日本企業の実態は、ブルーカラーの生産性は高いが、ホワイトカラーについては問題があると大前研一氏は見ている。その問題点を解決し、日本企業の国際競争力を高める方法について、大前氏が解説する。

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 これまで日本企業は、非定型業務も定型業務も一緒くたにし、事務系の職種はすべてホワイトカラーとして同列に処遇してきた。しかし、今や定型業務をやっている“ブルーカラー的ホワイトカラー”の仕事の多くは、コンピューターの進化とIT環境の整備により、パソコンや業務ソフト、アウトソーシングで置換・代行できるようになっている。実際、欧米のグローバル企業は、大半の定型業務をそうしている。

 ところが、日本企業は定型業務を標準化できていないので、コンピューター化やアウトソーシング化がほとんど進まず、今も昔ながらのやり方をしている。

 このため日本企業の場合、ブルーカラーの生産性はロボット化や労働コストが安い途上国への移転によって世界より2〜3割高いのに、ブルーカラー的ホワイトカラーの定型業務の生産性は世界の半分以下という悲惨な状況で、それが国際競争力を落としている。

 日本にも定型業務をアウトソーシングしている会社はあるが、それはたいがい子会社や関連会社を作り、親会社で定型業務をやっていた人たちを移して同じ仕事をさせているだけだ。複数の会社が相乗りで定型業務の別会社を作ったケースもあるが、こちらは各社から出向してきた人たちがそれぞれ自分の会社のやり方を持ち込むからバラバラの仕事しかできず、相乗効果は生まれない。

 ホワイトカラーがやっている定型的な間接業務の多くは、事業計画書や稟議(りんぎ)書、月次のPL(損益計算書)などのペーパーになる。それらが何のためにあるのか、受益者は誰なのか、本当に必要なのかを、いわゆるOVA(オーバーヘッド・バリュー・アナリシス/間接業務の価値分析)によって調べてみると、昔は目的があったらしいが、今は作っているだけで誰も読んでいないというものが、どこの会社にも6割以上あるものだ。

 つまり、定型的な間接業務の多くは必要がないのであり、その一方では本来必要なのにやっていないことも少なくない。

 したがって定型的な間接業務については、本当に必要なのかどうか、3〜5年ごとにSOP(Standard Operating Procedures/標準作業手順書)などによって系統的に洗い直し、一つずつ吟味しなければならない。そうすると、どこの会社でも定型的な間接業務の少なくとも4割はカットすることができ、カットしても誰も気がつかない。その結果余ってきた人員は、削減するか、営業や企画などに回せばよいのである。

 このように間接業務は企業の競争力にとって非常に重要な要素であり、だからこそ日本企業は定型的な間接業務を定義し、一度ゼロベースで見直して削れるものはとことん削るとともにコンピューター化やアウトソーシング化や多能工化を推し進め、新興国や途上国に持っていける仕事はどんどん持っていくべきなのだ。その作業をやらない限り、日本企業の国際競争力は高くならないのである。

※週刊ポスト2014年7月18日号