強靭なフィジカルを生かした縦への突破が魅力の鈴木武蔵。まだJでの実績は乏しいが、将来性のある選手だ。(C) SOCCER DIGEST

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 8月11日、日本代表のハビエル・アギーレ新監督が来日し、就任会見が行なわれた。日本代表は、新たな局面を迎えることになるが、今後代表メンバーにはどのような顔ぶれが並ぶのだろうか。気になるのは、アギーレ新監督が視察への意欲を傾けているJリーグの選手たちだ。果たして、指揮官に興味を抱かせるプレーヤーは誰なのか。『週刊サッカーダイジェスト』編集部が、新生日本代表に推したい「代表デビュー前」のJリーガーをピックアップした。

【写真】アギーレ新監督に推薦! 日本代表の「新戦力」候補

FW
鈴木武蔵(新潟/20歳/今季成績:18試合・1得点)
推薦ポイント → 縦への推進力
 
まだまだ荒削りな面は否めないが、強靭なフィジカルとスピードを活かした縦への推進力は買いだ。他の選手の良い部分を吸収しようとする貪欲な姿勢の持ち主で、A代表の空気に触れれば、さらなる成長が期待できるだろう。
 
FW
武藤嘉紀(FC東京/22歳/18試合・5得点)
推薦ポイント → スピードと足下の技術
 
裏に抜けるスピードと足下の技術は一級品。ヘッドも強く、想起させるのは若かりし頃のC・ロナウドだ。18節の清水戦では、鋭い切り返しからの弾丸シュートでGKのニアサイドを抜いた。その一連の動きはまさに代表クラスだ。
 
FW
小林 悠(川崎/26歳/17試合・7得点)
推薦ポイント → スペースを突く感覚、速攻にも遅攻にも対応
 
今シーズンは序盤戦から好調を維持し、17節終了時点で7得点・3アシストのハイパフォーマンスを披露。タイミング良くスペースを突く嗅覚に優れ、スピードを駆使してゴールに迫る。川崎では速攻でも遅攻でも個性を出しており、アギーレ新体制でもその能力を遺憾なく発揮しそうだ。
 
FW
大前元紀(清水/24歳/19試合・3得点)
推薦ポイント → アタッカーとしての器用さ、ファイター気質
 
仕掛けから崩し、フィニッシュまで器用にこなす清水の10番は、代表のような高いレベルの中でぜひ見てみたい。能力から言えば、今まで呼ばれていないのが不思議なくらいだ。前線からプレスをかける献身性や、最後までゴールを狙う気迫も備えており、指揮官の求める「ファイター」としても資質充分。岡崎に続く清水産の右のMFとしても推薦する。
 
FW
宇佐美貴史(G大阪/22歳/11試合・5得点)
推薦ポイント → 多彩な攻撃性能、ゴールへ向かうプレー
 
シーズン開幕前の怪我がなく存分にその能力を示していれば、ブラジル大会の代表メンバー入りの可能性もあった実力者。すでに怪我も癒え、J再開後の15節からは5試合・4得点と決定力の高さを見せつけている。19〜20歳の2年間はドイツで揉まれ、課題のフリーランやフィジカルコンタクトにも確実に成長の跡が見られている。新政権下ではアタッカー陣の主軸に躍り出る可能性も。
 
FW
南野拓実(C大阪/19歳/18試合・0得点)
推薦ポイント → 攻撃センスと献身性
 
柿谷の抜けたC大阪の新たなエース候補。今シーズンは無得点と不調に陥っているが、その攻撃センスは19歳とは思えないほど。高い攻撃力に加え、フィジカルが強く、献身的なプレーを厭わないのも、ハードワークを求めるアギーレ監督好みだろう。
 
FW
小川慶治朗(神戸/22歳/17試合・3得点)
推薦ポイント → 攻守に貢献できる走力、重要な場面での勝負強さ
 
高い走力と利他的な精神で、攻守に躍動する。自陣ゴール前でピンチを防いだかと思えば、すぐさま相手ゴール前で決定機に絡む。シュート精度が高く、貴重な得点を奪うことも多い。五輪などこれまで代表とはなかなか縁がなかったものの、その実力は折り紙付きだ。
 
FW
高崎寛之(徳島/28歳/16試合・5得点)
推薦ポイント → 高さとスピード、起点となる動き
 
190?近い長身ストライカーながら、スピードも兼ね備え、敵陣の空いたスペースを巧みに突いて起点を作り、隙あらばシュートまで持ち込む。この夏、4得点を決めるなど絶好調。彼の売りでもある最後まで絶対に諦めない泥臭さは、むしろ日本代表に新鮮さをもたらすはずだ。
MF
富田晋伍(仙台/28歳/今季成績:19試合・1得点)
推薦ポイント → ボール奪取能力、危機察知力
 
