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エル・ブジを生んだ国として、今やスペインは世界の料理人、菓子職人たちが注目する流行の発信源になりました。バルセロナ近郊の食の専門誌を刊行する出版社、グルッポ・ヴィルボで主幹編集者を務めるジャメー・コットさん(38歳)は、食の最先端に触れる仕事を日々楽しんでいます。ヨーロッパ中を取材する彼は、スペイン語と地元の言葉、カタルーニャ語以外に、英語はもちろん、フランス語、イタリア語、ポルトガル語も「だいたいわかる」そうです。

■これまでのキャリアの経緯は?

私の仕事は多岐に渡っています。他のメンバー3人と共に、「so good」「Dulcypas」など4つの雑誌、料理本、ウエブサイト、SNSの編集をしています。日々の仕事はパティシエ、料理人、アイスクリーム職人、パン職人への取材や、アメリカや日本にいる記者との連絡。さらに、カメラマンでもあります。「Dulcypas」の表紙も私が撮りました。なかなかでしょう? 国際的な料理やケーキのコンテスト、ビッグシェフの対談があるときは動画の撮影もします。日本でも知っている方も多いと思いますが、スペインの2代奇才シェフ、チョコレート職人のオリオール・バラゲと、エル・ブジのパティシエ、アドリア・フェランの対談を撮影したときは興奮しました。

大学ではジャーナリズムを勉強し、文化担当の記者を目指していたものの、グルッポ・ヴィルボに入社して初めて、食だけをテーマにした雑誌があることを知ったくらいで、食業界は未知の世界。でも、数カ月もすると自分は幸運だったと思うようになりましたね。入社したあの日(もう14年前です)から、どんどん食やオート・パティスリー(ハイレベルの菓子)の世界にのめり込み、今では世界の有名シェフと仕事をすることを誇りに思っています。

■現在のお給料は以前のお給料と比べてどうですか?

年収は2万ユーロ(約280万円)で、スペインでは平均的な金額です。初任給よりは少し上がっているので満足もしています。お金より、いつも仕事を楽しむことができ、自分のしてきたことが形に残ることに重きを置いています。将来的にはもっと稼げればいいですが、それほど急いではいません。

■今の仕事で気に入っているところ、満足を感じる瞬間は?

パティシエやシェフが弊誌のために、すばらしい作品を作ってくれたときが一番うれしいです。それを自分で撮影するときには、とにかくベストを尽くします。知らない人と会うとき、彼らの作品から少しでも彼らのことがわかるとき、それは言い表せないほど名誉に思います。もちろん、最新号ができ上がったとき、それに対するいい反応を得られたときも最高です。またやるぞ!という気分になれます。

■逆に今の仕事で大変なこと、嫌な点は?

時間がいくらあっても足りないこと。オフィスで原稿を書きながら、もうひとりの自分がいろいろなところで取材することができるといいと思いますね。取材先を絞り込まなければいけないのは、本当に残念です。

■休みのとりかたは?

休みの日は愛する家族、パートナーのジュディット、2人の娘マイ(8歳)とラウラ(2歳)と過ごします。バルセロナのように美しい大都市の近くに住めるのは本当に恵まれています。地中海も近いし、山や自然も豊富ですから、わざわざどこかに旅行しなくても楽しみは満載なのです。

■日本人のイメージは? あるいは、理解し難いところなどありますか?

尊敬に値する日本人がたくさんいます。真面目さと、責任感の強さは世界一ではないでしょうか。それに独立心も旺盛です。言葉の壁を感じるときはありますが、文化が違うのだから当然です。日本は今や世界のお菓子業界をリードする存在です。これからも、どんどん日本の記事を取り入れていきたいですね。

■最近TVやラジオ、新聞などで見た・聞いた日本のニュースは何ですか?

仕事柄、やはり日本で1番、興味をひかれるのはお菓子業界のこと。それ以外だと、日本の映画が素晴らしいと思います。黒澤、溝口、小津といった監督の映画はもちろん、最近はジブリの夢のある作品もよく見ます。

■ちなみに、今日のお昼ごはんは?

今日は新しい料理本の撮影の1日目でした。撮影を担当しながらいろいろ食べましたが、一番おいしかったのは、じっくり発酵させたパン生地にトマトソースとモッツァレラチーズ、ルッコラをのせた、ごくシンプルなピッツァ! まだ出版前なのでこのピッツァの写真は見せられないので、昨日のランチをお見せしましょう。普段はだいたい、家で料理してきて会社のキッチンで温めて食べます。アスパラガスとクルミ、そして健康を意識してライスの代わりにキヌアを添えた一皿です。

そして、カタルーニャ人である私の定番は"パントゥマカット"。パンにトマトの果肉をすりつけた基本レシピに、私は熟成したチーズとアンチョビをのっけるのが好きです。

■将来の仕事や生活の展望は?

世界有数の食の専門出版社に勤めていることを自覚して、常に新しいことを見つけ出すこと、そして個人的に進めているショートムービーやドキュメンタリーのプロデュース、カルチャーマガジンの編集も、将来的には何か形にしていきたいと思っています。

(GreenCreate)