集団的自衛権についての議論が徒労感しか残らないのは、そもそもの前提を共有せず、わけのわからないことをいうひとがいるからです。それも、ものすごくたくさん。 

 地球の裏側の国がいきなり攻めてくることがない以上、安全保障というのは国境を接する隣国とどのようにつき合えばいいのか、という話です。

 いつ裏切られるかわからない相手とのつき合い方は、ゲーム理論でもっとも研究されてきたテーマです。

 社会心理学者のロバート・アクセルロッドは、「囚人のジレンマ」と呼ばれる協力と裏切りゲームを繰り返した場合、どの戦略がもっとも効果的かを調べるため、心理学、経済学、政治学、数学、社会学の5つの分野の専門家を世界じゅうから集め、コンピュータ選手権を開催しました。

 選手権に挑戦した天才たちは、さまざまな戦略を持ち寄りました。相手に裏切られても協力するお人好し戦略、逆に、相手が協力しても裏切る悪の戦略、裏切った相手には徹底して懲罰を加える道徳的戦略、ランダムに協力したり裏切ったりする気まぐれ戦略、さらには過去のデータから統計的に相手の意図を推察し、最適な選択を計算する科学的戦略……。ところがこの競技を制したのは、全プログラムのなかでもっとも短い「しっぺ返し戦略」と名づけられた単純な規則だったのです。

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