皆さんは、大人になってから何冊の児童文学を読みましたか?

「児童文学は子ども向けの本。そんなの今さら読んでられない」なんて思う人もいるかもしれませんが、そんなことはありません。大人になった今だからこそ、読んでいろいろ気づかされる物語がたくさんあるのです。

 児童文学とは、簡単に読めて、ただ幸せな気持ちにさせてくれるだけではなく、自分が悩んだり、考えていることに対して答えを出してくれる、心の教科書のようなもの。

 本書『今こそ読みたい児童文学100』は、そんな素敵な物語を100冊集めた大人のための児童文学ガイドブック。著者は児童文学評論家の赤木かん子さんです。

 本書に掲載されている作品の一部を紹介します。

■『エヴァが目ざめるとき』 ピーター・ディッキンソン(1998年)
 交通事故でひん死状態に陥った少女エヴァは、研究者の父親によって一命を取り留めます。しかし、目覚めた時、彼女はサルになっていたのです。サルであっても生き延びられて良かったと喜ぶ彼女でしたが、次第に、内から湧き出るサルの野生と、人間の理性のバランスに悩み、自身のアイデンテティについて深く考え始めます。そして、彼女が出した結論とは...?

■『マツの木の王子』 キャロル=ジェイムズ(1964年)
 森に生える木と木の恋物語です。主人公はマツの木の王子と身分の低いシラカバの少女。ある日、人間により一緒に伐られ森を出た2人は、木工屋のおじいさんにより「木馬」と「銀のシカ」に彫られ、以降、幸せな日々を過ごします。しかし、おじいさんが病を患い状況が一変。波乱に満ちた人生の中でも、愛し続ける2人の深い愛に胸を打たれる作品です。

■『ピーター・パンとウェンディ』 J・M・バリ(1912年)
 誰もが知っている「ピーター・パン」の原作本。ピーター・パンは、なぜネバーランドで暮らすことになったのか? 子どもたちの悪役のフック船長は、なぜ海賊になってしまったのか?  それらの「真実」はいずれも衝撃的です。どこか哀切に満ちていて、何度読んでも胸を打たれる作品です。

 また、児童文学には「長い」、「読みにくい」けれども、ものすごくいい作品があって、赤木さんは本書の中で、"おすすめしにくい本たち"として4冊ほど紹介しています。
 
 その中の1冊がコチラ。

■『疫病犬と呼ばれて』 リチャード・アダムズ(1977年)
 主人公は2匹の犬。毎日溺れるまで泳がされる一匹と、人間によって視覚と嗅覚を入れかえられた犬が逃亡するお話です。赤木さんはこの物語について、こう語っています。

「これ、凄い本だったんです。よみ終わったときは、もう本当に涙、涙でした。でも、これもほとんど人にすすめたことはありません。(中略)登山で、ベテランでないとおすすめできない山ってあるじゃないですか。それと同じです。途中がずっと、悪路なのが分かっている本って、すすめにくいんですよねぇ」(本書より)

 今回いくつかの作品を紹介しましたが、これらはあくまで一部です。本書を通して、あなたが出会うべき物語、出会ってよかったと思える物語がきっと見つかるはずです。