美容外科医といえども、その技術は残念ながらそれぞれ。より多くの症例件数があるほうが信頼できるという

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日々進歩する医療技術。難病や命に関わる病気の治療だけでなく、整形技術も同じく進化している。いわゆる入れ乳、「豊胸手術」もそのひとつだ。

ある人気AV男優によると、あおむけに寝たときでもほぼ同じ形のままだったり、触った感触が硬かったりと、見分け方があるそうだが、「なかには入れているかどうか判定が難しい女優さんもいますけどね」とのこと。

いったい、今の豊胸技術はどこまで進化しているのか? 美容整形界の第一人者、高須クリニック院長・高須克弥氏に直撃した。

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高須クリニックを開業して37年になりますが、これまで2万人以上の方に豊胸手術を施術してきました。

現在、大別して3つのバストアップ法があります。

ひとつ目が「プロテーゼ挿入法」で、シリコンバッグを挿入する最もスタンダードな豊胸術です。メリットは、一度入れると半永久的にその形が維持されること。また、大幅なバストアップが可能です。

豊胸手術は日進月歩で、術後の見た目や感触も本物と遜色(そんしょく)ないレベルになってきました。最新ではICチップ入りのシリコンバッグも登場。シリコンプロテーゼにICチップが内蔵されており、その品質管理などの情報をネット上で見ることができるんです。

ふたつ目が「マンマリーヒアル」。いわゆるヒアルロン酸を注入するプチ豊胸術のことで、切開手術を行なわず、気軽に短時間でバストアップができます。

また、何回かに分けて注入すれば、施術したことが周囲にバレずに自然なバストアップも可能。ただし、効果は半永久的ではないことと、大きなバストにしたい場合は不向きです。

3つ目が「脂肪注入術」。おなかやお尻などの細くしたい部分から脂肪を取って、それをバストに注入するという、まさに一石二鳥ともいえる豊胸術です。

メリットは自分の脂肪を注入するので拒絶反応が少ないことと、注入した脂肪の約5割は定着して、効果は半永久的ということ。逆にデメリットは、脂肪の取れる量によってバストアップに限界があることです。

豊胸手術のリスクには、感染症(熱が出て、腫れて硬くなる)やアナフィラキシーショック(薬のアレルギー)などがあります。

特にアナフィラキシーショックは麻酔によるケースが多く、麻酔科医がいるかいないかで大きく危険度が変わります。ちなみに、当院はプチ豊胸術以外は必ず麻酔の専門医が立ち会うので安心です。

患者さんはさまざまな方がいらっしゃいます。小さなバストがずっとコンプレックスだった20代の方、出産で小さくなってしまった30代の方、加齢で張りを失ってしまった40代、50代の方など。ともあれ、理想のバストを手に入れた患者さんたちの喜ばれている姿を見るたびに、この仕事をやってきてよかったなあとしみじみ思います。

高須克弥(たかすかつや)

69歳。愛知県出身。昭和大学医学部卒業。同大学院医学研究科博士課程修了。日本において美容整形を一般に認知させた立役者

(取材・文/浜野きよぞう)