昨シーズン、ツアー2勝を挙げて一気にブレイクした堀奈津佳(22歳)。しかし今季は、序盤戦から予選落ちが続くなど、思うような結果を出せていない。その現状に、彼女自身、苛立ちを隠せないでいた。

「昨季の終盤戦から今季の初めにかけて、スコアも、気持ちの面でも、本当にうまくいかなくて......。すべて、自分が悪いんですけれどね」

 ナショナルチームのメンバーとしてアマチュア時代から活躍していた堀は、2011年のプロテスト(2位)で一発合格。その年のファイナルQT(※)は68位で、翌2012年シーズンのツアー出場数は限られたものの(20試合出場、賞金ランク72位)、同年のファイナルQTを35位でフィニッシュ。2013年シーズンはツアーフル参戦を果たした。

※クォリファイングトーナメント。ファースト、セカンド、サード、ファイナルという順に行なわれる、ツアーの出場資格を得るためのトーナメント。ファイナルQTで40位前後の成績を収めれば、翌年ツアーの大半は出場できる。

 そして、3月のアクサレディス(3月29日〜31日/宮崎県)で悲願のツアー初優勝を果たすと、6月のアース・モンダミンカップ(6月27日〜30日/千葉県)で早くも2勝目を飾った。特にアース・モンダミンカップでは、2位に8打差をつけて、通算21アンダーをマーク。4日間トーナメントの最少ストロークを記録し、周囲の度肝を抜いた。

 そんなキレのあるゴルフだけでなく、所属するサマンサタバサのキュートなウェアをさっそうと着こなして、多くのファンを魅了。実力と人気を兼ね備えた女子ゴルフ界期待の若手プレイヤーとして、一気に躍動した。

 それだけに、今季はさらなる飛躍が期待されたが、冒頭で記したように、ここまで際立った成績は残せていない。6月には3週連続予選落ちという、屈辱まで味わった。

「決して調子は悪くなかったんです。でも、噛み合わない部分が多かった。それが、気持ちの面からきているのはわかっていたんですけど......」

 不振の主な要因は、メンタル面だった。ひとつひとつのプレイにおいても、自分の思い描いたとおりの結果がともなわず、悩み、苦しんでいた。そこで堀は、トーナメントを戦う中でも、ひたすら自分と向き合う日々を過ごすように心掛けてきたという。とりわけ、強く意識していたのは「自分の気持ちをコントロールすること」だった。

「これまでは、少しのミスでも内面の苛立ちが表情に出たりして、感情が表に出てしまうことが多かった。それが、次のプレイに影響していました。でも最近は、少しずつですけど、そういう部分の精神的なコントロールはできてきていると思います」

 その成果は、確かに結果にも表れ始めている。3週連続で予選落ちを喫したあと、昨年優勝したアース・モンダミンカップ(6月26日〜29日/千葉県)で予選ラウンドを突破すると(50位タイ)、以降はすべての試合で決勝ラウンドに進出。日医工女子オープン(7月4日〜6日/富山県)では4位タイ、センチュリー21レディス(7月25日〜27日/静岡県)でも5位タイと、上位にも名を連ねるようになった。

「過去の2勝がどうのこうのよりも、今は自分のゴルフとしっかりと向き合うことが大事だと思っています。"自分らしさ"を持っている人って、勢いがなくても勝てると思うし、勝ち続けられると思うんです」

 昨季2勝したことで、堀はやや背伸びして、自分の実力以上のモノを求め過ぎていたのかしれない。しかし、とことん自分のゴルフと正対し、自分というモノを見つめ直すことで、本来の姿を取り戻しつつあるようだ。

 一方で、"自分らしさ"を求めるようになった堀は、勝つことの難しさを改めて感じているという。

「"勝つ"って、本当に大変だと思うんです。昨季は初優勝できて、そこからいい流れの中で2勝目を挙げることができました。勢いがあったり、調子も良かったりと、さまざまな要素が重なっての2勝でした。でも、それだけじゃ勝ち続けられないし、いつまでもそんな状態が続くわけがないと思うんです。だから今季は、地に足をつけて、地道にやらなきゃいけないと思っているんですよ。本当の意味での"強さ"を身につけるというか......」

 だが"真の強さ"など、そう簡単に身につけられるものではない。堀自身、それはよくわかっている。

「"強さ"って、今の自分に足りないものが何かをよく知り、自分と向き合い続けていく中で、足りないものを補いながら、少しずつ身につけていくしかないのかな、と思っています。(賞金ランクトップの)韓国のアン・ソンジュプロや、親友でもある今季好調の(成田)美寿々を見ていてもよくわかるんですが、何勝もしている人は、そういうことがしっかりとできている人だと思うんです。そんな選手になれるように、私もひとつ、ひとつ問題をクリアして、がんばっていきたい。そして、我慢強くプレイしていれば、必ずチャンスはめぐってくると思っています。そのときに『絶対に優勝を獲るんだ』という気持ちは、昨年にも増して、すごく強くなっています」

 昨季終盤からここまで、散々悩んでもがきながら、練習を重ね、試合に挑んできたのだろう。普段ファンに見せる愛らしい笑顔とは裏腹に、鋭く、真剣な眼差しで語り続けた堀。その口調は落ち着いていて、浮わついたところなど一切なかった。不振のときを経て、明らかにひと皮むけた彼女が、一歩ずつ、着実に、3勝目への階段を上がっていることは間違いない。

text by Kim Myung-Wook