100年前に開戦した第一次世界大戦は、自動車をはじめとする各種の乗り物を革新した。同時代を象徴する英国の名車「ヴォクスホールDタイプ」を中心に紹介。

「英国の名車「ヴォクスホール」は、戦火の馬たちの命を救った」の写真・リンク付きの記事はこちら

いまから100年前の1914年夏に、第一次世界大戦が始まった(6月28日にボスニアでサラエヴォ事件が発生。7月28日、オーストリア=ハンガリーがセルビアに宣戦布告。8月にロシア、ドイツ、フランス、イギリス、日本が参戦した。関連記事:第一次世界大戦の開戦をリアルタイムで伝えるTwitterアカウント)。

第一次世界大戦直前の自動車は、人間の人生に喩えると「不器用な10代の若者」だった。富裕層が真っ先に自動車を手に入れた一方で、ヘンリー・フォードが「フォード・モデルT」の量産を開始したところだったが、当時のおおかたの交通手段はまだ、馬に乗って移動するというものだった。だが、第一次世界大戦によってそれは一変した。

第一次世界大戦では、終戦までの4年間に各分野で技術開発が進められ、新しい乗り物がたくさん誕生した。飛行機や戦車、飛行船などが次々と生み出されたほか、自動車も大きく進歩した。

英国の自動車メーカーヴォクスホール(Vauxhall)社の「Dタイプ(25hp)」は、1915年に初めて生産ラインを離れ、西部戦線(現代のドイツ、ルクセンブルグ、ベルギー)やエジプト、ロシアの戦場を横断した。3,969ccの4気筒エンジンを搭載した5人乗り自動車で、最高時速は約97kmだった。

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戦場に行く前には、英国のヒルクライムレースやトラックレースで優勝していた。

Dタイプは、英国軍の上層部に使用され、戦地で馬に代わる魅力的な移動手段となった。エンジン出力を馬力と比較するのが妥当だったこの時代に、25馬力というのは素晴らしい性能だった。

4年間の戦闘で約800万頭もの馬が死んだが、軍用に生産された1,500台のDタイプがなければ、もっと多くの馬が命を落としていたと考えて間違いないだろう。

Dタイプは現在、2台しか残っていない。上の画像はそのうちの1台だ。

この車は、スティーヴン・スピルバーグ監督の映画『戦火の馬』で使われたもので、かつては、英国王ジョージ5世がフランス北部の戦場を視察する際に利用された。英国で今年開催される第一次世界大戦100周年記念式典でも公開される予定だ。

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ピーク時には、1週間に8台のDタイプが生産された。

ヴォクスホール社は、第一次大戦後は外国企業との競争激化の影響を受け、1925年、米国ゼネラルモーターズ(GM)に買収された。現在同社が販売している乗用車の多くは、同じくGMの子会社であるオペル車のバッジエンジニアリングであり、その展開はイギリス国内に限られている。

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