7月13日から始まる名古屋場所(愛知県体育館)。30回目の優勝に虎視眈々の横綱・白鵬、3場所ぶりの勝ち越しを目指す遠藤ら見どころは多いが、一番の注目は大関・稀勢の里だ。

 先場所は優勝した白鵬にあと1勝及ばなかった。内容的にも白鵬に立ち合いで気合負けしたり、平幕にあっけなく取りこぼすなど反省すべき材料が多く、北の湖理事長は夏場所後に開かれた横審で「初場所は負け越しているし、厳しく見られても仕方ない。たとえ全勝優勝してもわからない」と今場所での綱取りに否定的な見方を示している。

 不信感を払拭する方法はただ一つ、勝ち星を積み重ねるしかない。稀勢の里の名古屋場所は夏場所の敗因分析から始まった。2度も突っかけ、3度目は一転して立ち遅れて自滅した白鵬戦についても「あれが自分の弱さです。相手のペースに乗ってしまった」と振り返り、息子の良き代弁者である父親の貞彦さんも「やはり日本人。3度目は合わせなくちゃ悪い、という気持ちがあったんでしょう」と解説している。

 白鵬は「毎場所、毎場所、気負って先に突っかけてくる。何なんだよ、という気持ちだった」と話しているが、稀勢の里は「あれは白鵬にじらされ先に突っかけさせられたんだ」と逆の思いなのだ。
 プロがやることだけに、どちらに理があるのか何とも言えないが、いずれにしてもこの壁を乗り越えないと夢は達成できない。このために「しっかり対策を立てないといけない」と打倒白鵬に意欲を燃やし、稽古開始も5月31日と誰よりも早かった。

 7月3日に28歳になった稀勢の里。もう失敗は許されない年齢だ。果たして綱取りに慎重な構えの周囲を、この名古屋で見返すことができるだろうか。