岸田繁(くるり、左)、奥田民生(中央)、伊藤大地(SAKEROCK)が結成したバンド「サンフジンズ」

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 ミュージシャンの奥田民生、岸田繁(くるり)、伊藤大地(SAKEROCK)が結成したバンド「サンフジンズ」が、CDや音源をリリースする前に新曲「じょじょ」の楽譜を公開。「歌ってみた」動画を募集する「<コンビニで新曲リリース!>キャンペーン」が話題を呼んでいる。コンビニ設置のシャープのマルチコピー機が楽譜の配信と印刷を担当するこの試みは、通常の「歌ってみた」とは順番が逆でオリジナル音源の公開は8月20日とまだ先の予定だ。

 常識とは逆のこの協業に、プロのミュージシャンたちも興味津々のようだ。これまで「蜜」、「OKAMOTO’S」、「ねごと」が「じょじょ」の演奏を公開し、放送されたラジオ番組のリスナーたちはTwitterで「もう一度聞きたい!」「配信はされないの?」などと「#PRINTMUSIC」のタグ付きで繰り返しつぶやいていた。7月26日には「フジファブリック」もラジオでカバーを披露する。

「歌ってみた」とは、YouTubeやニコニコ動画などの動画投稿サービスで人気のジャンルだ。人気アーティストが新曲をリリースしたあと、その曲をカバーして歌う様子を撮影し投稿することを指している。

「サンフジンズ」の新曲「じょじょ」を歌ってみたい場合は、コンビニに設置されているシャープ製マルチコピー機から楽譜を出力する。そして、楽譜をもとに演奏する動画をキャンペーンWEBサイト経由でYouTubeへ投稿すると、自動的に「<コンビニで新曲リリース!>キャンペーン」のチャンネルにまとめられる。

 こんな協業が可能になったのは、コンビニコピー機の機能が現在のように多彩になったからだ。硬貨を入れて自分でコピーするモノクロコピー機が全国のコンビニに行きわたったのは1980年代後半のこと。その後、1990年代半ばからカラーコピー機が普及し、2000年代になると写真印刷機能が加わった。そして今やコンビニに設置されているコピー機がネットワーク機能を持つのは当たり前となり、オフィスの代わりや自宅の本棚の延長のような役割も果たすマルチなサービスが提供されている。

 たとえば、住民基本台帳カードを利用して住民票の写しや印鑑登録証明書等など、自治体が発行する各種証明書を取得できる。2010年に3つの市区から始まったこのサービスは、今では80を超える市区町村が提供するものに成長している。どの自治体でサービスを受けられるかは「コンビニエンスストアにおける証明書等の自動交付(コンビニ交付)ホームページ」や各自治体のサイトで確認が可能。区市町村の役所が閉まっている時間でも証明書が入手できることは、日中仕事で追われているビジネスマンなどにとって、非常にありがたいサービスだ。

 さらに、まるでオフィスの一部のように利用することもできる。会社で印刷できず出先で急に必要になった書類などを、インターネット経由でファイルを登録したり、USBメモリやSDカードなどに記録して持ち込めば出力できるのだ。専用アプリ「PrintSmash(プリントスマッシュ)」を利用すればスマホ経由でも簡単に利用できる。仕事ではPCやプリンタを利用しても、自宅には持たないような身軽な人にとって、とりわけ便利なサービスといえるだろう。なお、サンフジンズの新曲「じょじょ」の楽譜も、このネットワークプリントサービスを活用して配信されているとのこと。

 人々の生活に24時間密着するコンビニに設置されているものにふさわしく、ビジネスだけでなく娯楽にも利用できるコンテンツプリントサービスも提供している。芸能人やスポーツ選手のブロマイドや写真、コミック、占いや記念日の新聞や競馬新聞など、手もとに持ちたいものを購入してプリントするサービスだ。

 コンビニに設置されているマルチコピー機というと、書類のコピーや写真印刷といったサービスのみを思い描く人はまだまだ多いだろう。しかし、現在では“色々なコンテンツやデータをプリントできるサービス”へと進化を遂げている。プライベートブランドやコンビニコーヒーなど、時代とともに様々なトレンドを生みだすコンビニエンスストア。スマートフォンやタブレットなどのデジタル端末の利用者拡大や、プリントコンテンツを提供する事業者の増加に伴い、今後「コンビニのマルチコピー機」に注目が集まるかもしれない。