電子書店パピレスが運営し、コミックから小説、実用書、雑誌、グラビアと幅広いジャンルの電子書籍を取りそろえている電子貸本サイト「Renta!」。特にコミックは、少年漫画、少女漫画、ティーンズラブ、レディース、青年漫画、4コマ、萌え、サブカル、ボーイズラブなど最も豊富なラインナップを誇っているが、今回はその中から青年漫画の7月の月間ランキング上位作品をピックアップして紹介していこう。

○富士山さんは思春期

オジロマコトの『富士山さんは思春期』は、中学二年生の女子ながら身長181cmという富士山牧央と、幼なじみの同級生で身長160cmの上場優一が繰り広げるラブコメディ。背が大きい、小さい、の言い争いばかりでまったく気にも留めなかった2人だが、ヒョンなことから牧央の生着替えを見てしまったことで優一に恋愛感情が芽生えてしまった。勢いで告白した優一とあっさりOKした牧央。ここから思春期独特の交際が進んでいくこととなる。携帯を持っていない牧央にメモ書きでデートの打ち合わせをしたり、祭りでこっそり手をつないだり、友達にバレないように “付き合う”2人が微笑ましい。少ない会話で、テンポよく絵が進んでいくのが好感。軽妙な筆致も相まって水泳の授業やクラブ活動、友達皆で行く祭りなど、淡い中学生の思い出がよみがえるような作品。なんてことのないストーリー展開ながら、次が気になるのは、「カテキン」でおなじみ、“中2”を書かせたら右に出るものはいない(?)著者の手腕ともいうべきか。

○ムショ医

粂川晶は28歳の女医である。勤務先は女子刑務所……。佐藤智美の『ムショ医』は、その女子刑務所の医務室を通して起こるさまざまな問題を取り扱った人間ドラマ。もともとは大学病院の勤務医だった晶は、先輩の頼みということで生まれ故郷にも近い女子刑務所への勤務を決める。それほど思い詰めてこの異色の勤務を決めたわけではない晶だが、厳格に仕事をこなす刑務官との関係や一見ごく普通に見える受刑者との関係に思い悩むこととなる。恐喝や覚せい剤、殺人など重い罪で服役してはいるが、晶にとっては心優しい女子受刑者たち……。少し打ち解けたと思ったところで、犯罪者としての彼女たちと接することとなる。受刑者たちとは距離を置いて、そんな刑務官の忠告を無視してグイグイとがむしゃらに接近する晶。接近した分だけ、犯罪者としての彼女たちに接したときのショックは大きい。医者として何をするのか、何をしてあげられるのか、そんな晶の移り変わる気持ちを、全5巻の中で読み取っていただきたい。

○奴隷区 僕と23人の奴隷

実写映画化で話題の岡田伸一原作、オオイシヒロト画の『奴隷区 僕と23人の奴隷』は、どんな勝負でも勝ちさえすれば相手を奴隷にできる器具SCMを偶然手に入れた24人の主人公がくり広げるスリリングなサスペンスだ。SCM(スレイブコントロールメソッド)は、上あごの歯の裏に取り付けて使用する。この器具をつけ“勝負”をすることで、負けた相手を奴隷にすることができる。訳あって奴隷にしたい人間がいる24人の主人公は、どれも異質だ。色欲に使うものはもちろん、金をかき集める悪者、好きな女を奴隷にする女装子、モノにならない男に使う風俗嬢、栄光を求めるホスト、刺激が欲しい看護師、レイプされた復しゅうをする女、家族を奴隷にする女子高生……そしてこれらに巻き込まれる普通の人々。物語はまさにサバイバルゲームといった感じ。かなりエログロな内容ではあるが、24人の思惑が入り交じり、スピーディに展開する描写は見事。実写を見てから読むもよし、原作を読んでから見るもよし。どちらも盗作した世界を堪能していただきたい。

1位は早乙女もこ乃の『イジメラレ〜「女」の僕と飼い主3人〜』、2位は佐藤沙緒理の『おなかにいっぱい、あやかしの種』、6位は倉田嘘の『百合男子』などがランクインしている。なお7月の青年漫画ランキングは以下の通り。

(星出智敬)