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2014年6月、山梨・長野・静岡の3県10市町村にわたる「南アルプス」が、生態系の保全と持続可能な利活用の調和を目的とした「ユネスコエコパーク」に登録された。同地域は「サントリー天然水白州工場」が存在し、天然水を守るための自然保護活動「天然水の森」を展開している森も含まれている。そこで、サントリー食品インターナショナル食品事業本部の川村崇氏に、南アルプスでの活動内容などを聞いてみた。

○ユネスコエコパークと天然水の森

「ユネスコエコパーク」(生物圏保存地域)は、1976年にユネスコの自然科学セクターのユネスコ人間と生物圏計画における事業の1つとして開始されたもの。同じユネスコが登録する世界自然遺産が、手つかずの自然をそのまま守り続けることを目的としているのに対して、ユネスコエコパークは生態系の保全と持続可能な利活用の調和を目的とし、保護・保全だけでなく自然と人間社会の共生に重点が置かれている。

ユネスコエコパークの登録件数は、19カ国で631件(2014年6月現在)となっており、日本では「志賀高原」「白山」「大台ヶ原・大峯山」「屋久島」「綾」「只見」、そして「南アルプス」の7件が登録。ユネスコエコパークへの登録によって、南アルプスは自然と共生する持続社会の世界的モデルを目指すとともに、地域の魅力を世界へ発信することで国内外の観光客の増加、3県10市町村にわたる南アルプスの地域間交流、南アルプスの自然や文化を世界共有の財産と位置づけた取り組みなどが期待されている。

一方、「天然水の森」とは、サントリーグループが事業の生命線である自然が育んだ良質な地下水(=天然水)を守るために行っている、水源エリアの森林を保全するプロジェクト。その対象となっているのは全国17カ所の森のこと。サントリーでは、国内自社工場で汲み上げる地下水の持続可能性を保全するため、工場の水源エリアにあたる森林の所有者と数10年にわたる長期間の契約を結び、水を育む森づくりを2003年から行っているのだ。

2013年末の時点で「天然水の森」の総面積は7,600ヘクタール以上となっており、工場で汲み上げる地下水を育むのに必要な涵養面積を超える広さを確保している。さらに、2014年1月設定した2020年環境目標では、自社工場で使用する地下水量を育む面積の2倍に相当する12,000ヘクタールまで「天然水の森」を拡大するとのことだ。

南アルプスでは、「サントリー天然水白州工場」と「サントリー白州蒸溜所」の水源涵養エリアにおいて、森林ボランティアグループや山梨県などで構成する任意団体「やまなし森づくりコミッション」と協力し、森林の地権者などと森林整備協定を締結。山梨県北杜市白州町の約209ヘクタールの森を「天然水の森 南アルプス」として森林整備活動を展開している。

○サントリーの自然環境保護活動と"水育"

「天然水の森 南アルプス」では、森林整備活動だけでなく、地下水の涵養力を高めるためのさまざまな研究や、間伐材を利活用する炭焼き施設を地元集落に設置するなど、総合的な活動を実施。白州工場では、1973年に民間企業として初めて「バードサンクチュアリ」(自然と野鳥の観察路を巡らせた森)を開園し、鳥たちが住みやすい森づくりを行うとともに、定期的な探鳥会や巣箱掛けなどの活動を一般参加者や地域の人達と一緒に行っている。これは、自然環境のバロメーターといわれている野鳥を保護することが、人間や自然環境を守ることに繋がるとの考えから、サントリーが取り組んでいる「愛鳥活動」の一環だ。

さらに、貴重な水資源を未来に引き継ぐため、子どもたちに対してサントリー独自の環境教育「水育」を展開。フィールドで行う水育「森と水の学校」と、小学校で先生と連携して行う水育「出張授業」を行っている。「森と水の学校」では小学校3〜6年生とその保護者を対象に、「サントリー天然水」のふるさとで開かれる自然体験プログラムを、「出張授業」では小学校4・5年生を対象に、映像や実験を通して自然のしくみや大切さを学ぶ授業を小学校で先生たちと一緒に行っている。

今夏は、「夏休み 南アルプスの天然水 親子ツアー」の開催も予定されている。同親子ツアーでは、工場で「サントリー 南アルプスの天然水」の製造工程を見学した後に、バードサンクチュアリの散策や野鳥の鳴き声(録音)を元にしたクイズ、白州の自然環境の紹介などを実施。そのほかにも、水と森の関係を分かりやすくまとめた講義、雨水などが地層にろ過されることで天然水になる原理を実感していただく水のろ過実験、サントリーの環境保全活動を紹介しなから水と森の大切さを伝えるプログラムなども行われるとのこと。

2014年の夏は、ユネスコエコパークに登録された南アルプスへ出向き、子供がいる家庭は「夏休み 南アルプスの天然水 親子ツアー」に参加してみたり、野鳥に興味がある人は「バードサンクチュアリ」を散策してみてはいかがだろうか。

(木下健児)