オーガニック食品ってほんとに体にいいの? 知ってるようでよく知らないオーガニックの基礎知識

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食の安全が見直される中、オーガニック栽培の食品が注目されているようです。しかし、「安全で身体に良さそう」というイメージを持ちつつも、オーガニックの具体的なメリットについては、漠然としている人は多いのではないでしょうか。今回は、よく聞くけどよく知らない、そんなオーガニックの基礎知識について長寿美容食研究家のスギアカツキ先生にお話を伺いました!

オーガニックとは?
スーパーの一角や専門店などで「オーガニック(有機栽培)」と表示された食材をよく見かけるようになりましたが、他の食材とオーガニックの違いって何なのでしょう?

「簡単にいえば化学合成農薬や化学肥料などに頼らず、自然界の力で生産された農作物のことを指します。日本におけるオーガニックの基準は、農水省の定める『有機農産物』の規格を満たしていることが前提で、この基準をクリアした農産物には『有機JASマーク』が与えられます。もし認定を受けていないのに、JASマークを勝手に貼付したり、オーガニック〇〇と表示したら懲罰の対象にもなるんですよ」(スギ先生)

生産者や製造者側の独断でオーガニックを名乗ることは出来ないのですね。「有機JASマーク」は他の食材と区別するときの目安にもなるので、消費者にとっても分かりやすいかも!

「ただし、注意しなければいけないのは、オーガニック=無農薬というわけではないということ。もちろん無農薬栽培で生産しているものもありますが、有機栽培でも30種ほど使用できる農薬があるんですよ」

と、スギ先生。化学的な処理が施されていないいくつかの農薬は使用が認められているとのこと。どうやら「有機JASマークがついているから、必ずしも無農薬! 安心!」とまではいかないようです。

オーガニックの利点
全部が全部無農薬栽培というわけでもないし、値段もちょっとお高め......。それでもオーガニックを摂り入れることにメリットはあるのでしょうか。そもそも、オーガニックって本当に身体に良いの?

「それは人によりけりなので一概には言えません。実際に、体調が良くなった、アレルギーが緩和したという例はありますが、たいして変化が見られない方も中にはいるでしょう。それに、一口にオーガニックと言っても生産者によって使われる農薬や肥料が異なるため、美味しいかどうかもモノによって違います。オーガニックと聞いて無条件に信じるのではなく、その食品にどんな肥料や農薬がどのくらい使われているか知る姿勢こそが大切なのです」(スギ先生)

ちなみに、スギ先生いわく「化学肥料や農薬を使った食材でも、水洗い・下茹で・外葉を取るなどの正しい処置を施せば残留農薬についてもほとんど問題ありません」とのこと。オーガニックだけではなく、食にまつわる様々な情報は知っておくと損はないですね!

オーガニックが注目されている理由
「他のモノよりオーガニックの方が断然良い!」とまで言い切れないにしても、最近では食品の他、化粧品や衣料品、アロマにいたるまでオーガニックを謳う製品をよく目にします。これほどまでにオーガニックが流通しているのはなぜ?

「もちろん、効果を実感してオーガニック製品を使う人もいますが、それ以外の視点で考えることも重要です。適切な有機農業が環境保全や農地の生態系維持に良い影響を与えることも分かっていますし、生産者の立場で考えると有機肥料は化学肥料より健康被害リスクが低くなるという点も見逃せません」

なるほど。オーガニックを支持しているのは何も消費者だけではなかったのか! オーガニックを取り入れるかどうかは、環境問題や生産者側の立場などからトータルで考えて決めていきたいですね。

様々な選択ができる時代だからこそ「オーガニックは安全、オーガニック以外の食品は危険」と両極端な基準に頼るのではなく、自分自身で考えて賢く食を選ぶことが大切なのかもしません。

文●松原 麻依(清談社)