あの’90年代ガールポップの名曲を憶えてる?
 7月4日(金)に放送されるフジテレビ系の『僕らの音楽』に川本真琴が出演するとあって話題を呼んでいます。地上波の番組で歌うのは13年ぶりとのこと。ショートカットの髪を振り乱しながらアコースティックギターをかき鳴らしていた姿がつい最近のことのように思い出されます。

 今回番組の“僕らのGiRL POP”と題した企画で彼女の出演が実現したわけですが、そんなJポップの黄金期とともに青春時代を過ごした世代がもう30代後半から40代前半ぐらいの年齢になるのでしょうか。今後こうした試みはもっと増えていくのではないかと思います。かつて演歌歌手の担っていた役割が、90年代前半から2000年代前半にかけてヒット曲を飛ばしたアーティスト達へと移行していくのではないでしょうか。

 今回出演するのは、川本真琴の他に森高千里、谷村有美、渡瀬マキ、加藤いづみといった面々で、かなり生え抜きど真ん中なガールポップのラインナップと言えそうです。それでも「あの人がいないのはおかしい」とか「あの曲は欠かせない」と思う人もいるかと思います。というわけで、もし“僕らのGiRL POP”続編があるのならば、ぜひオファーしてほしいミュージシャンと聴きたい曲を3組ほどご紹介したいと思います。

◆切ないラブソング「午前2時のエンジェル」/かの香織

 まずは、かの香織「午前2時のエンジェル」(1996年)。近年では東日本大震災の復興ソング「花は咲く」で歌う姿を目にしたり、またはアニメ音楽でその名前を知っていたりする人もいるかもしれません。もともとはかなりとんがったモダンポップユニット「ショコラータ」の一員としてデビューした彼女ですが、96年にスマッシュヒットを記録したこの曲では切なさを凝縮した現代的なAORを聴かせてくれます。

⇒【YouTube】午前二時のエンジェル http://youtu.be/zvaxKoSUhTY

 詞は、深夜恋人に会うためにタクシーに乗り込んだ女性が都市の光に溶け込んでいくことで“エンジェル”になるという非常に美しいものです。

<流れだすヒカリの街>このフレーズがあるからこそ、「午前2時のエンジェル」は特別なラブソングになっています。動いているのは自分なのに、周りの風景が“流れだす”と認識が逆転してしまうほどこの恋が強烈であることが印象づけられる。

<月よ導いてね ハイウェイ>というフレーズと併せて、豊かな視覚を育んでくれる言葉です。

 そうは言っても、やはり楽曲を支えているのは詞を補完するメロディの力であるようにも思います。コーラスで<あなたが好き あなたが好き>と繰り返されるときのメロディと和音のセットは、その歌詞以上に「あなたが好き」であることを訴えかける。切なくて辛ければ辛いほどに気持ちのよくなることを教えてくれる音楽です。

 そこに全編を通じて鈴木茂のギターがかの香織の歌に応える。「ストラトキャスターはこう鳴らせ」というお手本のような名演も聴ける、一粒で何度も美味しい名曲だと言えるでしょうか。

⇒【後編】に続く「もっと評価されていい花*花」 http://joshi-spa.jp/110518

<TEXT/音楽批評・石黒隆之>