Q:仕事で知り合いの人が最近、「NASH」という肝臓の病気になりました。彼はお酒はほとんど飲みません。NASHは歯周病が原因で発症するというのは本当でしょうか。とすると、私は歯周病があるので心配です。大丈夫でしょうか。(46歳・写真スタジオ経営)

 A:NASH、つまり非アルコール性脂肪肝炎は、その名のとおり、飲酒に関係なく発症することがわかっていました。突然、脂肪肝や肝炎になり、ひどいときは肝硬変に進みます。
 肝臓病の原因にウイルスがありますが、NASHはウイルス感染も関係ありません。つまり、原因は不明とされてきました。そもそもアメリカ人に多く、肥満などが原因ともいわれてきましたが、詳しいことはわからないままでした。
 それが歯周病の細菌が原因として関係していることがわかってきました。2年前には、横浜市立大や大阪大学などの研究チームが、「NASHの患者が歯周病菌を保有する割合は健康な人の約4倍と高く、歯周病の治療で肝機能が大幅に改善することを突き止めた」と発表したのです。
 NASHの患者102人を調べたところ、歯周病菌の保有率は52%で、健康な人の約3.9倍でした。また、肥満のマウスに歯周病菌を投与すると、3カ月後に肝臓が平均で約1.5倍に肥大化し、肝炎が悪化したそうです。

●まずは歯周病の治療を
 さらに、歯周病のNASH患者10人に、歯石を除去したり抗生物質で歯茎の炎症を抑えたりする治療を行った結果、3カ月後には平均で肝機能の数値がほぼ正常になったといいます。
 私は歯科医師ではありませんが、口呼吸がさまざまな病気を引き起こす原因になると確信しています。口呼吸は口腔内の細菌を繁殖させ、歯周病の発症や悪化を促進します。
 さらには、それが咽頭感染症を引き起こし、さまざまな病気の発症に関係してきます。口呼吸の改善のために私は、口の体操「あいうべ」を長年指導してきました。
 歯周病がひどくなるのは、免疫力がまだ保たれている40、50代で、これはNASHの好発年齢と重なります。このことも、両者の密接な関係を示唆しているといえるでしょう。
 NASHの予防は歯周病の予防・治療です。ご質問の方はまず、歯周病を治療しましょう。また、口呼吸の習慣があるなら、ぜひこれを直すことが求められます。

今井一彰氏(みらいクリニック院長)
 山口大学医学部卒業。東洋医学などさまざまな医療を駆使し、薬を使わずに体を治していくという独自の観点に立って治療を行う。日本初の靴下外来も設置。