宇宙博2014:JAXAエリア前半は日本ロケット開発史。H-IIロケットエンジン現物などを展示

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現在幕張メッセで開催中の宇宙博2014より。日本の人工衛星やロケットの打ち上げなどの宇宙開発の変遷を年代、プロジェクトごとに展示した「JAXA・日本の宇宙開発展示エリア」では、歴代ロケットの紹介や国際宇宙ステーション(ISS)の日本実験棟「きぼう」の実物大レプリカが見られます。

今回はJAXA・日本の宇宙開発展示エリアから日本ロケット開発の歴史をご紹介します。

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ロケット20分の1模型や日本の主力大型ロケットエンジンLE-7、LE-7A実物から日本宇宙開発の歴史をたどる



日本の宇宙開発は1955年4月12日の「ペンシルロケット」水平発射実験成功から始まりました。当時日本における宇宙研究は欧米から大幅に遅れていましたが、小さな全長23cmのペンシルロケットは以降の日本宇宙開発にとって重要な物になりました。

会場には「ペンシルロケット」から「はやぶさ」「きぼう」「イプシロンロケット」など年代とプロジェクト順に模型が展示されており、大きさだけではなく構造の進化などが良く分かります。

固形燃料ロケットエンジンから液体燃料ロケットエンジンへ移り変わる燃料の種類とロケット打ち上げの推移



ペンシルロケット発射実験を行った1955年から固形燃料ロケットの開発が始まり、同時に大型化していきます。翌1956年には本格的固形燃料ロケット「カッパ - 1型」を開発。続いて1958年の「カッパ - 6型」で搭載していた測定器を高度60kmまで打ち上げました。大型化と推進力の強化を続け、1970年2月11日「ラムダ - 4S型 」ロケットで日本初の人工衛星「おおすみ」の打ち上げに成功。ソ連、米国、フランスに続いて世界で4番目の人工衛星打ち上げ国になりました。

その後も固形燃料ロケットの開発は続き、さらに推進力のコントロールができる液体エンジンロケットの開発が1964年のLS型ロケットからスタートします。液体燃料ロケットの開発は1969年に設立された宇宙開発事業団で担い、大型で強力なエンジン開発のためアメリカから技術を導入。以降主流となる「Nシリーズ」、1986年からは「Hシリーズ」の開発へ続きます。

JAXAエリア大型パネルに向かって左側に置かれたLE-7エンジンはH-IIロケット8号機から回収された実物です。同機は1999年11月15日に運輸多目的衛星1号(MTSAT-1)を搭載して打ち上げたものの、展示のLE-7エンジンが破損。推力を失ったため地上からの指令で遠隔爆破され海中に落下しました。周囲にはターボポンプやメイン噴射器(液体窒素ポンプタービンマニ)などの部品も置かれ、焼け焦げ、物によっては半壊している様子からエンジンの威力、破損と爆破の衝撃の大きさが伝わってきます。

大型パネル向かって右にはLE-7エンジンの改良型であるLE-7Aエンジンの現物が置かれています。LE-7Aエンジンは少ない推進力で効率よく推力を発生できる2段燃焼サイクルを採用。現在運用中のH-IIAロケットの第1段に1台、H-IIBロケットの第1段には2台搭載されています。

H-IIシリーズはH-Iシリーズの改良型ロケット。円高によるコストの圧迫に対応するよう構造を簡素化し、一部の部品を海外調達しています。しかし、開発中にH-IIロケット5号機と8号機の打ち上げに失敗。加えて、H-IIAロケット6号機の失敗が重なりました。それを元に開発を続け、2001年の試験機1号機打ち上げ以来24回中23回の打ち上げに成功しています。

純国産H-IIAロケットと新世代ロケット「イプシロン」、続く再使用ロケット実験機「RVT」



わずか23cmのロケットからスタートした日本のロケット開発は、次世代ロケット「イプシロン」の開発へ歩みを進めました。

H-IIロケットまでは大型化と推進力強化を最大の目標に開発が行われていましたが、高額化するコストと開発期間の長期化が懸念事項となりました。そこで全体設計を見直し、打ち上げシステムを革新。簡単、安価でコストパフォーマンスに優れたロケットがイプシロンです。小型化したため全長24mと小さく1.2tと軽くなり2013年に試験機1号の打ち上げに成功しました。打ち上げシステムも地上管制官数人、パソコン数台で完結する世界初の「モバイル管制」システムを導入。原理的にはインターネット経由で世界のあらゆるところからパソコン1台で全ての管制が可能です。

さらにコストを削減するためには、米スペースシャトルと同じく使い捨てではなく繰り返し使用できるロケットの開発が必要です。宇宙科学研究所はイプシロンロケットの開発が本格化した2010年よりも以前の1998年に再使用ロケットRVTの実験機制作を計画。RVTは衛星軌道にまで達する能力は持たず小型、安価であることと複数回の飛行が可能なロケットの開発と運用を目的に開発されています。

JAXAエリアのパネル手前に置かれたRVT実験機は、カバーが外されて内部構造が観察できるようになっています。近づいてみるとほぼ大多数がエンジンなど推進系の機器、外側には各種計測器が付いていることが分かります。まだ有人飛行に利用できる形状ではありませんが、RVTは宇宙開発の未来の形でもある準軌道宇宙観光用ロケットへの発展も期待されているプロジェクトです。いつの日か日本製ロケットで宇宙観光が出来る未来がやってくるかもしれません。