大画面モデルの登場は来年にずれ込むおそれ

 米アップルが今秋に発売を予定している新型アイフォーン(iPhone)は、画面サイズが現行モデルの4インチよりも大きい、4.7インチと5.5インチの2モデルが用意されるとの観測が出ているが、同社はこのうち、5.5インチモデルの生産に関して問題に直面していると、アナリストが指摘している。

「iPhone 6」の大型ディスプレイは歩留まり悪い

 これは、アップルの新製品やその発売時期を独自の調査で当ててきたことで知られる台湾KGI証券のアナリスト、ミン・チー・クオ氏が顧客向けに出した調査ノートで指摘したもの。

 それによると、「アイフォーン6」との名が噂されている新モデルには製造上の問題が2つあるという。

 1つは新モデルに採用されるディスプレイに関する問題。アイフォーンでは液晶パネルにタッチパネル機能を内蔵するインセル方式のディスプレイを使っているが、これに関する新しい技術が歩留まり低下の原因になっているという。

 クオ氏によると、このディスプレイには画面の端部分でタッチ感度が鈍くなるという問題があり、画面サイズが大きくなるほどそれが顕著になるという。

「5.5インチは発売遅れるも、アップルの業績は好調」

 もう1つは、アイフォーン6用に新たに設計されたメタルケースの問題。こちらは新しい製造工程で色むらの問題が発生しているという。

 いずれについても、4.7インチモデルについては問題を克服できる。だが、5.5インチモデルは製造面で技術的なハードルがより高く、量産に遅延が生じる可能性があるとクオ氏は指摘している。

 また5.5インチモデルの前面パネルに採用されるスクラッチレジスタント(傷つき防止)のサファイアガラスは、落下テストに合格する必要がある。だが同氏はこのテストを短期間でクリアできる見込みがないと指摘している。

 これにより、5.5インチモデルの発売時期は来年にずれ込むか、10月以降にごく少ない数量に限定して発売される可能性があると同氏は予測している。

 一方、アップルは4.7インチの新モデルを従来通り秋に市場投入し、現行のアイフォーン5sと同5cを値下げして販売するとクオ氏は予測している。5.5インチモデルの立ち上げは遅れが生じるものの、4.7インチモデルと旧モデルの同時販売で、10〜12月期のアップルの業績は好調に推移すると同氏は見ている。

米消費者、iPhoneのファブレットモデルに期待

 ただ、スマートフォン市場では、ファブレットと呼ばれる5.5インチ以上の端末が販売を伸ばしている。市場調査会社の米IDCによると昨年1〜3月期に4.3%だったスマートフォン出荷台数に占めるファブレットの割合は、今年1〜3月期に10.5%へと拡大た。

 ファブレットは、ライバルメーカーが相次ぎ手がけており、アップルから市場シェアを奪っている。こうした状況から同社は一刻も早くアイフォーンのファブレットモデルを市場投入する必要があるといった声も聞かれる。

 先頃、カナダの投資銀行RBCキャピタルマーケッツが4000人の米国人を対象に行ったアンケートの結果を見ても、大型アイフォーンへの期待が高まっていることが分かる。

 この調査によると、今後3カ月以内にスマートフォンを買い替える予定がある人のうち、アイフォーンを購入するという人の割合は49.4%で最も多く、このあと韓国サムスン電子のギャラクシー(37.0%)、マイクロソフト/ノキア(2.5%)、ブラックベリー(0.9%)と続いた。

 アイフォーンを購入すると答えた人で最も多かった回答は「4.7インチのアイフォーン6を5sと同じ価格条件で買う」(38%)だったが、これに次いだのが「5.5インチのアイフォーン6を100ドル多く支払っても買う」(26%)だった。

 また「5sを値下げ価格で購入する」(15%)、「5cを(通信契約に加入して)無料で入手する」(21%)という回答もあった。

 このほか、アイフォーン6を購入する際に重視する、従来モデルからの改良点について尋ねたところ、「バッテリーの駆動時間」が33.3%で最多だったが、「画面の大型化」も22.6%と比較的多かった。

筆者:小久保 重信