4日前に日本代表の望みを打ち砕いたハメス・ロドリゲスが、今度はウルグアイを奈落の底に突き落とした。

 南米対決となったワールドカップ決勝トーナメント1回戦コロンビア対ウルグアイ。互いに手の内を知るライバル同士の対戦は、派手な動きのないこう着状態が続く試合となった。

 ボールを保持し、攻めるのはコロンビア。5バックのDFラインを中心に、これをはね返すウルグアイ。試合序盤から、どちらも持ち味を発揮していた。

 加えて、スタンドのあちらこちらで両国のサポーターが小競り合いを起こす。選手のプレイを邪魔しようとするレーザー光線がピッチ上にチラチラと光る。この日のマラカナンスタジアムは、よくも悪くも南米らしい雰囲気に満ちていた。

 20分過ぎ、スタジアムの電光掲示板にはコロンビアのボール支配率が70%に達していることが示され、スタンドがどよめく。それでもウルグアイはあくまで守備に重点を置き、淡々と試合を進めた。

 互いの特徴が生かされ、こう着状態が続いていた試合を動かしたのは、コロンビアの背番号10の左足だった。

 28分、相手のクリアを拾ったMFアギラールからのパスを胸で受けたロドリゲスは、そのままボールを芝の上に落とすことなく、左足でボレーシュート。鮮やかな個人技でコロンビアに先制点をもたらした。

 前半はどちらにも目立ったチャンスがなかった。コロンビアの先制ゴールにしても、守備を完全に崩したわけではない。それでも相手DFラインの前に、左足を一振りできる時間と空間が生まれた瞬間をロドリゲスは見逃さなかった。

 コロンビアを率いるホセ・ペケルマン監督が惜しみない称賛を送る。

「ハメスのような選手と一緒に仕事ができるのはすばらしいことだ。彼は前の試合を終えて、とても大きな自信を手にしていた」

 前の日本戦では後半だけの出場にもかかわらず、1ゴール2アシストと圧倒的な存在感を見せつけたロドリゲス。その勢いは1点だけでは止まらなかった。

 後半開始直後の50分、左サイドバックのアルメロが上げたクロスをMFクアドラードが頭で折り返したところを、ゴール前に入っていたロドリゲスが今度は右足で仕留めた。

 この試合の全2ゴールを叩き出した22歳が興奮気味に口を開く。

「これは歴史的なことだ。僕はずっとマラカナンでゴールしたいと夢見てきたが、それが叶ったんだから」

 コロンビア史上初の8強入りをたぐり寄せる決定的な追加点。試合時間は十分に残されていたとはいえ、その後のコロンビアのウルグアイ対策は万全だった。

 5−3−2でスタートしたウルグアイは2点のビハインドとなったことで、4バックにシフトチェンジ。ウルグアイのオスカル・タバレス監督が「リードされたので、リスクを負ってでも攻めに出なければならなかった」と語ったように4−1−3−2に布陣を変え、前線の枚数を増やして反撃に出た。

 しかし、コロンビアはボランチのサンチェスがDFラインに下がり、実質5バックでこれに対応。さらにFWグティエレスに代えてMFメヒアを投入し、ボランチに起用。5−4−1の布陣で逃げ切り態勢に入った。ペケルマン監督は言う。

「相手を知ることはとても重要なこと。我々はウルグアイの強さを理解していたので、いくつかの変更を加えて対応できた」

 試合終盤はウルグアイが攻勢に出るも、コロンビアはGKオスピナの好守もあって無失点。2−0のままタイムアップを迎えた。

 チャンスを見逃さず、きっちりと仕留める選手。スキのない采配でピッチ上の出来事に対して的確な手を打つ監督。相手をねじ伏せるような強さがあるわけではないが、したたかに勝利をもぎ取る強さが、コロンビアにはある。

「これから先はさらに厳しい戦いになるが、僕らはそれを乗り越えられるはずだ」

 ロドリゲスはまだあどけなさの残る笑顔でそう語る。

 次の準々決勝で対戦するのは、開催国にして優勝候補のブラジル。難敵であるのは間違いない。それでも今のコロンビアなら十分に勝機があるように思う。

浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki