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金型で「アンダーカット」のある形状を成形する場合、型開き方向に対して垂直に抜けるサイドアクションのあるスライドを加えることで対応できます。ところで、アンダーカットのない成形品であっても、スライドを使うメリットがある場合があります。Protomoldのプロセスでは、立てフライスを使用するのですが、形状の高さに応じた肉厚と抜き勾配が必要になります。それが場合によっては、スライドを使うことで、抜き勾配や肉厚を減らすことができるのです。

テーパのついた指サック、あるいはカップのような形状を考えてみましょう(図1)。このような形状を成形する方法として、まず考えられるのは、外側を形成する固定側の型とインサイドコアを形成する可動側の型の二つの型を用意する方法です(図2)。樹脂は、カップの淵沿いのパーティングラインに設置されたタブゲートから充填されます。カップの壁に充分な厚みがあれば、この方法で問題はありませんが、もっと薄肉になった場合には、問題が生じる可能性があります。

薄肉の場合に起こりがちなのは、「ショートショット」と呼ばれるキャビティ内に樹脂が完全に充填されない状態です。これは樹脂の冷却が早すぎた場合に起こります。樹脂が充填されなければ成形は失敗します。たとえ、樹脂が完全に充填されたとしても、インサイドコアを挟んでゲートと反対側で樹脂の流動末端が接合したところでウェルドラインができてしまい、成形品の強度を弱める原因となります。この問題を回避するには、ホットチップゲートを使って、円筒形状の閉じた面、すなわちカップの底、あるいは指サックの先端から樹脂を注入するという方法があります。ただし、形状の高さ、樹脂とホットチップとの相性、その他の予期しない問題が原因で、ホットチップゲートを使う方法では成形できない場合もあります。他の方法としては、図3のように、形状を横にした状態に対してスライドを使ってインサイドコアを形成する方法もあります。

図3の場合では、指サックのインサイド コアはサイドアクションのあるスライドで形成され、外側の面は固定側の型と可動側の型で形成されます。図に示しているように、パーティングラインがカップの底面から横に走っています。軸対称の形状であるので、タブゲートはカップの底面の中心に配置されています。樹脂はゲートから、キャビティ全体に一様に充填されていきます。

さて、どのような形状を成形するときにスライドを適用すればメリットが得られるのかといえば、まさにこの指サックのように深さがあり、壁が薄肉の形状です。また、設計上の都合で2方向抜き金型*3) で必要となる抜き勾配を付加できない形状もスライドを適用することで成形できます。サイドアクションのあるスライドであれば、外側の面が型開き方向に対して直角に抜かれるため、抜き勾配のない形状であっても成形できます。さらには、型開き方向と平行な面にシボ加工のある形状にもスライドは適しています。シンプルな2方向抜き金型ではこのようなシボ加工はアンダーカットの領域となり、きれいに離型することを妨げる原因になります。形状の特性や設計上の必要性に応じて、スライドで対応できる場合があることをご理解いただけたと思います。いずれにしてもカスタマー サービス エンジニアがご相談に応じますので、まずはお問い合わせください。

スライドはアンダーカットへの対処のためにだけ存在するものではありません。以下のような場合もスライドを適用して対応できることを覚えておいてください。

・嵌合相手と接する部分が平行な面であることが必要・シボ加工が必要・製品番号やロゴが必要  

ご参考:

■樹脂部品設計ガイド■ProtoFlow樹脂流動解析の詳細■ProtoQuote(R)無料解析&見積り

本コラムは、プロトラブズ合同会社から毎月配信されているメールマガジン「Protomold Design Tips」より転載したものです。