U−20W杯予選直前のSBS杯で感じた閉塞感…更なる奮起を期待

写真拡大

 8月14日から17日にかけてSBSカップ国際ユース大会が開催された。来年のU−20ワールドカップを目指し、10月にはアジア最終予選を控えるU−19日本代表にとっては、貴重な準備の場。U−19コロンビア代表、静岡ユース(静岡県U−18選抜)、そしてU−19韓国代表とタイプの異なるチームを向こうに回しての3連戦は腕試しの場でもあった。

 ただ、その結果は喜ばしいものではなかった。コロンビアにはその圧倒的な身体能力の差を前に沈黙を余儀なくされて敗れると、静岡に対しても相手の集中力ある守りを上回れずに1−1からPK戦で辛くも勝利する渋い内容に。そして韓国との最終戦では、開始早々に先制しながらも相手の力強いプレーに気圧されて逆転を許してしまう。最後は倒されたDF中谷進之介(柏レイソル)も「微妙な判定」と認めるPKで追い付いたとはいえ、その後のPK戦では敗北。1敗、1PK勝ち、1PK負けという何とも言い難い戦績で大会を終えた。

 大会を通じて露呈したのは攻撃面での閉塞感だった。「(ボランチの川辺)駿(サンフレッチェ広島)に入ったときしかスイッチが入らない」と中谷が嘆いたように、チームが意図する連動性のあるビルドアップからフィニッシュまで持ち込んだシーンは3試合を通じて数えるほど。突破に掛かる段階で勝負する選手が余りに少なく、攻撃が形にならない。韓国戦の後半では、業を煮やしたDF内田裕斗(ガンバ大阪)が「ドリブルで勝負に行くプレーが少なすぎる。前の選手に伝えたかった」と猛然と突破を繰り返し、前線の選手たちに“煽り”を入れたほどだった。

 もちろん、南野拓実(セレッソ大阪)、関根貴大(浦和レッズ)といった主軸となるべき選手が不在だったというエクスキューズはあるだろう。「(彼らがいれば)テンポも精度も変わると思う」という鈴木政一監督の分析には個人的にも同意する。選手からも「拓実くんがいれば、違いを出せると思う」というコメントも聞かれた。

 だが、それでいいのかという問題はある。

 C大阪が残留を争っている現状を思えば、南野が招集困難になる可能性はあるだろう。招集可能だったとしても、彼が不調だったり、負傷したりしていたら、どうか。世界行きの切符をあきらめるのか? アジア予選で負けた後に「拓実くんがいれば」なんて言葉を言ってほしくはないし、そもそも負けてほしくはない。どんな困難があろうとも、3大会続けて逃しているU−20ワールドカップの切符を絶対に掴み取る。それはこのチームが掲げた大前提だったはずだ。

 今大会で主将を務めたDF三浦弦太(清水エスパルス)は「責任感のあるプレーが少なすぎた。これを気を引き締める材料にしないといけない」と語り、MF金子翔太(清水エスパルス)は「韓国は僕たちより走っていた。危機感はある」と言い、内田は「もっとみんながハードワークしないと勝てない」と断じた。

 軸となる選手が不在だった大会だった。そして、不在だからこそ見せなくてはいけないものを見せられなかった大会となった。無論、こぼれてしまった水を嘆いても仕方ない。大切なのは、「あのSBSカップでひどい試合をしたことで危機感が生まれた」と2カ月後に言えるようにすることだ。

 このチームの力はこんなものではないと知っている。だからこそ、さらなる奮起を期待している。

文=川端暁彦