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恋愛における「話し合い」とは、基本的にネガティブなものです。何か"問題"があるから話し合うわけで、おおむね不穏な空気になります。目を背けていた問題に向き合ったり、重大な決断をしなくちゃいけなかったり……。話し合いとは重たいものであり、なるべくなら避けたいという気持ちもわからなくはありません。

こういう場面に直面すると、男性は高い確率で「逃げる」というコマンドを選択します。その代表的な態度が「黙る」です。

……なんて、いきなり上から目線で偉そうに語っておりますが、私もかつて、恋人との話し合いを黙ることで切り抜けようとした経験は多々あります。

○なぜ、黙るのか?

黙っているときは「俺にもいろいろ考えがある!」「簡単に言葉にはできない!」「熟考しているのであって黙っているわけではない!」などと正当化しては"インチキ自己肯定(@二村ヒトシさん)"していましたが、自分の胸に手を当てて考えてみると、そこにある理由は実に浅ましいものでした。

・理由その1「覚えてない/考えてない」

「あのとき何であんなことを言ったの?」「こないだと言ってることが違うじゃん!」など、過去の出来事について言及されたとき、正直よく覚えてないし、ちゃんと考えてもないということがよくありました。ヘタに答えるとそのことがバレてしまい、火に油を注いでしまうかもしれない……。それを防ぐために黙っていた節が確かにありました。

・理由その2「負けるのが怖い/責められるのが怖い」

大した考えがないものだから、何か発言したとしても、反論されたり、矛盾を突かれたりする恐れがあります。そうなると、もう何も言えなくなってしまい、負けた側、責められる側に立たされてしまう……。それを回避するために、最初から黙っておくという姑息な手段に出ていたような気がします。

このように、男が黙る背景には実に浅ましい理由が存在している……。いきなり一般化して申し訳ありませんが、これは男性一般にも当てはまることだと思います。

黙っていればボロが出ないし、答えなくて済むし、責任も発生しない。そして話し合いは結論がうやむやなまま収束へ向かい、その場の苦しみから解放されるわけです。こうやって書くと実に最悪ですが、おそらく母親の小言などをそうやってしのいできた経験からこれを「メリット」として学習してしまい、黙るというコマンドを選択する癖がついてしまっているのだと思われます。お前は地蔵か!

でも、果たしてそれでいいのでしょうか。……いいわけありませんよね。われわれ男は黙ることで苦しみから解放されるかもしれませんが、その分「何か」を失っていることに気づいていないのです!

○「話し合い」をめぐる認識の男女差

長年いろんな人々から恋バナを収集する中で、「話し合い」の目的が男女で相当ズレていることに気づきました。ここには、悲しいくらい深くて大きな溝がある。

それは何かというと、「自分の不安や不満を相手に伝え、感情を吐き出し、問題を解決するために意見を出し合い、二人で最適な答えを出していく」ことを話し合いの目的にしている女性に対し、男はそんなことはつゆ知らず、「嵐よ早く去れ!」ということばかり考えている……。だから黙ってやりすごそうとばかりするわけです。お前は地蔵か!

しかし、女性は男がそんな理由で黙っているとは思いもしないため、「何で答えてくれないんだろう……」「何を考えているのかわからない……」「黙られると怖い!」「黙っているのは私に言えないことがあるからでは?」というように、不安や戸惑いをますます募らせてしまうようです。

別れ話でない限り、基本的には「関係を良くしたいから」話し合いを求めているわけです。それなのに、余計不安な気持ちになるなんて……理不尽もいいとこですよね。こうやって少しずつ失望感が蓄積していく、それがある境界線を越えたとき、彼女たちの気持ちは一気に「別れる」へ振り切れてしまうのです。

○過去や未来のことを持ち出すのは「愛情」の表れ

話し合いというのは、放っておけばズレていってしまう関係性を逐一チューニングしていく大事な行為です。それを回避すると、ズレはどんどん大きくなっていってしまいます。

男性は目の前の彼女が笑っていれば「関係がうまくいってる」と捉える傾向にあると思いますが、女性は二人の間にさしたる問題がない状態を「うまくいってる」と認識します。だから、過去の発言や顕在化していない未来の話も、ちゃんと解決したり見通しをつけられていない限りは「問題」なのです。

「昔のことを蒸し返すなよ」「そんな先のことはわからない」と男性は思うかもしれませんが、それは相手が自分に好意や関心を持ってくれているから話題に出ることであって、興味がなくなれば、過去の細かいことなんて全部忘れてしまうし、二人の未来のことだって考えもしなくなるでしょう。

「俺」のことばかり考えている彼氏と、「私たち」という単位で二人の関係性を考えている彼女……。この悲しいくらいのズレをわれわれ男がちゃんと認識しないと、本当にヤバいことになると思う! そうやっていろいろ考えてもらえていたことが「愛情」だったと後になって気づいても、マジで遅いぞ!

重たい話し合いのときこそ人間の器が露呈します。それは相手が自分のことを普段以上に注意深く見ている時間であり、対応次第では決定的な絶望にもつながりかねません。

話し合いの目的は勝つことでもなく、論破することでもなく、早く終わらせることでもなく、「問題を共有し、一緒に解消していくこと」です。嵐が去るのを黙って待つのは自由ですが、たとえ話し合いが終わっても、彼女の中にはモヤモヤしたものが残ってしまって、それは時間差で必ずまたよみがえってくるから! 何と引き替えに面倒を回避しているのかを考えないと、あとで絶対に悔やむことになるから! 私はそれで、別れてから4年間も後悔し続けてるから!

絶望されたら終わり、失われた関心は二度と戻ってこないということで、話し合いのときに黙るのはダメ、ゼッタイでよろしくお願いします!

○今回のマナーポスター「話し合いのときに黙るな!!」

○まとめ

・男が黙ってる理由は正直浅ましい

・話し合いとは「関係性のチューニング」

・失われた関心は二度と戻ってこない

<著者プロフィール>清田隆之/桃山商事1980年、東京生まれ。失恋ホスト、恋のお悩み相談、恋愛コラムの執筆など、何でも手がける恋愛の総合商社「桃山商事」代表。男女のすれ違いを考える恋バナポッドキャスト『二軍ラジオ』も更新中。「日経ウーマンオンライン」や「messy」でコラムを連載中。著書に『二軍男子が恋バナはじめました。』(原書房)がある。Twitter @momoyama_radio

タイトルイラスト: 清田隆之

(清田隆之)