一時の荒れた展開から一転し、投機的な関心が薄れつつある金市場。米国の量的緩和策が年内にも終了すると伝えられる中で、今後の相場はどう動くのか。まずは9月のFOMCがターニングポイントとなりそうだ。

今後の行方やいかに。

金市場の焦点は

9月のFOMCで

金市場は、一時の荒れた展開から需給に沿った落ち着いた相場に移行しているといえる。犲給に沿った展開〞を言い換えるならば狹蟲‥関心が薄れた展開〞。象徴的なのが、先物市場であるニューヨークCOMEX(商品取引所)での出来高の減少だ。6月に入って極端に減り、6月23日までの1日当たりの出来高の平均値は11万4612枚(1枚=100オンス)で、ロシアによるクリミア併合で取引が膨らんだ3月の半分近い水準まで落ち込んでいる。

まさに「閑散に売りなし」。ニューヨーク市場での投資家(主にファンド)の関心は金から離れ、史上最高値の更新を続けている株式市場に向けられている。筆者は国内の金地金取扱店舗を数カ所ヒアリングしてみたが、やはり売り・買いともに非常に低調のようだ。経験則の教えるところでは、こういう環境のときにこそ金に目を向けるべきだろう。

足元の金市場は、ここまで悪材料となってきたFRB(連邦準備制度理事会)による量的緩和策の縮小継続について年内終了を完全に織り込んだ様子。その先の利上げを織り込んだわけではないが、6月のFOMC(連邦公開市場委員会)が示した2014年の成長率予想の下方修正と、イエレン議長の記者会見の内容からすでに低金利の継続を前提に動きだしている。次の焦点は9月に予定されているFOMCとなりそうだ。同じく経済見通し付きで議長の記者会見も予定されている会合でもある。順調に行けば10月には量的緩和策の終了が考えられるが、それを前に、翌年以降のゼロ金利解除についてさらに具体的な見通しが示されるだろう。いや、「示すもの」と市場は期待するだろう。

現時点でイエレン議長は、「状況次第であり、決まった公式はない」としている。ここまでの誤算の結果ともいえる前代未聞の緩和策は、FRBのバランスシートを4兆ドル(約400兆円)超まで膨らませることになった。終息も困難を極めるとみられ、焦点はゼロ金利解除に向けた道筋にこそあり、金利の早すぎる上昇は株式市場だけでなく景気の腰折れにつながるだろう。タイミングの見定めは困難なようだ。

波乱の目は、量的緩和策の終了後にこそやって来ると思われる。利上げを前提に価格が抑えられた状態の金市場にとっては、わずかなシナリオ変更でも敏感に反応することになりそうだ。

亀井幸一郎

PROFILE OF KOICHIRO KAMEI

マーケット・ストラテジィ・インスティチュート代表。中央大学法学部卒業。山一證券に勤務後、日本初のFP会社MMI、金の国際広報機関WGCを経て独立し、2002年より現職。市場分析、執筆公園など幅広く活躍中。




この記事は「WEBネットマネー2014年9月号」に掲載されたものです。