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夏の高校野球シーズンが本格的に到来し、各地で熱戦が繰り広げられている。甲子園出場という"夢"に向かってプレーするのは選手たち。だが、球児たちを勝利へと導く監督たちも、それぞれのドラマを抱えながら、生涯忘れぬ夏を迎えようとしているのだ。そんな高校野球の監督たちを紹介していきたい。

○名門校から部員9人の野球部へ

まずは北から。クラーク国際記念(北海道)は通信制の学校で、今年4月に新設されたスポーツコースに野球部が誕生。その監督に就任したのが、佐々木啓司監督だ。かつては駒大岩見沢(北海道)で、監督や部長としてチームを通算春夏12度も甲子園へ導いた名将である。1983年のセンバツではベスト8、1993年のセンバツではベスト4と、全国の強豪校と互角に戦う攻撃型のチームを作り上げ、「ヒグマ打線」の異名で甲子園に旋風を巻き起こした。

今年の3月、駒大岩見沢が閉校したことに伴い、佐々木監督はクラーク国際記念に赴任した。部員はわずか9人。そのうち8人は1年生と、まさにゼロからのスタートを切った。

春季大会は初戦コールド負けの屈辱を味わったが、甲子園出場を懸けた夏季大会で公式戦初勝利をあげた。「ヒグマ打線」を継承したかのように爆発して、14-0とコールドで勝ち進んだクラークナイン。7月5日に行われた岩見沢農業戦に3-4で敗れ、甲子園出場の夢はついえてしまったが、佐々木監督の新たな挑戦は始まったばかりだ。

○始まりもあれば、終わりもやってくる。今夏で退く名将たち

3年生の球児たちは、夏の大会に敗れた瞬間に高校野球人生が終わる。だからこそ、最後の夏に懸ける彼らのプレーは一生懸命で、訴えかける「何か」があるのだろう。しかし、最後の夏を迎えるのは選手たちだけではない。今年の夏、定年などの理由で監督業を退く名将たちもいる。

拓大紅陵(千葉)で春夏あわせて10度の甲子園出場経験を持つ、小枝守監督もその1人。大会前に今夏限りの勇退を発表。最後の夏の初戦の相手は、宿敵・銚子商だ。

九州国際大付(福岡)の若生正廣監督も、最後の夏を迎えようとしている。かつては東北(宮城)でも指揮を執り、春6回、夏4回の甲子園出場経験を誇り、あのダルビッシュ有(レンジャーズ)など多くの逸材を輩出した。そんな名伯楽も、体調面の不安などから、今夏で一線を退くことを発表。今年のチームも実力ある選手が多く、甲子園出場への期待が大きい。一日でも長く、若生監督の勇姿を見たい。

○プロから高校野球へ転身する指導者

昨年、元プロ野球選手が学生野球の指導者に就くことに関して、そのルールが大幅に緩和された。それにより、本年度から高校野球の世界に挑戦する元プロ選手がいる。

金沢学院東(石川)の野球部監督に就任したのは、かつて西武や阪神で活躍した金森栄治監督。現役時代は死球が多く、そのパフォーマンスが注目されたが、勝負強い打撃やムードメーカーとしての役割を西武の指揮官であった森祇晶監督から高く評価されていた。引退後、ソフトバンクやロッテで打撃コーチとして辣腕(らつわん)を振るい、それぞれのチームで多くの選手を育てた。プロ野球で通算350本塁打以上を放ったアレックス・カブレラも慕う打撃理論には定評があり、高校生にどんな影響を与えるのか、これからどんな打者が育つのか、注目したい。

ここで紹介した他にも、話題となる高校野球監督は多い。名門・横浜(神奈川)の渡辺元智監督は、自身にとって孫にあたる、渡辺佳明選手とともに、甲子園出場を目指す。また、今春から九州の強豪校・秀岳館(熊本)は鍛治舎巧(かじしゃ・たくみ)監督となった。社会人野球の名門・松下電器(現パナソニック)で選手、監督として活躍し、NHKの高校野球解説を務めていただけに、高校野球ファンでなくても、名前や温かみのある解説を聞いたことがある人も多いだろう。

今夏は高校球児だけではなく、監督にクローズアップして高校野球を楽しむのも面白いかもしれない。

週刊野球太郎

『週刊野球太郎』では、プロ野球やMLB、さらに高校野球や大学野球などのアマチュア野球に関して、どこよりも詳しくマニアックな情報を発信し続けている。この母体となるのは雑誌『野球太郎』。現在は、『中学野球太郎 Vol.4』、『野球太郎No.009〜夏の高校野球大特集号』が好評発売中。

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