだろう。

しかし、アジアのメーカーの中には、日本やアメリカなど先進国のハイエンドスマホ製品のシェアを奪いかねないメーカーも現れてきている。日本ではまだあまり知られていないそれらのメーカーも、数年後には日本の家電量販店で普通にスマホが売られているかもしれないのだ。

●強力なスマホメーカーへ?モトローラ買収でThinkPad効果を狙うレノボ
中でも注目したいのはレノボだ。レノボと言えば今や世界1位のパソコンメーカーでもある。実は、このレノボがスマホを作っていることは、日本ではあまり知られていない。

レノボのスマホは年々販売数を伸ばしており、既に世界シェア上位の常連組ともなっている。同社の2014年6月決算によると、レノボのスマホ販売量はついに同社のパソコンの数を初めて抜いたとのこと。売り上げの稼ぎ頭はまだパソコンだが、出荷数においては、今後、パソコンに変わってスマホとタブレットが中心となるほど急激な成長を遂げている。


スマホとタブレットの販売数を伸ばしているレノボ


レノボのスマホの販売数が伸びているのは製品ジャンルの広さにある。
・LTEにも対応する高スペックの『Vibe』シリーズ
・スタイリッシュな『Sシリーズ』
・低価格の『Aシリーズ』
こうしたハイエンドからエントリーモデルまで万遍なく製品を揃えているのである。そのため新興国だけではなく、アジアの先進国でも販売数を増やすことに成功しているのだ。

さらに今後に期待が持てる理由がある。それは2014年2月にグーグルからモトローラを買収したことだ。買収作業は年内に完了する予定であり、ブランド力の高い同社製品を中核にして先進国市場への拡販が大いに期待できるだろう。
同社が過去にIBMからパソコン部門を買収し、{ThnikPad}ブランドを十二分に活かして、先進国へも販路を広げたのと同様に、レノボモトローラのダブルブランドは他のスマホメーカーにとっても大きな脅威となるだろう。

レノボモトローラブランドでの日本市場進出の可能性
では今の勢いを追い風に、レノボのスマホが日本へ進出する可能性はあるのだろうか?
例えば家電量販店のレノボのノートパソコン売り場に、レノボのハイエンドなSIMフリースマホ「Vibeシリーズ」などを販売することは意外と簡単に実現できる可能性は高い。

またモトローラの携帯電話は日本市場から撤退して久しいが、日本での認知とブランドと力は未だに健在だ。こうしたモトローラブランドで国内通信キャリアからモトローラのスマホを販売できる可能性も高い。スマホ製品に関してはまだ中国市場が主力のレノボだが、今後は、先進国でスマホのレノボとしての存在感を今以上に高めそうである。

●自社の名前を出さずに世界各国に侵略を続けるTCLの不気味さ
レノボのように日本でも認知されたメーカー以外にも、日本進出を狙っているメーカーがある。

それがTV市場で世界シェア3位のTCLだ。
TCLは、日本ではまだほとんど知られていないが、ダークホースとして注目しておくべきメーカーだ。TCLはTVの世界シェアで2013年にソニーを抜いて世界3位となったメーカーだ。TVだけでなくほかの家電も手掛けており、その主力製品の一つがスマホなのである。実は、スマホの世界シェアでも10位以内によく顔を見せる大手メーカーの1社である。

ところが、このTCLのスマホ、海外でもあまり見かけることは無い。
それは何故だろうか?

実はTCLのスマホは、中国以外ではTCLのブランドでは売られていないのだ。
例えばヨーロッパやアジアでは、アルカテル社のブランドで販売されている。元フランスの携帯メーカーだったアルカテルとTCLの両社は2004年に合弁し、TCLがスマホを製造しており、2つのブランドを使い分けて世界各国で販売しているのである。また自社ブランドだけではなく、ヨーロッパではボーダフォンなど通信キャリアブランドスマホの一部もTCLが生産している。そのため先進国でも名前は表に出てきていないが、TCLのスマホはかなりの数が販売されているのである。


姿が見えないのに世界シェアで10位以内によく顔を見せる大手メーカーTCL


●TCLの日本侵攻はあるのか
TCLがスマホ市場に参入したころは低価格品を強みとし、大手メーカーにはない製品を主に手掛けていた。しかし今ではLTE対応や超薄型、大画面などのスマホ上位機種も機種数を増やしている。また、カラバリ豊富なファッショナブルなスマホは価格も大手メーカー品より割安でヨーロッパで若者に人気となっている。

実は、日本にもアルカテルの一部のスマホは代理店経由で販売されているが、ほとんど存在は知られていないだろう。しかし低価格スマホがブームになりつつある今、価格が安く、ヨーロッパの消費者に受け入れられた品質を持つアルカテル(TCL)のスマホが日本で本格的に販売される可能性は十分にある。


アップルとSamsunの2強に隠れて、世界では新興メーカーが次々と現れ世界のスマホ地図を塗り替えている。ハイエンドにも強くモトローラを買収したレノボ、高機能で低価格でヨーロッパ市場で成功しているTCL。
今後、この2社の先進国や日本市場への参入次第では、日本のスマホ市場にも大きな波乱を起こすかもしれない。


山根康宏