ヴェルディユース仕込みの確かなテクニックとサッカーセンスはもちろん、相手と絶妙な間合いを取りながら瞬時にボールを奪う能力は抜群。一見おとなしそうだが、勝負へのこだわりは人一倍強く、球際でもしぶとく食らいつく。攻守の切り替えは速く、危機察知能力も高い。ボール捌きもテンポが良く、堅守速攻でもポゼッションスタイルでも対応できるボランチだ。
 
MF
柴崎 岳(鹿島/22歳/19試合・4得点)
推薦ポイント → 展開力、ゴールに関わるプレー
 
持ち味の展開力はますます磨きがかかり、ゴールに直結する飛び出しの頻度も増してきた。課題としていた守備面も、エリア内までカバーに戻る場面が増えるなど、明らかに向上している。現在のプレーぶりを見れば、呼ばれないほうがおかしい。
 
MF
大谷秀和(柏/29歳/16試合・0得点)
推薦ポイント → 攻守に機転の利くプレー、豊富な国際経験
 
柏では、3-4-2-1のダブルボランチのほか、3-5-2でワンボランチを担当。危険察知能力を活かしたボール奪取に加え、最終ラインまで下りてからのビルドアップでも存在感を発揮するなど、攻守に機転の利くプレーができる。クラブワールドカップ、ACL、スルガ銀行カップと国際試合の経験が多い点もアギーレ監督好みか。
 
MF
高山 薫(柏/26歳/19試合・2得点)
推薦ポイント → スピードと推進力、ユーティリティー性
 
アギーレ監督の基本スタイルである「堅守速攻」の「速攻」に応えられるスピードと推進力を備えるアタッカー。守備に不安は残るものの、絶え間ない上下動に耐えられるスタミナ、複数のポジションをこなせるユーティリティー性はそれを補って余りある。
 
MF
関根貴大(浦和/19歳/12試合・1得点)
推薦ポイント → テクニカルなドリブル
 
怖い物知らずの浦和ユース出身のテクニカルなドリブラーで、ピッチに立てば必ずやひと仕事をする。14節・C大阪戦では、超満員の埼スタの観衆の前でプロ初ゴールを決めて強烈なインパクトを残した。試合の流れを一変する切り札として、今すぐにでも推したい!

MF
三田啓貴(FC東京/23歳/今季成績:16試合・2得点)
推薦ポイント → 攻撃センス、ポリバレントな能力
 
センスの塊で、ボールを持てばなにかやってくれそうな雰囲気を醸し出す。守備力もまずまず高く、中盤ならどこでもこなす利便性は買いだ。駆け引きを覚えて安定感が高まれば、速攻を仕掛ける際の絶対的な起点になれる。
 
MF
大島僚太(川崎/21歳/17試合・0得点)
推薦ポイント → 攻撃のリズムを作り出せるパスセンス
 
今季の川崎で最も成長を遂げた若手のひとり。中村憲剛とともにポゼッションサッカーの軸となり、長短の正確なパスをさばいて攻撃のリズムを作る。とりわけ繊細なボールタッチと鋭い縦パスは目を見張るものがあり、卓越したテクニックはA代表でも十分に通用する水準にある。
 
MF
兵藤慎剛(横浜/29歳/16試合・1得点)
推薦ポイント → オフ・ザ・ボールの動き
 
決して派手なプレーヤーではないが、当たり前のことを忠実にこなせる選手だ。特筆すべきは、オフ・ザ・ボールでの動き。ポジショニングを常に微修正しながらパスコースの確保に務め、ボールの流れをスムーズにする「潤滑油」となる。スタミナも豊富で攻守に献身性を示し、利他的なプレーを厭わない。チームに必ずひとりはいてほしいタイプだ。
 
MF
森岡亮太(神戸/23歳/19試合・2得点)
推薦ポイント → ラストパス、キープ力の高さ
 
高い攻撃力を誇る現在の神戸を牽引する絶対的な司令塔。最終ラインを切り裂くスルーパスは秀逸で、高いキープ力で周囲を生かすプレーが得意。自らゴールを狙う姿勢をもう少し押し出したいところだが、その「魅せるプレー」は代表でも一度、見てみたい。
 
MF
水沼宏太(鳥栖/24歳/16試合・1得点)
推薦ポイント → 走力の高さをベースにしたプレー
 
名ドリブラーとして名を馳せた父とは全くタイプが異なるが、その高い走力と高精度のクロス、カットインからのシュートは目を見張るものがある。U-17代表で活躍した当時と比べてメンタル面が成熟し、好不調の波も小さくなってきた。ただでさえタレント揃いの現代表の2列目に、殴り込みをかけてもらいたい。
 
