宮里藍、横峯さくらをはじめ、有村智恵、森田理香子など、女子ゴルフのトッププレイヤーは皆、デビューしてから、2年目、3年目とコンスタントに結果を残すようになって、賞金女王を争うまでの存在になっていった。

 はたして、そんなゴルフ界に"2年目のジンクス"というのは、存在するのだろうか――。

 2010年日本ジュニアゴルフ選手権で優勝し、2011、2012年には日本女子アマチュア選手権で連覇を達成。ナショナルチームのエースとしても活躍してきた比嘉真美子は、アマチュア時代から抜きん出た存在だった。そして昨年、プロツアーデビューを果たすと、いきなり2勝。賞金ランキング8位で、ゴルフ界の各種新人賞を総なめにした。

 その比嘉が、今季は思うような成績を残せていない。

 開幕戦のダイキンオーキッドレディス(3月7日〜9日/沖縄県)では2位タイでフィニッシュし、2年目のさらなる飛躍が見込まれたが、続く第2戦、第3戦と立て続けに予選落ち。ディフェンディングチャンピオンとして臨んだ5戦目のヤマハレディース(4月3日〜6日/静岡県)でも予選落ちを喫した。その後、フジサンケイレディス(4月25日〜27日/静岡県)では2位タイと一度は復調の兆しを見せたものの、以降はベスト10フィニッシュがなく、予選落ちを繰り返すなど、厳しいシーズンを送っている。

 比嘉自身、「2年目のジンクスって、本当にあるのかな......」と、ふと思うことがあると漏らして、こう言った。

「私に対して、周りの人たちは『1年目は勢いで2勝できたけれど、2年目の今年は勝てるのか』っていう目で見ていると思うんです。今年は、本当の意味での実力が試されているんだなと思います」

 今やツアー通算7勝を誇るトッププロの佐伯三貴も、2年目に苦しんだ。1年目は、プロデビュー4戦目のフジサンケイレディスで優勝し、賞金ランク9位となったが、2年目は7度も予選落ちして賞金ランクは20位にとどまった。今季好調の原江里菜も、2年目ではないものの、ツアー初優勝を飾った翌年に12回も予選落ちを喫してスランプに陥った。当時を思い返して、原はこう語っている。

「(優勝した翌年は)優勝した選手に見合った自分じゃなきゃいけないと思って、結果ばかりを追いかけてしまった」

 比嘉にも同じ思いがあるかもしれない。

 トップアマチュアとして名を馳せた比嘉が、1年目からプロの世界でも通用することは予想されていた。各メディアから注目され、周囲の期待度も高かった。そして実際に、ルーキーイヤーでいきなり2勝を飾った。10代選手によるツアー2勝は、平瀬真由美、宮里藍、横峯さくらに続く史上4年目の快挙で、やはり「大型新人」であることは間違いなかった。が、今季はそれ以上の結果を残さなければいけない、と気持ちが先走っている可能性はある。

 また、右も左もわからないプロの世界で、ただひたすら突っ走ってきた1年目とは違って、2年目は周りがよく見えてくる。その分、周囲に気を使ったり、自分への期待の大きさを再確認したりする機会が増えてきているかもしれない。

 さらに昨年1年間で、比嘉は"プロの世界"を知った。技術の高さはもちろん、1打にかけるシビアな戦いなど、これまで知らなかった世界を間近で見てきた。プロツアーの楽しさも、厳しさも、余すことなく知ることになった。そこで、"ゴルフの怖さ"というものも、改めて味わったはずだ。

 そのためか、今季の比嘉のプレイからは迷いが感じられる。しかし比嘉は、1年目にあらゆることを経験できたことは「マイナスだと思っていない」と、きっぱり言う。

「(プロ1年目の昨季は)確かに、新たに学んだこと、知ったことがたくさんありました。でもそれは、すべてにおいて知っておいて損はなかったと思っています。勢いだけで勝てるんじゃないかって、思ってらっしゃるかもしれませんが、それには限界があります。いろいろなことを知って、吸収して、それを自分のモノにして成長していかないと、中身のない実力になってしまうと思うんです。今は、どんなに成績が出なくても、自分のやっていることを信じてやっていきたい。そして、自分が考えていることを、しっかりと噛み砕いて自分のモノにしていけば、きっと爆発するときが来ると思っています」

 そして比嘉は、「あまり心配しないでくださいよ」とでも言わんばかりの明るい笑顔を見せて、こう続けた。

「前半戦は予選落ちも多くて、いい成績が出せていないので『不調じゃないのか?』って言われるんですが、決してそんなことはないんです。体の調子だって、どこも悪くないんですよ。今はすべてがうまく噛み合っていないだけで、歯車が合ってくれば必ず結果がついてくると信じています」

 7月10日、比嘉が「待ちに待っていた」という、全英リコー女子オープン(7月10日〜13日/イギリス)が開幕する。比嘉にとっては、2度目の海外メジャー挑戦となる。

「昨年の7位タイを越えることが目標です」

 そう言って、再びにっこりと笑った比嘉。世界の舞台で戦うことによって、比嘉の持ち味である思い切りのいいゴルフが展開できれば、"2年目のジンクス"を打ち破るきっかけとなるに違いない。

text by Kim Myung-Wook