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団地初心者にお勧めの団地ってどれですか? と訊かれたら、「そうだねえ…」とメガネを外しレンズを拭きながらぼくは答えるだろう。白髭東アパートと河原町団地だ、と。というか「団地初心者」ってなんだ。

白髭東アパートは第1回目でご紹介した長さ1kmのびっくり防火壁団地だ。あれには誰もが度肝を抜かれるだろう。そして今回ご紹介するのが河原町団地。こちらもびっくりだよ。ご覧頂こう。どーん!

どうですか。すごいよねえ。かっこいい。この河原町団地は川崎市幸区にある。団地を見に行きたいけど、どの団地を選んだらいいか分からない、という方は迷わずここへ行って見てほしい。初心者から手練れの団地マニアまで大満足の団地だ。外観もかっこいいが、内部もすごい。友人が住んでいて、部屋を見せてもらったことがあるがその複雑な間取りにびっくりした。

この団地は1972に入居開始。今年で42歳。ぼくと同い年だ。設計者は大谷幸夫。国立京都国際会館の設計で有名な建築家だ。残念ながら昨年2013年に亡くなってしまった。一度お会いしてみたかった。「河原町団地ちょうかっこいいですね!」って言いたかった。

この国立京都国際会館は映像作品にしばしば登場する。例えばウルトラセブンの「ウルトラ警備隊西へ」では地球防衛軍の基地になっている。わかるー。地球守りそう。言われてみれば河原町団地も宇宙コロニーっぽい。

団地と言えば真四角の羊羹のような形のものを思い浮かべると思うが、こういう意欲的なデザインのものもあるのだ。残念ながら現存しないが、公団初の本格的な高層団地だった「晴海高層アパート」もモダニズム建築の巨匠・前川國男設計のとてつもなくかっこいい作品だった。いまでも一部が八王子にあるUR都市機構「集合住宅歴史館」に移築保存されているのでぜひ見てみてほしい。

前川國男はコルビュジエの弟子と呼ばれていたが、大谷幸夫も丹下健三の片腕と称され広島平和記念資料館の設計を手伝ったそうだ。団地にはそういったきら星のような大建築家を起用した時代があったのだ。

○コロニーにもお祭りは欠かせない

さて、今回はこの宇宙コロニー団地・河原町団地のお祭りを見てきた。ハイライトは御神輿の練り歩きだ。この宇宙コロニーと御輿との組み合わせは、猛暑とあいまって、まるでくらくらする白昼夢の中の出来事のような光景だった。

まるで宇宙コロニーから発射される「御神輿型戦闘艇」のようだ。なんてかっこいい。

団地が盛んに建設された時代、まさにそれは新しい理想的・文化的生活を実現するコロニーだったはずだ。そして共同体には必ず祭が必要だ。団地は「町」だからお祭りが行われる。河原町団地の祭を見ながら、きっと本物の宇宙コロニーができたらきっとそこでもお祭りが行われるんだろうな、と思った。

※国立京都国際会館の写真クレジットは下記の通り©PlusMinus ・Wikipedia「国立京都国際会館」

<著者プロフィール>大山顕1972年生まれ。フォトグラファー・ライター。主な著書に『団地の見究』『工場萌え』『ジャンクション』。一般的に「悪い景観」とされるものが好物。デイリーポータルZで隔週金曜日に連載中。へんなイベント主催多数。Twitter:@sohsai

イラスト: 安海

(大山顕)