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●写真甲子園とは今年で第21回を迎えた「写真甲子園」こと全国高等学校写真選手権大会。8月5日から8日まで北海道・東川町を中心としたエリアで「本戦」が開催された。例年にない悪天候と北海道らしからぬ蒸し暑さに見舞われたが、クオリティが高く、気持ちのこもった作品が多く見られ、筆者も大いに刺激を受けて帰ってきた。

○写真甲子園とは

写真甲子園は、本戦の撮影フィールドでもある東川町、美瑛町、上富良野町、東神楽町、旭川市や、北海道新聞社などで構成される写真甲子園実行委員会が主催し、キヤノンおよびキヤノンマーケティングジャパンが特別協賛社としてサポートしているイベントだ。

2014年は初戦に応募した全国521校から、本戦に進む18校が選ばれた。本戦出場校の選手と監督は8月4日に現地入りし、11日まで滞在。競技は6日〜8日の3日間で、各日に撮影と作品提出を行い、審査員から講評を受けるのだが、これがなかなかタイトでハードなスケジュールとなっている。

■競技の流れ

■関連記事「写真甲子園2014」レポート (その2) - 1,000件の「いいね!」より価値ある審査講評「写真甲子園2014」レポート (その3) - 雨の中のファイナル撮影、そして作品提出「写真甲子園2014」レポート (その4) - 高く評価されたのはどんな写真?

●撮って出しの8枚組作品で競う「本戦」さて、写真甲子園は高校生3人で1つのチームをつくり、組写真で競い合うスタイルを継続しているが、「初戦」と「本戦」はまったくの別物といえるほど、競技の性格が大きく異なる。まずその違いについてふれておきたい。

○撮って出しの8枚組作品で競う「本戦」

初戦と本戦の違いでとりわけ大きいのが、作品づくりにかけられる「時間」、「撮影のシチュエーション」、お題として与えられる「テーマの有無」の3点だ。

初戦の応募期間は3月下旬から6月初旬まで、それ以前より撮影することも可能なので、たっぷり時間をかけて作品を仕上げることができる。そして、初戦ではテーマの指定がないため、被写体や題材などを自由に選べる。いつ、どこで、誰を、どのように撮ってもいい訳だ。

それに対して本戦は、出場校の選手たちと監督が東川町に集結して行われる。撮影できる場所や時間にある程度の制限があり、セレクトから作品提出までの時間も決められている。バス移動による撮影タイムは2時間(※)。セレクト開始から2時間10分で作品を提出しなければならない。 ※最終日を除く。宿泊先や移動中など空き時間でも撮影可。

また、本戦では3日間の各ステージごとにテーマが定められ、それに添った作品づくりが求められる。しかも、テーマは開会式直前のオリエンテーションではじめて知らされる。今大会で出題されたテーマは、ファーストステージが「北海道」、セカンドステージが「夏」、ファイナルステージが「ときめき」だ。

さらに、本戦では写真データをパソコンで編集することが不可となっている。色や明るさの調整はもちろん、トリミングも禁止。「撮って出し」で8枚の組写真を構成することが求められる。

このように競技概要を書いていくと、勝利至上主義の猛者が争うイベントのように思われるかもしれないが、現場ではそこまでギスギスと追い込まれた様子は感じられない。「勝負」の要素があるのは確かだが、選手の自主性を尊重する監督、大会を楽しんでいる選手たちが多かったように思う。運営スタッフやボランティア、東川町の人たちが、自然となごやかな雰囲気をつくっている好影響もあるのだろう。

●撮影セカンドステージ、埼玉栄高校に同行さて、筆者は撮影セカンドステージとなる、8月7日の午後から取材を開始した。前日、前々日と旭川周辺では大雨による被害も出ており、コンディションを心配しながら現地入りしたが、東川町周辺では大きな影響はなかったようだ。

○まさかのダッシュで撮影スポットに

7日午後の撮影エリアは、東神楽町・旭川空港周辺。選手たちは3台の巡回バスに分乗して、撮影スポットに向かっていくのだが、筆者は到着したばかりで、テンションがまったく追いついていない。

そんな中、前回優勝校の埼玉栄高校(3年連続9回目出場)が徒歩で移動するようなので、これ幸いと監督に同行をお願いした。快く許可をいただき、ほっとしたのもつかの間、選手たちがまさかのダッシュ開始!! 家具工場に向かうのだという。「ウチは体力勝負だから」と高橋朗監督。はたして、どのくらいの距離を走るのか?

移動の途中、玄関先で立ち話をしている人を見つけるや、選手の一人が駆けつけて元気に明るく声をかけて撮影をはじめる。田舎であるうえに、今大会では天候が悪いことも重なって"人"を見つけるのが大変なのだ。「本戦までくると、撮影技術より、人とのコミュニケーション。思い立ったらバーンと一歩踏み出す行動が必要になってくる」(高橋監督)。

目的地の家具工場はホームステイ先のご主人の勤め先。撮影にあたっての注意をいくつか受けてから、選手たちは撮りはじめた。しばらく観察していると、3人ともカメラを構えて撮るのだが、役割が分担されているようだ。それとも、行動が重複しないよう、臨機応変に動いているのか。1人が話しかけて、他の2人が異なる角度から表情を狙っていく。

道中、高橋監督は歩きながら、「写真甲子園は初戦を抜けて北海道に来るまでがとにかく大変。むこう(自分たちのホーム)で撮れても、こっちの現場(北海道)で撮れないということもある」と語った。やはり、初戦と本戦は別物なのだ。

一足先に集合場所に戻ると、次第に出場18校の選手たちも撮影データの提出に集まってきた。14時にメモリカードの提出が締め切られ、3台のバスは東川町のメイン会場へと発車した。この後、15時10分からの「セレクト会議」を経て、作品提出、公開審査会と進んでいく。

本稿の続きはこちら、もしくは関連リンクより「その2 - 1,000件のいいね! より価値ある審査講評」をクリック。

(阿部求己)