今年3月末、アメリカの人気作家マイケル・ルイス氏が新作『フラッシュ・ボーイズ』を発表すると、思わぬ波紋が広がった。

 同著はコンピューターを使って1000分の1秒単位で売買を繰り返す株取引「HFT(高速・高頻度取引)」をテーマにした経済小説で、発売直後からアマゾンのベストセラーランキングでトップに躍り出た。HFTは主に、プログラムが一般投資家の動きを予測し、瞬時に売買して利益を積み上げていく手法を取る。今や米国株取引の約5割を占めているといわれ、プロのディーラーも自動取引システムに頼る時代なのだ。

 HFTほど高速ではないものの、個人投資家向けの「システムトレードソフト」を使って株の自動売買を実践している人が増えている点は見逃せない。システムトレードとは銘柄の選択や売買のタイミングなどのルールを投資家が事前に定め、そのルールに従って売買する手法を指す。

 どこまで株投資を補助してくれるかはソフトによって違う。「どの銘柄を買うか、売るか」「いくらで買うか、売るか」「どれくらいの額を売買するか」などを細かく分析した上で証券会社に「自動発注」までしてくれるソフトもあれば、銘柄や売買タイミングをアドバイスするだけのものもある。

 そうした自動売買ソフトは、デイトレーダーのように市場が開いている間、パソコン画面をずっと注視している必要がないので、昼間働いているサラリーマンのように時間がないトレーダーにはメリットが大きい。うまくいけば「寝ている間にも儲かる」可能性がある。

 もう一つのメリットとして、ルールに従って機械的に取引するため、感情的になって判断を誤ることが避けられる点がある。たとえば、株価が下がった銘柄を“ちょっと待てば回復するはず”と保有し続けて塩漬けにしてしまう──といったリスクを減らせる。

 2008年からシステムトレードを始め、日々のトレード状況をブログ「ゆうの日本株でシステムトレード」で公開するゆう氏はこう語る。

「市販のシステムトレードソフトを自分流にアレンジして利用しています。1日のうち取引を行なうために使う時間はほんの数分です。

 年単位で損失を出したのは2012年のみ。それ以外の年は概ね年利30%以上の利益が出ています。およそ180万円の元手で現在の運用資金は600万円に膨らんでいます」

※週刊ポスト2014年7月11日号