「チャット嬢」という職業があるのをご存知でしょうか? 簡単に説明するとウェブカメラを使い、ネット上で男性客とコミュニケーションを取り金を稼ぐ女性のことです。

 そう言われてもイメージが使いづらいかもしれません。ざっくり説明するとネット上での風俗嬢といったところ。チャット嬢は利用客といやらしい会話をするだけでなく、服を脱いだりや自慰行為を見せるよう要求されることもしばしば。

 そんな「チャット嬢」が昨年12月、ネット上でちょっとした話題となりました。Yahoo!ニュースに「東大卒の女子(28歳)が承認欲求を満たすために、ライブチャットで服を脱ぐまで」という記事がアップされ、シェアやツイートなど1000を超えるソーシャルメディアでの反応があったのです。同記事では東大卒業後、一般企業で働きそれなりに収入のある女性がチャット嬢になった顛末について綴られています。

 実は、この東大卒のチャット嬢の正体は渋澤怜さんという小説家志望の女性。今回、紹介する『チャット嬢をやってみた』の著者でもあります。本書は、彼女がチャット嬢として遭遇した事件や感想などが赤裸々に語られています。

 渋澤さんは本当に東大卒で、さらに今春まで「ウルトラホワイトな法人事務(団体職員)」の職に就いていたそうです。学歴も仕事も大きな不満はなさそうに思いますが、なぜ、渋澤さんはライブチャットの世界に飛び込んだのでしょうか? 件の記事では「承認欲求を満たすため」とありますが、実際にはそれだけが理由ではなかったとか。ひとつは、小説を書くためにいろいろな経験をしたかったから。もうひとつは、綿矢りさの『インストール』の世界(女子高生と男子小学生がタッグを組んでネット上で風俗嬢になりすまし男性客とチャットするステキなお話)に対する憧れ、また「商売女へ(おかしな)憧れ」(本書より)も理由のひとつとしてあったそうです。

 ちなみに渋澤さん、ライブチャットを含む性風俗産業に存在するある法則を発見したといいます。それは「プロより素人の方が値段が高い」ということ。たとえば、レストランに行けば新人よりベテランのコックさんに料理をつくってほしいと、誰もが考えるはずです。モノを買う場合でもサービスの場合でも、それは同じだと思いますが、サービス業のひとつともいえる風俗業では、この傾向は当てはまりません。渋澤さんは「何も知らないうぶな娘(出来たら処女)の価値が一番高く、どんなに熟練したテクニックを持ったベテラン風俗嬢でもかなわない(不思議だ!)。続ければ続ける程価値が下がる。それが風俗なのである(不思議だ!)」と明かしています。

 性欲全開の男たちを前に、どんどんチャット嬢として逞しく成長していき、最終的には職場バレで退職することに......いろいろな意味で体を張った渋澤怜さん懇親のルポタージュ。今後の彼女の活躍から目が離せません。