終盤にもつれた大相撲名古屋場所(愛知県体育館)は、横綱・白鵬(29)が大関・琴奨菊らとの競り合いを制し、大鵬、千代の富士に次いで史上3人目となる30回目の優勝を果たした。
 「一時はどうなるかわからないような展開でしたから、何とか逃げ切った白鵬の喜びようは大変なものでした。先場所の29回目、そして今回と千秋楽にやっと優勝が決定し、本当に苦労したという感じがにじみ出ていましたね。『これで昭和の大横綱2人と肩を並べることができて幸せです』と満面の笑みを浮かべて話していましたよ」(担当記者)

 白鵬が笑顔を見せるのも無理はない。このところの負けっぷりは気掛かりなことばかり。白鵬はこの名古屋場所を含めてこの1年間、全部で9つ負けている。その全てが10日目以降に喫したもので、大事な終盤の勝負どころでスタミナ切れを起こしているのがハッキリわかる。しかも、その負け方が悪過ぎる。
 この名古屋場所でも11日目の関脇・豪栄道戦、13日目の大関・稀勢の里戦と2敗しているが、いずれもハデにひっくり返っている。豪栄道戦はみじめな“重ね餅の下敷き”だった。大相撲界には尻もちをついたり、あおむけにひっくり返って負けるのは「引退前のお相撲さん」といわれている。

 白鵬が“大相撲界の父”と呼び、尊敬してやまない大鵬の最後の相撲も、若き先代貴ノ花(後の大関)に寄り倒されて尻もちをついている。白鵬も、少なくとも負け方だけを見れば、いつ引退してもおかしくない状態なのだ。
 「このモタツキの原因は2つあります。一つはこの2、3年の慢性的な稽古不足。この場所前も、出稽古して関取たちと本格的な申し合いをしたのはたった4日間だけでした。そのツケが出ているんですよ、2つ目はやはり年齢的なもの。あの大鵬も今の白鵬の年齢の29歳を過ぎてからは、たった1回しか優勝していません。白鵬も人間、だんだん引退の時が近づいているってことじゃないですか」(協会関係者)

 名古屋場所は、大関昇進を確実にした豪栄道はともかく、遠藤、大砂嵐、照ノ富士、高安ら、若手の台頭が目立った場所だった。白鵬は「まだまだ若い力のいい壁になっていきたい」と対抗心を燃やしていたが、さて、どこまでこの言葉を実行できるか。
 周りとの距離は明らかに縮まっている。