脳への「ニューロン幹細胞」移植に成功:パーキンソン病治療へ

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マウス実験において、皮膚細胞をリプログラミングしてつくったニューロン幹細胞を脳に移植したところ、6カ月後には完全に機能するようになった。神経変性疾患に治療の道が開けるかもしれない。

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マウスの脳に移植された脳細胞が、6カ月後には完全に機能的に統合されたことが確かめられた。この移植の成功は、死滅した脳細胞の置き換えができる可能性を示唆するもので、パーキンソン病のような神経変性疾患に治療の道が開けるかもしれない。

ルクセンブルグ大学の「Luxembourg Centre for Systems Biomedicine」の幹細胞研究チームが行ったこの実験では、ホストマウスの皮膚細胞をリプログラミングして「誘導ニューロン幹細胞」(induced neuronal stem cells)を作成し、これを脳に移植した。

脳の海馬と皮質に移植されたこれらの細胞は、新たに形成されたシナプス(ニューロン間の神経活動に関わる接合部位)を介して、6カ月後には、元からある脳細胞と完全に機能的に統合されたという。

誘導ニューロン幹細胞は、ホストの脳の中で、時間とともに、各種の脳細胞に変化した。具体的には、ニューロン(神経細胞)や、グリア細胞のひとつであるアストロサイト、さらにはオリゴデンドロサイト(希突起膠細胞)へと変化した。

移植された脳組織が長期にわたって生き続けるためには、既存の細胞ネットワークとの機能的統合が不可欠だ。移植された細胞は、いくつかの試験でも正常に活動した。マウス本体においても、好ましくない副次的影響は見られなかった。

研究者チームの次の目標は、パーキンソン病患者の脳の中で死滅していく特定の種類のニューロン、つまり大脳の黒質内にあってドーパミンを分泌しているニューロンを置き換える方法を探すことだ。将来的には、これらのニューロンの移植によって、減少したドーパミンの分泌を回復できる可能性があり、パーキンソン病の有効な治療法になるかもしれない。

ただし、マウスを使った現在の研究から人間の臨床試験へ至るには、まだかなり長い道のりがあることは言うまでもない。

研究論文は『Stem Cell Reports』に掲載されている。

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