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科学技術振興機構(JST)は8月6日、報道陣向けの説明会を開催し、国際科学オリンピックを終えた日本代表生徒と引率指導者による参加報告や、これから参加予定の代表生徒の紹介を行った。

国際科学オリンピックは、世界中の中等教育課程にある生徒を対象とした「科学技術に関する国際的なコンテスト」で、「知のオリンピック」とも呼ばれる。日本では、主に高校生が参加し、2004年から数学や化学、生物学、物理、情報、地学、地理といった計7分野に対しJSTによる参加支援が行われ、うち4教科は日本での大会開催も実現している。

同大会への出場者は、各分野ごと実施される国内大会にて選出されるが、この選考への参加者も「他国と比べると多いとは言い切れないが、年々増加傾向にある」という。

同機関は、国際科学オリンピックへの参加支援を、「科学技術人材育成に向けたさまざまな理数教育強化施策」の一部と位置づけ、「単に英語が話せるだけでなく、世界水準の科学的な知識・技能を習得し、国内外で活躍できる科学者や柔軟な科学的考力を駆使できる人材」を育成すべく取り組んできた。

また、生徒への指導を行うなかで、教師同士の勉強会が開催されるなど「高校教育と大学教育の連携強化」や、国際大会へ参加した際の他国生徒との交流やダイバーシティの体験による「グローバル人材の育成」などを例にあげ、国際科学オリンピックの役割を、「メダルの数や順位を競うだけのものでなく、日本の科学教育を取り巻く課題に対してのソリューションとなる可能性があるということ」だと説明した。

○大会に参加した生徒と教員たちの声

報道陣向けの説明会では、7教科ごとの指導・引率教員と代表生徒1名が出席し、各大会の概要や成績、感想などを述べた。

今年で20回目の参加となる「国際数学オリンピック」では、6名の日本代表生徒の全員がメダルを取得。金メダルを獲得した東海高等学校3年の山本 悠時君は、「試験は2日間で、1日3問を4時間かけて解く。出題される問題は、高校の授業で扱われるものよりも、思考力が試され、そういった点に面白さを感じる」と数学の魅力を語った。

「国際物理オリンピック」は、大学3、4年生がゼミなどの研究で行うような実験に取り組み、その結果を競うという。銀メダルを取得した岐阜県立岐阜北高等学校3年の林 達也君は、「非英語圏でも英語が話せる他国のライバルを見て、学習の違いに驚いた。また、高校で習う物理の内容は断片的な知識になってしまうが、微積の理論を使うなど、繋がりを持った知識の習得が必要なのではと感じた」と振り返った。

「国際化学オリンピック」では、普段は3時間かけて行う実験を、5時間のうちに3種類実施し、その後にペーパーテストも行う。そういったタイトなタイムスケジュールや他国の異なった実験環境に対応するため、「基礎学力の定着と応用・正確な実験基礎操作の習得」が必要とされるという。

同教科の日本代表では唯一の女性となる豊島岡女子学園高等学校3年の林 杏果さんは、「大会特有の環境や普段との違いに驚きはあったが、自らの得意分野では満点を取ることができた。国際交流では、開催国現地の高校にて、けん玉やお手玉を披露し好評だった」としたほか、大会への女子生徒の参加に関しては、「他国では、毎年女性が参加している事例や、参加者全員が女性であることもある。日本は2、3年に1人といった具合」と他国との違いを説明した。

なお、引率する教員は、出題される問題が正当か否かの審議や、英語から各言語への翻訳、答案の採点、得点交渉などを行う。

アルゴリズムを競う「国際情報オリンピック」は、他大会とは違い全て個人戦となる。回答は、プログラム化され採点されるため、プログラミングの技術を持ち合わせた生徒でないと参加は厳しいという。金メダルを獲得した開成中学校3年の郄谷 悠太君は、「(情報の大会なので)試験中に結果が分かってしまい、途中で心が折れそうになる場面もあった」としたほか、「日本の教育では、プログラミングを深く学ぶことが出来ず、それが参加を躊躇する要因なのでは」と述べた。

「国際生物学オリンピック」では、バリで行われた2014年大会にて、日本の提案から実現化した「教員による教育セッション」が開催され、そこでは日本と他国との教育カリキュラムの違いが明らかになったという。特に違いがあったのは、「人間に関する生物学」に関してで、日本は他国と比べ、感染症や妊娠、栄養、肥満など人体を学ぶ機会が少ないという。同大会に参加し銀メダルを獲得した筑波大学附属駒場高等学校2年の今野 直輝君は、国際交流の場において、「法被が非常に好評で、いろんな国の方から写真を撮ろうと声をかけてもらえた」など感想を語った。

なお、「国際地学オリンピック」と「国際地理オリンピック」は、今後実施される大会であるため、代表生徒の巣鴨高校3年西山 学君と東京都立武蔵高等学校3年金田 懐子さんは参加にかける意気込みを述べた。

同日の説明会に登壇した教師陣からは、国際科学オリンピックに関し、「(他国は学期が9月開始であることが多いため)4月開始の日本の学生は、約半年間の教育ギャップ(遅れ)がある。これをどのように埋めていくのかが今後の課題」との声があがった。

(原田綾子)