ウクライナ上空で乗員乗客298人が乗ったマレーシア航空の旅客機が撃墜された事件は全世界に衝撃を与えました。現在も真相究明が進んでいますが、親ロシア派の武装勢力がロシア軍から供与された地対空ミサイルを誤射したとみて間違いないでしょう。

 ところで、「親ロシア派」とはいったい何者なのでしょうか。

 ウクライナ危機は、民族紛争というより地域対立です。ポーランドなどEUに加盟した旧共産諸国と接する西部地区と、ロシアの強い影響下に置かれた東部地区では、経済政策の利害が真っ向から対立してしまうのです。

 そんななか、ソチ五輪を利用して親EU派がクーデターを敢行し政権を奪取します。それに対抗してロシアは、軍事戦略上の拠点であるクリミアを併合しますが、その後、東部地区に親ロシア派の武装勢力が台頭してきたのです。

 ところで、報道によるとこうした武装勢力は大半がロシアからやってきた義勇兵です。ウクライナの首都キエフは古名がルーシであるように「ロシア発祥の地」とされており、同朋が差別されていることと、その聖地がヨーロッパに奪われることへの反発が彼らを駆り立てているのだといわれます。

 しかし、それだけのことで隣国の紛争に参加しようと思うでしょうか。家族や恋人と離れ、仕事を失い、生命まで賭けなければならないのです。

 このように考えると、「義勇兵」に志願するのはふつうのひとたちでないことがわかります。

 ウクライナで起きていることは、1990年代にボスニア紛争に介入したセルビアとよく似ています。

 ユーゴ建国時のパルチザンの英雄の息子として生まれたアルカンは、厳格な親に反発して不良となり少年院に送られたあと、イタリアでユーゴ出身者の地下組織に加わって銀行強盗や殺人などの凶悪犯罪を繰り返し、国際指名手配犯となります。ベオグラードに戻ってからはカジノ経営で成功し、裏社会に君臨する一方、ストイコヴィッチが所属していたことで知られる名門サッカークラブ・レッドスターの関連会社の社長に収まりました。当時はユーゴスラヴィアが崩壊に向かう混乱期で、アルカンはレッドスターのフーリガンたちを民族防衛の義勇兵に組織したのです。

 セルビア大統領のミロシェヴィッチが義勇兵を必要としたのは、欧米の反発で正規軍をボスニアに投入できなかったからです。

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