住友商事とアジア大洋州住友商事会社は12日、マレーシアの肥料製造販売会社Union Harvest (M) Sdn. Bhd.(UHM)の株式を60パーセントまで買い増し、経営権を取得したと発表した。今後、アジアの肥料事業の一大拠点として事業拡大に努めるという。

 住友商事によると、UHMはマレー半島東部のパハン州クアンタンに年間生産能力15万トン規模の化成肥料工場を持ち、同国内のオイルパームプランテーション向けの肥料を製造している。同社の製品は一般的な化成肥料に比べ効果が持続する特徴があり、代表的な商品銘柄は同国のパーム油産業を所管する政府機関からの推奨も受けるなど高い評価を得ているという。

 住友商事グループは、日本、中国、マレーシア、豪州など主にアジア大洋州域内で、肥料の末端需要家である農家やプランテーションへの肥料製品の販売を中心とした肥料事業を展開している。マレーシアでは1993年に市場参入し、2004年にUHMの20パーセント株式を取得した。今回はさらに事業拡大することを狙い株式の買い増しを実施した。

 2020年までには、新工場建設などを通じて売上高を現状の約3倍(約200億円)まで増やす計画という。また、農薬などの農業生産資材の取り扱いや、世界最大のパーム油生産国であるインドネシアへの進出も検討するという。

 住友商事グループによると、マレーシアの肥料市場は年間約450万トンと世界有数の規模を持ち、世界で最も生産が多い植物油であるパーム油(オイルパーム)用肥料が80パーセント以上を占める。今後もオイルパームプランテーションの面積増加や植替需要に伴い、肥料市場も安定的な成長が予想される。