史上最高値を更新した米国の株価。中間選挙前の株高はかなり異例だ。米国経済の景気回復が順調なこと、企業業績が伸びていることが株高を支えている。今後、さらに株価は上昇し、「バブル」の様相を呈する可能性もあるが、日本の株価にとっては好材料。専門家の分析をもとに、これから狙い目の20銘柄を紹介する。

 では、どのような銘柄が注目されるのか、具体的にみていこう。

 専門家が指摘するキーワードは主に次の六つだ。「女性の活用」「訪日外国人」「自動車」「設備投資」「シェールガス」「利益率」だ。

 まず、女性の活用、訪日外国人、自動車、設備投資に注目するのは大和証券投資戦略部チーフストラテジストの成瀬順也氏だ。安倍政権の成長戦略の柱のひとつは女性の登用。テンプホールディングスは人材派遣ビジネスだけでなく、保育事業など働く女性を支援する事業も行っている。

 同じく成長戦略に盛り込まれているのが、「2020年に訪日外国人を2千万人に倍増させる」というもの。昨年1年間に入国した外国人の数が初めて1千万人を突破した。これをさらに、東京五輪が開催される20年に2千万人に倍増させるというのだ。

 エイチ・アイ・エスは旅行事業やテーマパーク事業などを手がけている点で注目していいという。

 また、米国の新車販売が好調だ。富士重工業の主力車「レガシィ」は米国でも人気。14年3月期の連結決算は純利益が2066億円と最高益を更新した。

 自動車業界は裾野が広く、関連する業種も要チェックだ。工作機械メーカーの牧野フライス製作所は、米国で自動車業界向けのマシニングセンター(数値制御工作機械)が好調で、企業の設備投資意欲が高まれば、工作機械への需要も高まるだろう。

 次に、シェールガスに注目するのはSBI証券投資調査部シニアマーケットアナリストの藤本誠之氏だ。3年後の17年にも日本への輸出が始まる。

 原発が動いていない現状では天然ガスなど火力発電に頼らざるを得ないが、天然ガスなどの輸入量が急増、貿易収支が悪化する大きな要因になっている。

 米国からいまより安いシェールガスが輸入されるとすれば、火力発電のコストが下がり、電気料金は低下。製造業を中心に業績アップも期待される。

 シェールガスに関連するところではまず、すでにLNG(液化天然ガス)を取り扱っている三菱商事、三井物産などの名が挙がる。

「現時点で商社の株は割安です」(藤本氏)

 また、LNGプラント建設の千代田化工建設や総合化学会社の三菱ケミカルホールディングス、プラントの断熱材をつくる明星工業、LNGを輸送する海運会社の商船三井、火力発電用のガスタービンをつくっている三菱重工業など関連する企業は数多い。

 ところで、好調な米国株に比べ、日本株は「周回遅れ」の感がある。

「今年の初め、各国で株価が最高値を更新しながら、日本は出遅れました。それは、企業が米国並みの利益を出せていないからです」(マネックス証券チーフ・ストラテジストの広木隆氏)

 米国で重要視されている指標のひとつに「ROE(株主資本利益率)」がある。純利益を株主資本(株主が出資したお金)で割ったもの。この数値が高いほど投資家の評価は高いとされる。米国企業のROEは約15%だが、日本の東証1部上場企業の平均は約9%。

「日本企業の株価が上がるには、欧米企業並みに高い利益が上げられるかがひとつの課題となるでしょう」(同)

 そこで最後のキーワード、利益率だ。利益率の高い企業には建設・工作機械メーカーのコマツがある。もともと高い利益率を目指してきた企業で、前期のROEは欧米並みの12.4%だ。

 日本の株価の伸び代はまだあるわけだが、どの株に投資するにしても、自己責任が原則ということはお忘れなく。

◇米国好調で専門家が注目する日本の20銘柄

銘柄名/業種/株価(7月11日終値)
テンプホールディングス/サービス業/3030円
エイチ・アイ・エス/サービス業/3400円
富士重工業/輸送用機器/2872円
牧野フライス製作所/機械/842円
コマツ/機械/2302円
三菱重工業/機械/641円
石井鐵工所/機械/232円
三菱商事/卸売業/2100円
三井物産/卸売業/1627円
伊藤忠商事/卸売業/1295円
豊田通商/卸売業/2908円
双日/卸売業/175円
千代田化工建設/建設業/1203円
日揮/建設業/3046円
明星工業/建設業/572円
三菱ケミカルホールディングス/化学/436円
商船三井/海運業/369円
日本航空/空運業/5910円
東京ガス/電気・ガス業/588円
大阪ガス/電気・ガス業/427円

週刊朝日  2014年7月25日号より抜粋