腎臓病の罹患者は、今や1600万人。高血圧の人は5人に2人腎臓を患っているとされ、糖尿病の人もそれに近い数字だ。特に糖尿病罹患者は、合併症から片足を壊死で失ったり、人工透析を受けないと、命の危険にさらされるなど、怖い病気である。こうした最悪の事態を避けるには、どのような心構えと準備をすればいいのかを考えてみたい。

 腎臓病というのは、患っても自覚症状が表れないために、つい油断しがちだ。先日、ベテラン俳優・林隆三さんも、入退院を繰り返しながら腎不全で亡くなった(享年70)。腎臓病を未然に防ぐ方法はあるのか。そんな問いに、専門家は「自助努力も必要です」と言い、「オシッコの泡立ちチェックは有効」とし、腎臓病の初期判断の決め手になると奨励している。

 朝起きてトイレで用を足したら、いつもと違い色も泡立ちの量も違う。「ひょっとして悪い病気なのかも…」と、不安にかられた経験を持つ中高年者は多いだろう。
 「尿は、腎臓をはじめ、さまざまな病気のサインを出します。腎臓は血液中の老廃物を濾過し、尿として体外に排出する働きがある。本来なら蛋白や血が混じることはないのですが、腎機能に何らかのトラブルが発生したり尿が通る経路に異常があると、漏れ出すケースがあるのです。その意味でも、尿のチェックは重要です」(腎臓の専門医)

 まずは、小便をした時、便座の中にできる“泡”に注目してみよう。
 総合医療クリニックの医学博士・久富茂樹院長はこう説明する。
 「患者さんの中には、尿が泡立ってなかなか消えないと訴えて検査に来られる方がいます。大半の方は尿の“落下”によってできる細かい泡がドーム状になった状態を気にされます。この泡は心配する必要はないのですが、注意する点は、尿に蛋白質が混じり泡そのものが大きめになること。つまり、蜂の巣ように大きく、洗剤のシャボン玉のようにフンワリした感じの泡。それがすぐに消えない状態が続いた場合、医師の診断を受けることを勧めます」

 しかし、健康診断の結果や主治医から「尿に蛋白が出ている」と指摘されても、そのまま放置する人が非常に多いという。というのも、痛くも痒くもないため、「この程度なら平気だろう」と甘く考えてしまうからだ。それが“落とし穴”となるわけだが、そのまま放置していると腎機能がどんどん悪化していく場合もあることを肝に銘じておかなければならない。

 「泡」の次に、「尿の色」にも注意しよう。真っ赤な尿はもちろん、コーラのような褐色の尿が出た場合は、いわゆる「血尿」だ。また、濁った乳白色の場合も「感染症」の疑いがあるので、医師の診察が必要となる。
 「もちろん、尿は人間の体液を調整する役割もあるので、暑い日に汗をかき、水分不足が起きている場合は濃い色の尿になりますし、水分が十分に満たされていれば希釈された透明な尿が出る。また、激しい運動をした後などに血中から筋肉の成分が混ざり込み、赤や褐色の尿が出るケースもあります。これらを認識しながらのチェックになりますが、大切なことは普段から尿の色をチェックしておき、安静時の状態でいるのにいつもと違う赤色や褐色の尿が出たら注意すること。また腎臓に炎症があるケースばかりでなく、膀胱がん、膀胱炎、尿路結石といった尿の経路に問題がある場合も多いのです」(同)