『自分の「性格説明書」9つのタイプ』(講談社)

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 性格診断として有名なのが、人間を9つのタイプにわけるエニアグラム性格診断。この手法をもとにさまざまな性格診断が派生し、書物も多数出回っているが、少し前になかなかおもしろい性格診断本が出版された。

『自分の「性格説明書」9つのタイプ』(安村明史/講談社)がそれ。エニアグラム性格診断では人間の性格を、「援助者」「批評家」「観察者」というような名前のタイプにわけることが多いが、この本ではそのネーミングを「星一徹タイプ」「ドラえもんタイプ」「名探偵コナンタイプ」というふうに、マンガのキャラにあてはめているのだ。63の質問とその人が描いた絵でどのタイプか判別するらしいのだが、いったいどういう性格の人がどのキャラなのか。ざっと紹介してみよう。

●星一徹タイプ(完璧主義者)
完璧主義者。妥協を許さない厳しさを感じさせる。キーワードは「完璧さを求める」「自制心の強さ」「公平・公正」「強い責任感」「高潔な生き方」「自己抑制的」「努力家」「融通が利かない」など。

●ドラえもんタイプ(博愛主義者)
親切で、よく人の世話を焼く博愛主義者。心が温かく、優しい。キーワードは「親切・優しい」「奉仕的」「高い適応能力」「情報収集能力」「嫉妬心が強い」「八方美人」。

●峰不二子タイプ(成果主義者)
自信家。何事にも挑戦的に取り組み、結果を出す。キーワードは「明確な目標がある」「効率的」「競争心」「成功」「結果重視」「抜群の行動力」「自己中心的」「冷酷」。

●スナフキンタイプ(ロマンチスト)
繊細なロマンチスト。自己表現と想像の世界を好む。キーワードは「独創的なアイデアに富む」「表現力が豊か」「傷つきやすい」「芸術的」「鋭い洞察力」「感情の起伏が激しい」。
 
●名探偵コナンタイプ(研究家)
クールでドライな印象。冷静で分析力に富み、論理的に考える。キーワードは「「広い視野」「知的「洞察力」「強い忍耐力」「冷静」「傍観者」「ドライ」「理屈っぽい」。
 
●マスオさんタイプ(サポーター)
 誠実な人柄。慎重で節度をわきまえ、気配りに長けている。キーワードは「忠実」「勤勉」「仲間」「責任感がある」「好感度が高い」「縁の下の力持ち」「優柔不断」「卑下」「時に攻撃的」。

●サザエさんタイプ(楽天家)
 面白いことが好きな、明るい社交家。陽気で楽天的である。キーワードは「瞬発力」「柔軟な発想」「好奇心旺盛」「自由」「精力的」「多才」「無責任」「散漫」「熱しやすく冷めやすい」。

●ジャイアンタイプ(挑戦者)
 リーダータイプ。常にパワフルで、大胆な行動に出る。キーワードは「度胸がある」「正義感が強い」「率直」「面倒見が良い」「独立心」「粘り強い」「威嚇的」「危険を冒す」「ケンカっ早い」。

●ウルトラマンタイプ(平和主義者)
 穏やかな癒し系。包容力があり、相手を否定しない。キーワードは「協調性」「おっとりとした穏やかさ」「心が広い」「忍耐力」「情緒が安定」「消極的」「自己防衛的」「惰性的」。

 どうだろう。星一徹や峰不二子、スナフキン、名探偵コナンタイプなどの性格分析はなるほど、という感じだが、一方で、いじめっこのジャイアンが「正義感の強いリーダー」、毎週、怪獣を殺戮しているウルトラマンが「平和主義者」になっているのは、ちょっと首をかしげたくなる。しかし、本書によれば、ジャイアンは問題児と見られがちだが、本心を表現することができないだけで、悪を憎み、人の尊厳を守りたいと思う気持ちは人一倍強いらしい。ウルトラマンもいきなりスペシウム光線を相手に浴びせたりせずに、怪獣をいさめるように戦っているところが平和主義者なのだとか。

 納得できるようなできないような微妙な感じだが、それはともかく、本書では、この分類されたタイプ別に詳細な行動パターンを割り出して、かなり具体的なアドバイスもしてくれている。

 たとえば、完璧主義者の星一徹タイプは、細かく口うるさい人が多く「すべての情報に対して自分が明確に把握しておきたい」ので、部下は「私の成果を見てください」とアピールするよりも正確な情報をまとめて報告しておくといいそうだ。平和主義者のウルトラマンタイプは、包容力はあるが、部下が自分で考えて動く様子をいつまでも見守る。声に出して助けを求めない限り手を貸してはくれないので、対処できないときは自分から助けを求めたほうがいいのだという。たしかに、ウルトラマンはかなりいろんなものが破壊されないとやってこないから、ウルトラ警備隊はもう少し早めに助けを求めるべきかもしれない。

 ストレスに晒されたときの行動パターンも解説されている。名探偵コナンタイプは、普段猛烈に頭を回転させているので、ストレスによって身心のバランスが崩れると「刹那的な快楽を求める」そう。セクハラや女装趣味、SM、女性なら売春に走る可能性も。サポーターのマスオさんタイプは、常に不安感を抱えているので、ストレスを感じると「親戚に医者がいる」「近所に東大出身者がいる」などと、他者の自慢話をするようになるのだとか。

恋愛では、博愛主義者のドラえもんタイプは常に献身的に尽くしたいと思うし、一度好きな人ができると「その人の色に染まろう」と努力するらしい。ロマンチストなスナフキンタイプは、だめんずや幸の薄そうな異性に惹かれる傾向があるという。そして、情熱的で、楽しく刺激的な付き合いを望む楽天家のサザエさんタイプは、目の前の快楽に溺れやすく、次々と交際相手を替えていくこともあるだとか。それってようするに、ビッチってことじゃ......。

 しかし、こうして性格分析を読んでいると、自分がどういうタイプかより、そのキャラたちも実は裏で本書に書かれているような別人格をもっているんじゃないかということに興味がわいてくる。女装趣味に走るコナンに、親戚自慢をするマスオさん、そしてビッチのサザエさん......。

 通常、こうした性格分析はいきづまったときの自己慰撫や自己啓発のために読むものだが、この本にかぎってはエンタテインメントとして楽しんで、ひたすら妄想を膨らませる読み方もありかもしれない。
(田口いなす)