相続税の大増税まで半年を切った。都内では半数以上が申告対象者になるが、有効な対策を講じている人は少ない。年金をもらう一方であまり散財してこなかった高齢世代の親は、意外と現預金を貯めていることが多い。数百の相続案件を手がけたベテラン信託銀行マンも、「『もしもの時に使おう』と思って退職金をそっくりそのまま残しているケースが少なくありません」と語る。

 相続まで時間がない世代で現預金(あるいは株式など)が多い場合、「住宅資金贈与」「教育資金贈与」を使うほか、一部を不動産に変えておくのも即効性がある節税方法だ。

 多くの現預金を何の対策も取らずに持っていると、そのままの金額が相続税評価額になる。国税当局にとって「現金持ち」は相続税徴収の格好のターゲットなのだ。一方、不動産にすれば相続時の評価額が低くなる。土地の評価額は実勢価格(購入価格)の7〜8割、建物では購入価格の4〜6割にまで評価が下がる。

 ただし、不動産価格下落のリスクも念頭に置いておく必要がある。相続税は圧縮できても、肝心の不動産価値まで下がってしまっては元も子もない。購入を検討すべきは値段が下がらず、収益性の高い物件だ。税理士法人アフェックスの公認会計士・金子尚貴氏は、大都市圏の人気エリア物件をお勧めする。

「特に節税効果が高いのが都心のタワーマンションの高層階。眺めの良さなどは相続税の評価額を変化させる要因にならないからです。同じ80平方メートル・3LDKの部屋で、1階が5000万円、40階が7000万円と販売価格が大きく違うのは当たり前ですが、評価額はどちらも2500万円程度と同額になる。7000万円の価値の物件が2500万円と算定されるのだから、高層であるほうが節税効果は高いといえます」

※週刊ポスト2014年8月8日号