正直な気持ちをいうと、この作品を「たくさんの人に観ていただきたい」とは、今はまだ言う自信がありません。

なぜかというと、私は「これは取り返しのつかない悲劇だし、こうなっては絶対にいけないんだ」と強く思いながら演じたんです。ただ、その気持ちが伝わるためには私自身が本当に苦しまないと伝わらないと思ったので、正真正銘苦しんだんです。だから今はまだ、自分で映像を観る勇気がなくて…自分で観る勇気がないものを「ぜひ観て下さい!」とはいえないじゃないですか? それってプロとしては未熟過ぎというか、女優だって名乗る資格が無いとも思うけど…でも、はっきりお伝えしたいなと思うことはあるんです。

この作品に出会う人が、自分を本当に大切にするってどういうことなのか、本物の生きる実感ってどこにあるのかって感じたり考えてくれたらと心から願うし、生きてるといろんなことがあるとは思うけど、同じ時代をあがきながら皆で一緒に歩いていきたい、とお伝えしたいです。

☆熊坂出監督のコメント

不遜と思いつつ、この映画に関わる人たちすべてにとって代表作となるものを目指しました!

前作では、生き残るために他者を殺さなければならないという事に真っ正面から取り組み、結果として、ある種の深刻さが常に映画につきまといました。今作では、その深刻さに再び体当たりで挑みつつも、その深刻さを打破するようなエネルギーに満ちた映画にしたいと思い、撮影にのぞみました。

10人の俳優たちには、演じたりかっこつけたり何かのふりをしたり、前もって用意してきたものを出すことはやめてもらい、カメラの前で今のありのままの姿をさらけ出して欲しいとお願いしました。今振り返ると、非常に生(なま)で、連続した今、今、今の撮影現場だったと思います。ウェットな物語になることを恐れずに剥き出しで生抜いた10人のキャストと、日々アイデアを出し続けた全スタッフによる全員野球を是非ご堪能ください。観てくださった方の心に何かが残れば、これ程嬉しいことはありません。

最後に一言。座長、土屋太鳳は世界最強!

☆「人狼ゲーム ビーストサイド」ストーリー

あたし、樺山由佳は、2度目の殺戮ゲームの席に着いていた。参加者は10名。みんな突然この部屋に連れてこられた高校生たちだ。「人狼」のカードをあたえられたあたしは、村人たちをあざむき、ひとりずつ殺していかなくちゃならない。普通なら絶望するのかもしれないけど…あたしはむしろ興奮し、驚喜していた。なにせ、ずっと待ち望んでいた「非日常」を存分に楽しめるのだから!複数の「自称予言者」が現れ、共有者がほかの村人たちを扇動する。場が混迷を深める中、あたしはひとりほくそ笑み、さらなる血の味を求める…。