今週の『下半身のツボ』は、いつもと少し視点を変えて、勃起に役立つテクニックを紹介しよう。

 「EDに陥る要因の8割は心因性です。つまり、自分の心をうまくコントロールできれば、いざ女性と2人きりになったときに慌てたり、不安になったりすることはないのです」
 こう語るのは、性感研究の第一人者で医学博士の志賀貢氏だ。

 例えば、女性と食事に出かけたとしよう。この時、テーブル席とカウンター席が空いていたら、アナタはどちらを選ぶだろうか。
 「自分の男性器に自信がない場合、カウンター席で“並んで”座るほうがいい。これは、心理学における“空間領域”が関係しています」

 空間領域とは、人間が無意識に踏み込まれたくないと思う距離のこと。
 「人間同士が面と向かって顔を合わせると“空間領域”は1.2メートルといわれています。そして、それ以上近づかれると警戒してしまう。しかし、横に並んで座った時は、45センチの距離まで抵抗感がないといわれています」

 これは、女性を口説く場面でも役立つ情報。並んで座ったほうが、お互いの距離が近くなってもさほど警戒心を抱かないのだ。
 「性交渉に不安を持っているED患者も同じです。食事の段階から女性との距離が近いほうが、緊張も緩和される。逆に、ホテルに入ってからいきなり距離が近づくと、興奮と緊張が同時に訪れて、勃つものも勃たなくなるのです」

 また、店選びも重要となってくる。
 基本的に女性は“自分が初めて行く場所”に興味を示す。未知なる世界に導かれると、女性は心理的な不安を覚えて、アドレナリンの分泌も活発になるのだ。
 「しかし、男性は逆。勃起はリラックスしている状態がベストなので、アドレナリンが出すぎていると勃起の妨げになるのです。つまり、行き慣れた店のほうが適しているのです」
 おわかりだろうか。自分はよく通っているが、女性にとっては未知なる世界へ導くことが勃起にも口説きにも最適なのだ。

 そして、もう一つ。
 「口説き文句もセックスのやり方も、いつもどおりに行うべき。相手の女性に合わせるのではなく、自分のペースでコトを進めるのです」

 アレコレと考えてしまうのは、勃起するのによくない。それならば、自分流の口説き文句&セックスの流れで、リラックスしたほういいのだ。
 「現代はいろいろな情報が溢れている社会。女性の口説き方にせよ、セックステクニックにせよ、さまざまなやり方が飛び交っていますよね。もちろん、普段から“元気”な人はアレコレと考えて試せばいい。しかし、勃起するかしないかに不安があるのなら、余計なことは考えないこと。ただただ、女性の体に触れることに悦びを感じていればいいのです」
 もしくは、自分が一番興奮するセックスシチュエーションを常に頭の引き出しに入れておいて、いざという場面でそれを思い出すのも一つの手。

 自分の心を上手にコントロールして、愚息をしっかりと我が物にしようではないか。これが、満足するセックスをする上での第一歩なのかもしれない。

志賀貢
 医学博士。内科医として診療する傍ら、260作以上の小説やエッセイを執筆。また、性感研究の第一人者で『かなりHな夜の教科書』(河出書房新社)など、医学的見地に基づいたSEX&口説き術にまつわる著書も多数。