MF
松本昌也(大分/19歳/23試合・2得点[J2])
推薦ポイント → 将来性と技術の高さ
 
JFAアカデミー仕込みの高い技術を持ち、11年U-17ワールドカップでは日本代表のボランチを務めた次世代の司令塔。プロ2年目にしてコンスタントに先発出場の機会を増やし(最近はレギュラー)、試合ごとに急速に進化を遂げている。4年後を見据え、ぜひアギーレ監督の手もとでも育ててもらいたい逸材。

DF
菅井直樹(仙台/29歳/今季成績:16試合・1得点)
推薦ポイント → フィジカルを生かしたプレースタイル、得点感覚
 
今年30歳と若くはないが、恵まれたフィジカルを活かしたパワフルなプレースタイルは新監督好みと言えるのではないか。本職はSBだが、神出鬼没な飛び出しでゴール前に顔を出すなど、非凡な得点感覚の持ち主。守備では1対1の強さでサイドの攻防を制す。
 
DF
植田直通(鹿島/19歳/13試合・0得点)
推薦ポイント → 身体能力、1対1の強さ
 
中学時代にテコンドー日本一となるなど抜群のフィジカルを持つCB。とりわけ1対1には、「外国人にも負ける気はしない。逆にぶっとばしてやりたい」と豪語するほどの自信を持つ。今シーズン開幕戦でリーグ戦デビューし、9節・広島戦でスタメンに定着すると、持ち前のパワフルな守備で存在をアピール。リオ五輪経由ロシア行きを狙う若手のホープだ。
 
DF
今井智基(大宮/23歳/19試合・1得点)
推薦ポイント → 外国籍選手に競り負けない身体能力
 
無尽蔵のスタミナで上下動を繰り返すSBは身体能力が高く、「外国籍選手にも競り負けない」フィジカルと精神の強さが売り。クラブではコンバートされたCBでも奮闘を見せる。まだ粗削りながら右肩上がりの成長曲線を描く有望株だ。
 
DF
高橋祥平(大宮/22歳/19試合・4得点)
推薦ポイント → CBとしての総合力の高さ
 
時折未熟さをのぞかせる精神面に課題を残すが、負けん気と能力の高さは折り紙付き。CBとして速さと強さ、高さを兼備するだけでなく、足下の技術も確かで、ビルドアップの能力を見込まれてSBとしても起用されている。
 
DF
佐々木 翔(甲府/24歳/19試合・2得点)
推薦ポイント → 身体能力の高さを活かした守備
 
昨秋、甲府が育成年代の指導者養成に招聘したメキシコ人指導者のリカルド・エルナンデス氏は、そのプレーを見て「日本代表になれる可能性がある」と高く評価。年々、確かな成長を見せており、身体能力の高さを活かした守備はひと際目を引く。ボランチ、SBを難なくこなせるユーティリティー性も魅力で、甲府という枠を越え、ハイレベルな環境下でどれだけやれるか見てみたい選手だ。

DF
大武 峻(名古屋/21歳/12試合・0得点)
推薦ポイント → 空中戦の強さ、ビルドアップの能力
 
高さと強さを武器に、特別指定選手ながらJリーグ史上初めて開幕スタメンを勝ち取った期待のCB。空中戦の強さに加え、ビルドアップなどの攻撃面においても高い能力を発揮している。アギーレ監督の眼鏡に適う素質は十分ありそうだ。
  
DF
西野貴治(G大阪/20歳/9試合・0得点)
推薦ポイント → 攻守両面での空中戦
 
各年代の代表に選出されてきたCBで、今年1月のU-22アジア選手権にも出場。リーグ戦では12節以降に定位置を確保すると、チームも歩調を合わせるように調子を上げた。187センチの体躯を活かした空中戦に自信を持ち、日本の弱点である「高さ」を補いながら、攻撃の起点としても貢献が期待できる。
 
DF
塩谷 司(広島/25歳/17試合・5得点)
推薦ポイント → フィジカル面の強さ、攻撃力
 
速さと強さを兼備した肉体派のCB。球際の強さは、対峙する外国籍FW相手にも引けを取らない。攻撃力も魅力で、今季はすでに5得点。豪快なオーバーラップを敢行し、流れの中から得点できるのが強みだ。夏場に入り、調子を落としているのが気がかりな点。
 
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遠藤 航(湘南/21歳/26試合・5得点[J2])
推薦ポイント → 攻守両面での質の高さ
 
シーズン半ばにしてJ2で首位を独走中の湘南の若きディフェンスリーダー。3バックの右CBとして、読みの鋭さを生かした攻撃的な守備と、精度の高いフィードを生かしたビルドアップで、攻守両面にわたって質の高いパフォーマンスを見せる。U-21代表の主軸としてリオ五輪出場、上位進出を目指すとともに、A代表でも試してほしいDFだ。