元フジテレビアナウンサーで現在はフリーアナウンサーとして活躍されている長谷川豊さん。2012年に出張先のニューヨークで横領をしたという疑惑が浮上し、降格処分を受け、後にフジテレビを退社した見事な経歴の持ち主です。

 その後、疑惑を晴らすために立ち上げたブログで、事件に関する暴露話を披露。逆ギレなのか、陰謀なのか、事件の真相はまったくもってナゾですが、あの大フジテレビとケンカ別れをし、見事フリーアナウンサーとして返り咲くというタフさは、見習いたいものです。

 そんなスペシャルなテレビマン、長谷川豊さんがとっても刺激的なタイトルの書籍『「見たいテレビ」が今日もない』を上梓しました。見たいテレビが今日もないと煽りつつ、表紙の帯では長谷川さんがカメラ目線でほくそ笑んでいます。この方、確信犯です。

 本書の醍醐味はズバリ、テレビ業界の裏側暴露。

 たとえば人気女子アナウンサーの知られざる勤務状況について。その裏側は、想像を絶する過酷さだそうです。近年、アナウンサーのタレント化がますます進む中、人気の女子アナが番組に出演すれば視聴率が取れると信じ込む局の上層部は、特番にこぞって彼女たちを起用しています。たとえば元フジテレビアナウンサーの高島彩アナは、ある年の年末特番の時期、あまりのハードスケジュールのため倒れてしまったこともあったとか。連日、夜遅くまで収録が続き、1〜2時間の仮眠を取っただけで朝の情報尾番組「めざましテレビ」に出演。その後も、さらなる特番の打ち合わせや収録が続き休暇は全く取れなかったそうです。この状況を高島アナは冗談まじりに「1人80時間テレビだ」と表現したそうですが、テレビ画面で見せる彼女の笑顔の裏に、これほど過酷な環境があったとは驚きです。高給取りでなければ、社畜と言っても過言ではないでしょう。

 さらにテレビ局のコネ入社の実態についても言及。長谷川さんは、民放にコネ入社が多いのは事実だが、コネ採用を一概に否定することはできないと述べています。「生まれつき恵まれている。何も努力していない」と批判をされることが多いコネ入社ですが、きちんとした教育を受け、幼い頃から大人社会との付き合いがあり、品がよく優秀な人材が多い、というのです。また、番組スポンサーや企業タイアップなどの場面において縁故関係は大きな力となります。営業効果は絶大ですし、思わぬトラブルがあった時には力を貸してくれるかもしれません。有名人や一部上場企業のご子息を採用するだけで"ギブ・アンド・テイク"の関係が成り立つのだとか。

 その一方で長谷川さんは、いくらコネがあったとしても"向いていない人"は採用されない現実を指摘。テレビ局は、あくまで実力勝負。特にアナウンサーのような専門職は、日々技術を磨くことが求められ、魅力がなければ人気アナウンサーにはなれないシビアな世界なんだそうです。コネがあっても実力のない人は、間違ってもテレビ局なんて入らない方がいいようですね。

 本書では、このようなテレビ業界の裏側をたくさん暴露しています。「テレビ業界は華やかだ」というイメージを覆す、多くの苦悩の連続に驚かされること間違いなしです。