画像は『精霊使いの剣舞』の原作公式HP(メディアファクトリー)より

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 アニメファンの中には"パンツァー"と呼ばれる人たちがいるらしい。断っておくが『ガールズ&パンツァー』の"パンツァー"とはまったくの別物。アニメ作品で一瞬のパンチラシーンを目撃することに命をかけている人たちをこう呼ぶらしいのだ。

 彼等はパンツを見るためにひたすら情報を収集し、録画しながら目を皿のようにして画面を見つめ、それらしきシーンがあればいちいち再生してコマ送りで確認する。これを「零コンマ壱秒の戦い」というらしいが、しかし、実際にその戦いに勝つのはかなり困難なようだ。というのも、アニメ作品では、あんなにミニスカの女の子がたくさん出てきて、アングル的にパンチラになりそうなカットも多いのに、実際にはパンツが見えないことも多々あるからだ。

 この問題は、先日、『【朗報】西川貴教と松井玲奈のアニメとマンガとゲームばかりの番組が東京でも放送が決まった件について』(毎日放送、TOKYO MXなど)というオタク系情報番組でも取り上げられた。「絶対見えるはずのパンツがアニメで見れないことがあるのはなんで?」という読者の質問があり、専門家が回答していたのだが、結論的にはやはりテレビ局の「自主規制」が働いているらしい。

 パンチラ規制が始まったのは、1994年に放映された『BLUE SEED』からだといわれている。『BLUE SEED』はゴールデンタイムで猟奇的なシーンや触手、下着といった挑戦的な試みをして話題になったのだが、なぜかパンチラやパンツが見えているシーンには、謎の黒い影をかぶせて下半身を隠し、物議をかもした。実際、自主規制の方法はぎりぎりのところでパンツを見せないというだけでなく、多岐にわたっている。たとえば、『お兄ちゃんのことなんかぜんぜん好きじゃないんだからねっ!!』のペンギン、『ロザリオとバンパイアCAPU2』のコウモリなど、かわいい動物のアイコンで下半身を隠すパターンもあるし、『いちばんうしろの大魔王』のように、そのキャラのアイコンが「見たいですか?」と聞いていたり、『さよなら絶望先生』では、原作のアシスタントをしているおっさんの顔写真で隠すという自主規制をギャグにするパターンも見られた。

 しかし、パンチラを全く見ることができないかというと、そういうわけでもない。『【朗報】西川貴教と〜』でも解説していたが、アニメの自主規制には「統一された基準」というものはなく、テレビ局や時間帯、原作サイド、スポンサーによってかなり幅がある。とくに大きいのがテレビ局の差で、フジテレビやTBSなどのキー局制作番組でパンチラはありえないが、東京ローカルのTOKYO MXやアニメ専門チャンネルのAT--X、ビックカメラグループのマイナーBS局・BS11が制作に関わっている作品は規制が緩く、パンチラを拝む事ができるらしいのだ(ちなみに、ネットでは、愛知のテレビ局の規制が緩く、"愛知版"なるきわどい作品が存在しているかのような話が流通しているが、これはただの都市伝説らしい)。

 では、今期のアニメのパンチラ事情はいったいどうなっているのか。もちろんほとんどの番組では、パンチラに自主規制がかかっている。サバイバルゲームに興じる女子高生たちを描いた『さばげぶっ!』では、1話でヒロインがトラップにかかり、足をロープで縛られ、木にぶら下げられるシーンが出てくるのだが、さかさまになっているのにスカートは重力に逆らって足に張り付いたまま。転がりながら移動したり、空中で回転しながら銃を撃ったりしても、なぜかパンツは見えない。

 『RAIL WARS!』や『アカメが斬る!』も同様で、『さばげぶっ!』以上に激しく動き回ったり、ハードな戦闘シーンがあるのに、パンツはチラッとも見えたりしない。ファンの間では、どんなに動き回っても形が変わらないスカートを"形状記憶スカート"や"鉄壁スカート"というらしいのだが、完全にその種類のヤツでパンツが防御されてしまっているのだ。

 だが、その一方で、今期はなんと、思い切りよくパンツを全開するアニメも放映されている。『六畳間の侵略者!?』と『ひめゴト』がそれだ。幽霊や地底人、魔法少女、異星人などが主人公の住むアパートに押しかけてくる『六畳間の侵略者!?』では、異星人の女の子が幽霊にスカートをめくりあげられて頭上で縛られ、パンツを丸出しにされてしまうシーンがあったし、『ひめゴト』の場合は主人公が女装している男の娘ということもあってか、パンチラどころか、M字開脚を披露するなど、やりたい放題。「さすがはBS11(『六畳間の侵略者!?』)とTOKYO MX(『ひめゴト』)」と感心する声もあがった。

 だが、パンツァーと呼ばれる人たちにとってはこういう"パンモロ"よりも、"見えないと思っていたら一瞬見えた!"というような、予想外のパンチラのほうがそそるようだ。その意味で最高だったのが、『人生相談テレビアニメーション「人生」』だ。女子高生が人生相談に応じるという設定で、『けいおん!』などの日常系にも通じるゆるふわアニメかと思いきや、実際は水に濡れた体操服と透けた下着など、お色気要素も強めのこの作品。それでも、パンチラはなかなか拝めなかったのだが、第2話で意外な人物のパンチラシーンが登場する。それが、体育会系のいくみという女の子だ。普段はスパッツを履いているため、絶対にパンチラすることのない彼女が、メイド服のコスプレで窓をまたいで入ってくる際、いきなり白いパンツがかいま見え、ファンを狂喜させたのである。

 さらに、この予想外感をうまく使っているのが『精霊使いの剣舞』だ。こちらも、主人公の男子高校生が精霊使いの少女たちの育成学校へ編入するという設定の典型的なハーレム作品。ところが、第1話の冒頭からヒロインが全裸で水浴びするシーンがあったりするのに、パンツだけはなぜかなかなか見えない。もうないのか、と思ってあきらめていたら、後半、学院の風紀を守る「風王騎士団(シルフィード)」の団長・エリスがドアを蹴り開けた際に、黒タイツ越しのパンツが......! で、それ以降はヒロインのパンチラがちょこちょこ出てきて、これはパンチラアニメかと期待していたら、エンディングではキャラの太ももあたりのアップが続くのに、結局、パンツは見えないまま。見えそうで見えない、見えないと思っていたら見えたという駆け引きに完全に翻弄されてしまっているのだが、パンツァーにとってはそこがまたたまらないらしい。

 彼らはただパンツが見たい、見えればいいというだけではない。見えるか見えないかというギリギリのラインでドキドキを楽しみたい。中には、見えなくても、脳内妄想で補完して楽しむことができるパンツァーもいる。"パンツァー"たちにとって自主規制は敵ではなく、むしろ、エンタテインメントをもたらしてくれるトラップのようなものなのだ。

 そう考えると、見えそうで見えない作品もあれば、パンモロもあるし、さらには予想外のパンチラがいきなり登場する作品もある――そんな今期は、パンツァーにとってかなり楽しめるクールかもしれない。
(田口いなす)