コミュニケーションの方法はテクノロジーによって日々変化している。現在は、スマートフォンが主流のコミュニケーションデヴァイスだが、それも数年後にはどう変わるかまったくわからない。MITの最先端のインターフェイス研究は、もはやデヴァイスからの解放を視野に入れ始めている。

「PC、スマホの「次」のデヴァイス:MITメディアラボが描くインターフェイス研究の最前線」の写真・リンク付きの記事はこちら

現代のわたしたちは、さまざまなデヴァイスを所有し、SNSやソーシャルメディアなどを使いながら、24時間いつでもどこでもコミュニケーションできるようになった。

しかし、ネットワークはたしかに発展したが、デジタルデヴァイスはいまだ変わっていない、とMITメディアラボ教授のパティ・マースは指摘する。

「インテルやApple 兇誕生して40年以上を経ていますが、いまだコンピューターは箱型の域から脱していません。さらに言えば、一般的に利用され始めた1980年代から使い方も何も変わっておらず、わたしたちはコンピューターの前に座ったりデヴァイスをもち、かつなにかの作業をするために集中しなければ使うことができません」

今日のデジタルデヴァイスは、人間が何かを操作しないと動かない受け身なものであり、使おうとすれば画面を直視したり下を向いたりすることでデヴァイスによって視界が遮られてしまう。未来のデジタルデヴァイスはそうした状況から脱し、デヴァイス自らが能動的に動いたり、人間が無自覚でも操作できたりするものになると考えている。

「新しいデジタルデヴァイスをつくり出すためには、これまでにないまったく新しいサービスや人の経験を考えないといけません」と語るパティは、コンピューターはデヴァイスから解放され、より身近で当たり前なものにならなければいけないという。そこでMIT内でFluid Interfaces(流動インターフェイス)という研究グループを立ちあげ、日々さまざまな研究を学生たちと行っている。ここでは、その研究グループが開発したインターフェイスを5つ、紹介しよう。

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FutureInterfaceMIT Media LabSmart Device

1.Sixth Sense

2009年に発表された「Sixth Sense」は、AR技術を使って情報を投影するウェアラブルテクノロジーだ。指の動きに合わせて投影した情報を操作したり、デジタル情報を現実世界にレイヤーとして重ねたりすることができる。

デヴァイスではなく情報インターフェイスのあり方に大きなシフトを起こそうと取り組んだこの技術は、パティの研究グループの大きな基礎研究になっていると言える。

2.Finger Reader

デジタルをオフラインに反映するだけでなく、現実世界の情報を違った情報に変換することも新しい情報インターフェイスのあり方と言える。指先に装着した「Finger Reader」は、目の不自由な人たちのために、テキストをなぞると即時にテキストを音声で読み上げてくれる指輪型のデヴァイスだ。

システムのコアは、テキスト抽出アルゴリズムと読み上げソフトで、高解像度の動画カメラと装着者に触覚的なフィードバックを与える振動モーターが備わっており、指を動かすべき方向へ導いたり、行の終わりがきたらそれを伝えたりする仕組みになっている。

3.WordConnenct

ウェアラブルデヴァイスのグーグルグラスを使った研究によって生まれたのが、「WordConnect」というアプリだ。グラス上で認識した情報を画面に注釈付きで写しだし、さらに母国語以外の言語表示も行う。イヤフォンを通じて単語の発音なども伝えることができ、人と人の言語の壁を超えたコミュニケーションのあり方を模索しようとしている。

4.LuminAR

デヴァイスに取り付けた装置から壁や机に投影したARを通じて、あらゆるものが情報インターフェイスとなるテクノロジーだ。投影されたプロジェクターはジェスチャーの高さや深さなどを計測し、立体物質の情報も読み取ることができる。

これによって、あらゆる場所をブラウザ化したり、情報を読取るインターフェイスに早変わりする。また、情報を映し出すという仕組みを用いて工場などでは次の作業工程などの指示出しをすることができ、専門家やプロの動きを「LuminAR」にインストールさせておけば、効率の良い作業方法を伝えることができる。

5.Smart Object

Internet of Things(IoT)によってあらゆるものがインターネットと接続した環境では、デヴァイスを触らなくても操作することが可能となるかもしれない。「Smart Object」は、IoT化されたデヴァイスを、手元のスマートフォンやタブレットを通じて操作することができるテクノロジーだ。

このシステムを使えば、物理的なワイヤーなしにラジオを流したり電源のオンオフ、照明の切り替えなどが可能で、新しい形のオンラインからオフラインへの情報の流れを生み出すことができる。

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こうしたさまざまな情報インターフェイスの研究を踏まえて、未来の人たちは目の前のデヴァイスから解放され、360度あらゆる身近な環境が情報インターフェイスになっていくとパティは語る。つまり、コンピューターデヴァイスを手元に所有するという感覚すらなくなっていくのだ。

「デジタルは、よりフィジカルと融合してきます。現在語られているウェアラブルやAR、IoTといったものはすべてシームレスになり、統合されていくでしょう」

「人々はデヴァイスから解放され、五感を通じ、新しいフィジカルのあり方を見出すこととなり、ビジネスにおいてもあらゆる分野を横断するサービスやアプリケーションが必要とされるでしょう。こうした新しいインターフェイスが実現することで、新しい社会が構築されていくのではないでしょうか」

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