2018-0410
博報堂DYHD(ホールディングス)は2018年4月10日、同社グループ主要3社(博報堂、大広、読売広告社)の2018年3月分の売上高速報を公開した。今回は同社の主要部門別売上高の前年同月比、そして各種指標を過去の公開値などを基に独自に算出し、各種広告売上の動向、さらには広告業界全体の動きを確認していく。

4マスは新聞のみプラス


データ取得元の詳細な情報、各部門における算出上の留意事項、さらに今件カテゴリーの過去記事は【定期更新記事:電通・博報堂売上動向(月次)(電通・博報堂)】に収録・記載済み。今件記事に併せ、そちらで確認のこと。なおすでにお伝えしている通り、電通は2018年1月分から月次の業績報告を行わなくなったため、今記事における精査も博報堂DYHDのみが対象となる。

まずは主要部門ごとの前年同月比を計算し、グラフ化する。


↑ 博報堂DYHDの2018年3月分部門別売上高前年同月比

4大従来型メディアと当サイトでは命名している(かつては4大既存メディアと表記。4マスとも呼ばれている)昔ながらの主力メディア、具体的にはテレビ・ラジオ・新聞・雑誌の動向を確認すると、今回月は紙媒体の新聞と雑誌では新聞のみプラス、ラテと呼ばれる電波媒体はテレビとラジオ双方がマイナス。結果として新聞のみがプラス、それ以外はマイナスとなった。新聞が2ケタ台の下げ幅は毎度のことではあるが、今回月では2か月ぶりにプラスを計上する形となった。他方雑誌がマイナス10.4%と大きめの下げ幅なのが気になるところ。テレビはごくわずかな下げ幅だが額面そのものが大きいだけに、全体に与える影響を考えれば憂慮すべき結果ではある。

インターネットは1割以上の上げ幅を計上。前年同月における前年同月比はプラス14.8%と大きな上昇を示しており、その反動による影響を受けているにも関わらずこの上げ幅。同社におけるインターネット広告の成長ぶりが再確認できる(2年前同月比を試算するとプラス27.0%)。

一般広告は全部門でプラス。特にクリエイティブは2割近い上昇を見せている。クリエイティブの内容は「『新聞・雑誌・ラジオ・テレビ・インターネット』の広告表現立案および広告制作、広告出演者の契約料など」となっている。

各年3月における売上総額の推移を確認


次のグラフは博報堂DYHDの2006年以降における、今回月となる3月を基準にした毎年3月分の売上高総額をグラフにしたもの。年を隔てた上で同月における比較となるので、選挙やオリンピック、FIFAワールドカップのような、広告と深い関係を持ち、売上に大きく影響を与える事象が無い限り、季節による変動を気にせず中期的な動向を確認できる。

↑ 博報堂DYHD月次売上総額(各年3月、億円)
↑ 博報堂DYHD月次売上総額(各年3月、億円)

金融危機の勃発、リーマンショックによる景気悪化の加速、そしてそこからの立ち直り、震災や極度の円高に伴う低迷感、そして回復へ。3月動向に限ると、リーマンショックによる不況で落ち込んだ2010年から震災で痛手を受けた2011年を底に、何度か後退の年がありながらも全体としては順調な回復ぶりを見せている。

なお今件記事では日本の大手広告代理店として、売上高、取扱い領域の幅広さ、対象地域の広さ、日本国内に与える影響力など、多数の面で上位陣営に座する博報堂の動向を精査している(かつては電通も併せ「日本の二大広告代理店」だったが、上記の通り電通が2018年1月分から月次業績を非公開としたため、現在の形となった。また、もちろん日本には両社以外にも多数の代理店も存在する)。

次に各部門の具体的な売上高を掌握できるグラフを生成し、その実情を確認する。それぞれの部門の具体的な市場規模や部門間の違いが、成長度合いでは無く現状の売上の観点で把握できる。

↑ 博報堂DYHDの2018年3月における部門別売上高(億円)
↑ 博報堂DYHDの2018年3月における部門別売上高(億円)

インターネットは毎月目覚ましい成長率を計上しているものの、売上金額=市場規模としては他の部門と比較すると、どんぐりの背比べレベルでしか無い。また、4マスとインターネット以外の一般広告市場が大きな規模を示していること、テレビの広告市場がひときわ巨大であることなどが一目でわかる。テレビだけで全売上の3割強もの額面を示している(今回月は一般広告、中でもクリエイティブとマーケティング・プロモーションが大きく伸びたため、通常月のような4割台の値では無い)。



2017年12月分までと比べると随分とすっきりとした形となったが、これは本文中でも言及の通り、【電通が単体売上高の月次開示を取りやめることになった件について】にもあるように、電通では2017年12月分を最後に、月次開示を取りやめることになったため。売り上げ規模は電通の方が博報堂DYHDよりも上のため、日本の広告業界の動向を推し量るのには、博報堂DYHDのみでは少々ぶれが大きい感も否めないが、無いものはどうしようも無い。

発表タイミングは1か月遅れる形になるが、経産省が発表している【「特定サービス産業動態統計調査」の精査記事】も併せて読んでいただくことをお勧めしたい。