発表者の手元にはiPad。ICTの活用がうまく教育現場に溶け込んだいい事例

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 先日、Evernoteを教育に導入してEvernoteのCEOが来学して話題となった品川女子学院。かねてからどんな教育をしているのだろうと興味を持っていたのだが、このたび同校で実施されている起業体験プログラムの一コマを見学する機会を得た。

 主目的は、この起業体験プログラムを私の勤務先である昭和女子大学の授業に組み込みたいと考えており、プログラムの開発者であるベンチャーキャピタルNTVPの村口社長にご相談したところ、ちょうど品川女子学院で生徒たちの中間発表があるので見せてもらおうということになった。

学校での模擬店こそ、ビジネスの疑似体験ができる

 日本での開業率の低さや、起業家教育の必要性は常に議論されることであるが、ではどんな起業家教育が必要なのかという点になると、てんで議論は進まない。

 そんな中、このNTVPが開発した起業体験プログラムは非常によくできている。端的には、模擬店出店を通じて、実際に学生たちに起業、そしてビジネスを体験させようというものである。

 「え?模擬店出店なんて世の中の多くの中学、高校、大学の学園祭や文化祭で実施しているあれ?そんなのでいいわけ?」なんて思うかもしれない。そう、多くの人にとって懐かしい青春の一コマのあの模擬店である。

 しかし、模擬店を一つのビジネスに見立てて、会社設立、資金調達、事業計画作成、労務管理、経理業務、決算業務、そして株主総会での収益分配という流れをがっちりと組み込み、かつ、それらの一つ一つのプロセスをその道のプロの社会人がサポートをするとどうであろうか。

 これはまさにビジネスに必要なすべてのプロセスを一気通貫で、かつ短期間で体験できるプログラムとなる。このプログラムは慶應大学を始め、大学から高校、中学と様々な教育現場で導入されている。

文化祭の出店場所も資金獲得も事業計画のプレゼン次第

 品川女子学院では高校1年生と2年生が参加している同プログラムは、4月から準備を開始し、9月の文化祭で模擬店を出店する。

 6月中旬に実施された中間発表は、どんな事業を行うのかの発表の場であり、その審査結果を受けて出資金額や出店場所などが決まるという。いい発表ほどたくさんの資金を獲得できて、よい場所がもらえるわけだ。

 これは、実際のビジネスにおけるベンチャーキャピタルからの資金獲得プロセスの疑似体験となる。審査員は教員の他に、会計士、経営者、商社マンなど多彩な顔ぶれの生徒の保護者たちが参加する。そして、プレゼンテーションに対するそれら実務者からの質問やコメントはどれもいい意味で手加減ない。実務の現場と同じレベルでビジネスモデルを検証するのである。

プレゼンは見て体得する

 プレゼンテーションは全部で10チーム(5クラス×2学年)。印象的だったのは、どのチームも非常にプレゼン力が高いということである。話し方、目線、声の抑揚はもちろん、動画やスキットを用意する等、見ている者を飽きさせずにひきこんで行く。

 私の前任校のゼミでは、ゼミ生たちがたくさん外部のビジネスプランコンテストに出場したこともあって、大学生レベルでの上手なプレゼンテーションは数多く見てきた。しかし、それらにも全くひけを取らないレベルであった。

 発表終了後、別室にてわれわれ見学者と学校側との質疑応答の時間を設けていただいたのであるが、そこでやはり他の見学者から「プレゼン力はどうやって鍛えているのか」という質問があった。それに対しての学校からの答えは、中学の頃から外部の様々な方を招いて上手なプレゼンを見ているので、生徒たちは自然とプレゼン力を高めるとのことである。一流のものを見せて自然と学ばせるということだが、真似て学ぶことの効果をまざまざと実感した。

スライドはKeynoteで作成

 また、プレゼンテーションのスライドはすべてMacのKeynoteで作られており、学生たちは手元にiPadを持ち、そのiPadを見ながらプレゼンを進めていた。

 品川女子学院はICT教育では先端を行く部類であろうから、そこでの事例を一般化することは当然にできない。しかし、最近は大学生でもMac派が年々多くなってきている。社会人でMacを活用している人の中には、私のようにPCはMacであるものの、使うソフトはWindowsのWord、Excel、PowerPointが中心という人が結構存在すると思われる。

 しかし、大学生たちにe-learningで課題を提出させると、WordやPowerPointではなくPagesやKeynoteで作成された課題が年々増えている。対応するこちら側も最近はすっかりiMacがメインマシンとなり、隣にあるWindows PCは、Windowsでないと稼働しないいくつかの統計ソフト等を使うとき以外は使用することが少なくなってきた。

 PCもタブレットも利用者層の低年齢化が進んでいる中、ハードもソフトも関連商品の開発現場において高校生以下を獲得することの重要性はますます高まるであろう。

企業へのアポ取りも学生が行う

 発表された事業プランの多くは、実際の企業とのコラボレーションを盛り込んだものであった。

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