株を買うときの目安として、いま注目したいのが株式の「配当」だ。企業が、投資を引き寄せる“呼び水”にするため、稼ぎ出した利益を株主に配分する配当を重視する姿勢を強めているためだ。その結果、14年3月期は株式の配当総額が、前期から2割増の6兆9千億円になり、過去最高を更新した。

 SBI証券投資調査部シニアマーケットアナリストの藤本誠之氏によると、「収益拡大を背景に配当を増やした企業は2社に1社」にのぼるという。

「この流れは当分続きます。賃上げの動きと相まって家計に恩恵を及ぼしそうです」

 多くの3月期決算企業は、6〜7月に株主に配当を支払う。14年に配当金を増やした企業を見ると、トヨタ自動車やJT、工作機械大手のアマダ、三菱自動車など輸出関連企業が並ぶ。なかでも注目が集まったのはアマダだ。5月中旬、稼いだ利益を内部留保にせず、すべて株主に配分すると発表した。半分を自社株買いに回し、残る半分を株主への配当にすると決めたのだ。

「市場では『次のアマダを探せ』が合言葉になっています」(藤本氏)

 配当のいい企業を探すにはどうしたらいいのか。自動車販売が伸び6年ぶりに純利益が最高になったトヨタ自動車は、年間配当額(1株あたり)を前の期の90円から165円に増やした。引き上げ額が大きく、高い配当額だが、この配当がワリがいいかどうかは別だ。

 トヨタ自動車の株価は7月2日の終値で6209円。これに対して配当は165円なので、配当金の利回りは2.66%となる。一方、日産自動車の年間配当額は33円とトヨタ自動車の5分の1だが、株価が984円なので、配当利回りは3.35%とトヨタを上回る。

 このように「配当利回り」がいい企業は、配当額だけではわからない。

 そのため本誌は、東証1部、2部、ジャスダック、マザーズに上場する銘柄から、配当金の利回りが3%以上の株を藤本氏に算出してもらい、その26銘柄を一覧表にした。

「現在、大手行の定期預金1年ものの金利は0.025%なので、3%を超える配当金は利息と比べると120倍以上の差があります。インフレや消費税増税分を取り戻すためにも、日本の株がまだ割安のうちに買っておくのも手だと思います」(藤本氏)

 一覧表を見ると、総合商社や医薬品、自動車関連メーカー、情報・通信業などの企業が目立っている。多くの銘柄に共通することは、日本企業にイメージされる「高い技術力」を武器にしていないため、外国人投資家から注目されにくい傾向がある。しかし、企業の業績が悪いわけではない。むしろ、個人投資家から見ると、安い投資で高いリターンが見込める「お宝銘柄」なのだ。

 例えば商社。海外の商社は、資源や穀物など特定の分野を扱う専門商社が多い。これに対して日本の総合商社は、「ラーメンから航空機まで」と言われるように幅広い商品・サービスを取り扱う独自性がある。

 医薬品メーカーは、高齢化に伴い、医療費の安定的な増加が期待できるが、2年に1度の薬価改定や後発医薬品(ジェネリック)などの逆風もあるので、株価が安値に放置されている。

 自動車関連では、軽自動車のシェアを伸ばすダイハツ工業や日産自動車から、低燃費タイヤだけでなくゴルフ用品でも売り上げを伸ばす住友ゴム工業など、“ニッチ市場”でシェアを伸ばしている。

 ロータス投資研究所の中西文行代表が言う。

「企業の業績は決して悪くない上、将来性はあるので、そのうち外国人投資家に注目される可能性があります。そうなると株価は一気に上がり、個人投資家の手が届かなくなることも。株価が安い今が、ラストチャンスかもしれません」

配当利回り3%以上の銘柄(7月2日終値、SBI証券・藤本誠之氏作成)

  会社名/株価/単位/配当利回り/PER/PBR
1 東燃ゼネラル石油/957/1000/3.97/77.2/1.84
2 キヤノン/3321/100/3.91/18.5/1.52
3 三井物産/1655/100/3.87/7.8/0.78
4 武田薬品工業/4739/100/3.8/44/1.51
5 SANKYO/3970/100/3.78/27.3/0.94
6 ユニーグループ・ホールディングス/638/100/3.76/12.4/0.5
7 住友商事/1381/100/3.62/6.9/0.72
8 JT/3694/100/3.61/16.1/2.95
9 積水ハウス/1410/100/3.55/10.9/1.04
10 平和/2258/100/3.54/8.8/1.58
11 オートバックスセブン/1702/100/3.53/16.7/1.06
12 エーザイ/4273/100/3.51/36.2/2.5
12 丸紅/741/1000/3.51/5.9/0.93
14 伊藤忠商事/1331/100/3.46/7/1.03
15 NTTドコモ/1777/100/3.38/16.2/1.37
16 日産自動車/984/100/3.35/11/1.03
17 オンワードホールディングス/729/1000/3.29/23.3/0.73
18 三菱商事/2139/100/3.27/8.8/0.7
19 大東建託/1万2040/100/3.25/16.2/4.41
20 第一三共/1886/100/3.18/17.1/1.36
20 メイテック/3175/100/3.18/21.1/2.86
22 大塚ホールディングス/3170/100/3.15/10.2/1.19
23 ローソン/7660/100/3.13/19.8/3.13
23 ダイハツ工業/1788/100/3.13/9.3/1.39
25 昭和シェル石油/1164/100/3.09/11.9/1.46
26 日鉄住金物産/394/1000/3.05/7.4/0.86
※PER(株価収益率)、PBR(株価純資産倍率)

週刊朝日  2014年7月18日号より抜粋