また、熱中症にかかりやすいタイプがある。“熱中症弱者”といわれる高年者と子供だが、それだけではないことも知っておく必要がある。
 「働き盛りの中高年世代にも熱中症弱者がいます。血糖値のコントロールがままならない糖尿病の患者さんや、利尿薬などを服用している人、高血圧や心不全などの患者がそれです」

 こう警鐘を鳴らすのは、東京社会医療研究所の片岡剛生主任だ。
 なぜ、血糖値コントロールがままならないと熱中症になりやすいのか。同主任によると、血液中のブドウ糖濃度が高いと、それを薄めようと血管の外側から水分を取り込み続けるために水分が増え過ぎ、尿として体外へ排出される浸透圧利尿が生じてしまう。
 そのため、体内の水分不足(脱水症状)を招いて熱中症にかかりやすくなるのだ。しかも、糖尿患者はしばしば自律神経系に支障をきたしているため、「暑さを感じにくい」「汗もかきにくくなる」とった症状が起きるという。

 同じように、高血圧症や心不全の患者も、処方されているラシックスなどの利尿薬やテノーミンを服用している場合も陥りやすい。
 「血圧を下げ、心臓の負担を軽くするのは、血液中の水分を尿として排泄し血液そのものの量を減らすからです。夏場は、ただでさえ体内から水分が失われているうえ、これらの薬を使えば、当然、水分不足を招き熱中症にかかりやすくなるのです」(医療関係者)

 また、高血圧や心不全の患者は塩分制限、水分制限を主治医から指示されていることが多いため、それだけでさらに熱中症にかかりやすい。
 いずれにしても、糖尿病や高血圧、心不全などの持病をもつ中高年は、外で暑さにやられたら、コンビニやファミレス、あるいは地下街に避難してクールダウンさせたり、冷水のボトルを持ち歩くように心がけることが大事になってくる。

 最後に、熱中症の予防のための心得を挙げてみた。
(1)部屋の温度が28℃を超えないよう、こまめにチェック(温度計を置くことをお奨め)。
(2)喉が渇いたと感じたら水分とミネラルの補給をする(ただし、冷たいお茶やコーヒー、ウーロン茶などのがぶ飲みは逆効果。含有のカフェインが利尿作用を招き、水分排出がはたらくため、水分不足に陥る。甘酒は効果的)。
(3)喉が渇かなくてもこまめに水分補給。
(4)外出は涼しい服装で。日よけ対策も。
(5)無理をせず、適度の休憩。
(6)日頃から栄養バランスの良い食事(ビタミンB1=豚肉やうなぎ、大豆、玄米など)と体力づくりの努力が必要。
 「まず、注意してほしいのは、脱力感や倦怠感が強く動きにくい時、自分で水を飲めない時や、意識がおかしい、全身に痙攣が走るなどの症状が出た場合、ためらわずに救急車を呼ぶことです」(医療関係者)

 油断せずに夏本番を過ごそう。